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ウォロフ語に魅了された。言語を愛し、逆境にも屈せず研究を進める。 -Mirei

MAKERS UNIVERSITY U-18


MAKERS UNIVERSITY U-18にはどんな人が集まっているのでしょう?6期生、巴山未麗さんが抱くピュアな狂気は「ウォロフ語」。どういうことなのか、聞いてみましょう。


簡単に自己紹介をお願いします。

 巴山未麗です。ウォロフ語っていうセネガルの民族語が大好きです。

ウォロフ語を未麗さんと会うまで知らなかったんですけど、どこでウォロフ語を知ったんですか?

 最初のきっかけは、、フランスに留学に1回だけ行った時で。もともと私は言語が好きなんですけど、小学生の時にフランスの留学生と出会って初めてフランス語を聞いて、すごく魅力的に感じて。それからフランス語を勉強し始めて、フランスに留学もして、ってバックグラウンドがあります。そしてフランスに行った時にウォロフ語っていう新たな言語に出会って、初めてウォロフ語を聞いたときに・・・何ていうか、フランス語を初めて聞いた小学生のときの感動を超えるようなものがありました。「これだ!」みたいな強い、なんかよくわからないけれど強い思いがあって、それからウォロフ語に興味を持って勉強したり、音源を聞いたりっていう生活が始まりました。それから3年ぐらい経つんですけど、今でもウォロフ語が好きで、気付いたらずっとウォロフ語ばっかりやってるって感じです。(笑)

「これだ!」って感じだったんですね(笑)

 そう(笑)。ウォロフ語っていろいろあるんですけど、初めて聞いたときの印象としては、フランス語をアラビア語で話してるみたいな感じで、セネガル自体がイスラムの国なので結構アラビアの影響もあり、フランス語圏でもあるのでフランス語の影響もありっていうので、二つの言語を混ぜて話してるような不思議な感じがしました。それにすごく面白さを感じてどんどん調べていけば調べていくほど、ウォロフ語っていう言語の中にセネガルの魅力とかすごいたくさん詰まっていて、例えばウォロフ語って全部の名詞に「近い」と「遠い」という概念があるんです。例えばペンって言うのにも近いペンと遠いペンとで使い分けなきゃいけないんです。物理的にそのものが自分に近いところにあるのか遠いところにあるのかっていうので全部そもそも単語が違うんですね。子どもとかでもそうで、私の子どもねって話すのにも、その子どもが今自分に近いところにいるのか、遠いところに中で全部細かく使い分けているんです。そういう小さな部分の、ウォロフ語の文法とか単語とかをどんどん調べていくうちに、こういう言葉を話してる人たちはどういうことを考えて、どういう風に生活してるんだろうって、今まで触れてきた言語とは違った魅力がすごく面白いなって思いました。

 私自身が在日韓国人なことも影響してると思います。だから、2歳までは韓国人で、今はもう日本人なんですけど、小さいときから韓国語とか、家に帰ったらほぼ韓国みたいな感じの文化の中で育ってて。日本にいれば在日韓国人ってそれなりにマイノリティで、その環境下で育っていく中で、小さい頃から在日韓国人の文学とかにすごい興味がありました。だからマイノリティの持つ言語とか文化とか、そういったものがずっと身近だったんです。だからこそ新たに小さな言語とか、マイノリティな言語に出会ったときに、謎の親近感が湧くというか、それはすごくあるかなって思います。

ぜひ、ウォロフ語の紹介をお願いします。好きなフレーズとかありますか?

Salamalekumm
Man gui tudd Mirei
Namay am ay tolof tolof yu büri.
Jërëjëf!

これがどういう意味かっていうと、「私は悩み事があります」って意味なんですけど、これを覚えていけばセネガル人とも仲良くなれて、セネガル人はお喋り好きだから、これを一言目に言うと、みんな話を聞いてくれるっていう魔法の言葉です。

 ウォロフ語の中の魅力の一つが文字で、これが正解ですっていう正しいものがあるんですけど、誰もそれに従ってなくて、みんなそれぞれ全然書き方が違うんですよ。同じ単語を書かせても全員書き方が違います。ただアルファベットで違うぐらいなら大丈夫なんですけどアラビア文字で書く人とかもいて、だからウォロフ語って全然一つじゃなくて、ガンビアで話してるウォロフ語とかセネガルで話しているウォロフ語とか、若者が話すウォロフ語とか、話す言葉も書く言葉もそれぞれみんなバラバラっていうのがすごい面白いんです。

 日本語って方言が禁止されたり、標準語を作ったりそういう歴史があったからこそ、私たちが全員平等に学べて、北海道から沖縄でみんな標準語を使って学校で勉強できてるけど、ウォロフ語は逆にそれがなかったからこそめちゃくちゃ面白くて、同じ一つの言語でも、場所とか、話す人、書く人によって全然違うっていうのが面白いところだと思います。

これまでどんな活動をしてきたんですか?

 大学入ってから半年くらいずっとウォロフ語関係の活動をして、セネガルの子どもたち向けのアプリサービスみたいのを作ってました。

 セネガルは、アフリカの西にある国なんですけど、公用語がフランス語で、ただフランス語を家で話してるセネガル人が大体2%ぐらいしかいないんです。セネガル人は普段ウォロフ語という言語をはじめとするセネガルの土着の言葉、民族語を使って話しています。何が起きるかっていうと普段はお家とか友達とかではウォロフ語を使って話しているのに、学校に行った瞬間にフランス語でいきなり勉強しなくちゃいけない。

 そういうところで、フランスの授業についていけない子どもが多くなっちゃって、中退率も高くなって、フランス語を話せない子どもが多くなるので、大人も仕事に就けなくなって失業率も高くなるんです。そういう負のループがセネガルにあって、それを解決するために、ウォロフ語とフランス語を繋ぐ何かを作りたいって、漠然と思っていて、最初は翻訳機作りをしてたんですけど、うまくいかなくて、その後にウォロフ語から勉強できるフランス語のアプリみたいのを作ってました。

でも、結構人も集めて、セネガルの会社と取り組んでいたんですけど、先月セネガルに行ってきて、いろいろあって先月帰ってきて1週間ぐらいにプロジェクトをマイナスな理由とかではなく辞めて、今はセネガルのアプリを作るよりウォロフ語をもっと勉強したいなと思っています。

アプリ開発をやめて、もっと勉強したいって思った理由を詳しく聞いてもいいですか?

 アプリを作ったのでそれをセネガルに持っていって、セネガルの小学生とかに使ってもらったりして、それもうまくいってめちゃくちゃ頑張ってるぞみたいな気持ちだったんです。でも、セネガルの大使の方とか、その他偉い人たちとご飯を食べたときに、大使が明らかにそれ違うだろって発言をしたんですね。その時になんか、明らかにそれ違うだろって思ったんですけど、大使にやっぱり違うんじゃないですかって言えなくて。言えなかったのはガチガチの雰囲気に自分が負けたとかじゃなくて、違うんじゃないですかって言えるくらいの自分に知識がなかったからだ、と思って。

 その時めちゃくちゃ悔しくなって今これを自分がやってることに恥ずかしさを感じて、もっと勉強したいなって思いました。それで、プロジェクト辞めようかなと思って。色々な人も巻き込んじゃって、多くの人が期待してくれてるからこそ、すごい悩んだんですけど、なんかこのままアプリ作ってても全然いいものできないだろうなって、その時なんか感じてしまって。進めるよりもやめる方がめちゃくちゃ勇気がいりました。


それから今は何をされているんですか?

 セネガル帰ってきてやりたいって思ったことが二つあって、一つはウォロフ語とフランス語の大量の例文データみたいなのを集めるのに昔からハマってて、その集めた例文データを使って何か面白い研究をしたいんです。その中で今までフランス語とウォロフ語っていう二つの言語を学んできて、もっともっと深いところまでその二つの言語について突き詰めたいっていうのがあって、それを今データを使って研究をしてます。最近は大学の研究室にずっとこもって勉強してるんです。自分の大学じゃない外語大の研究室に週2くらいの頻度で行ってます。

 その他は、アプリを作ってたフランスの会社でインターンを始めました。実際に自分が誰かの下でちゃんと会社で働いたことがなくて、だから自分が実際組織を作るときも、何もわからないまま手探りでやっていたんです。それもそれで良かったんですけど、ちょっと全然違うこともしてみたいなと思って。やっぱり全然日本の会社とは違うというか、だからこそすごい学びもたくさんあります。そこでお金稼げたら来年また旅に行こうかなと思ってます。

今後の目標はありますか?

 今の現状として、それこそバリバリスタートアップでアプリの会社とめちゃくちゃ地道な西アフリカの言語の研究室なので、割と正反対なところに属しているからこそ、日本のアフリカの研究ってめちゃくちゃ面白い研究がたくさんあって、めちゃくちゃ面白い研究者もたくさんいるんです。でも、どうしても面白いアフリカの知識とか言語の話とかがどうしても研究者内でしか共有されてないんです。だからこそ、それをもっと良い形で外にアウトプットしていけたら面白いなってずっと思ってます。

 私自身何か思いつくとすぐ形にしたくなったり何か動きたくなったりしちゃうタイプだから、今は「自分が絶対に動くな」って思って、また何か作り始めたりやり始めたりとかいうのを抑えて勉強しようっていう時期なんですけど。もうちょっと自分がある程度満足いくぐらいまでしっかり研究ができたら、何かそれを踏まえて、自分だけじゃなくて、今いる日本の研究者の人たちを繋げるみたいなことができたらいいなと思ってます。

 今回セネガルに行って思ったことなんですけど、とっても極端だけれど、結局セネガルの一番いい状態って私が何もしないこと、外部の人が何も関わらないことなんです。何か関わることで、それこそ植民地時代も宗主国の人たちはよかれと思ってやってたことが今になって違ったっていうことがたくさんあるし、私がよかれと思ってアプリを作ったところでそれが全然意味のないものになってしまうかもしれないし、逆にマイナスになってしまうかもしれない。だったら今そっとして何もしないでおくのが、一番セネガル人にとっても、セネガルにとっても一番良い形なんじゃないかなって最近思い始めてます。だから、研究者の人たちができることって少なくて、多分研究者の人たちの中でセネガルの社会に入ってそれを変えていこうっていう人が少ないのは、やっぱりそれをやったところでリスクがある、っていう前提があるんだと思います。

 多分研究者の人たちができるのって、セネガルの言語がなくなってしまう前に調べて保存しておくことで、将来の研究者とかセネガル人の何百年後のセネガル人がその資料を見たときにこういう言語もあったんだ、こういう時代もあったんだって学び直す機会を残しておくことしか研究者ってできないんです。何か、私が何か変えよう変えようって言ってセネガルに入っていくのはどうなんだろうって最近思い始めてます。だから最近は、普通にセネガルで平和に暮らしたいなと思ってます。

 私すごいめちゃくちゃ追い詰められて、もう苦しくて限界っていうのが好きなので、もう限界で苦しいもう駄目だっていう状態が私にとってベストな状態、いい状態って呼んでます。その上で、今いい状態かっていうのを寝る前にいつも自分に問いかけて、ハッピーに感じちゃうと駄目だなって思います。自分をもっと苦しめるために何をしよう、明日何しようって考えるのが最近のルーティンになってます。

 小学生ぐらいの時に、野球選手に出会って、その選手にサインをもらった時にグローブに書いてあった言葉が、「逆境こそ覚醒のとき」って書いてあったんです。かっこいい!と思って、それからずっとそれは大事にしてます。つらければつらいほど、自分が自分を超えられると思って頑張ろうって思います。

 自分の原動力って何ですかと聞かれた時にめちゃくちゃ困るんですけど、それこそMAKERS U-18の合宿が終わったときに一番そう思ったのが「悔しい」とか、何か「負けたくない」とか、「ああいう風になりたい」って思ったんです。その感情は今でもすごく強く覚えていて、そういう感情が、自分を動かしているっていう感じがすごくします。どこに向かってるかって言ったら自分でもよく分からないけれど、でも自分のいろんな形が変わってるかもしれないけど、自分の、巴山未麗の人生をかけて実現したいなって思うことはずっと同じです。
 
 薄っぺらく聞こえるかもしれないけど、みんなそれぞれが持つ母語によって、格差が生まれないような社会を作りたいってのがずっとあります。別に教育格差とか情報格差とかではなくて、自分の母語をもっと色々な人が愛せるようになったらいいなって。

 そういうところが自分がずっと思ってるところだから、別にアプリの開発やめても、研究をやめても、ずっとこれからもそこを目指してやっていくんじゃないかなって思います。

<編集後記>

未麗さんのピュアな狂気、いかがでしたか?
まず、文字だけではウォロフ語の魅力は伝わらないと思うので、動画インタビューの方も見てほしいです。
その上で、本人も<「これだ!」みたいな強い、なんかよくわからないけれど強い思いがあって>と話していますが、そんな自分でもはっきりとした言葉にできないことを自分の中でどう扱っていったらいいんだろうって、すごく難しいことだなって思います。
未麗さんのすごいところは、それにしっかりと行動を付与させてきたこと。それくらい、自分の中にあるものに正直に向き合ってきたこと。
だからこそ私たちはアプリづくりを辞めても、研究をしていても、研究を辞めたとしても、未麗さんの中にあるどうしようもないウォロフ語への想いを、私たちはすごくいいなと思っています。
未麗さんのこれからの人生が楽しみです!

<最後に>

カオスなまでにそれぞれの道を進むMAKERS U-18メンバーを紹介しています。ぜひご覧ください。

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その一つが、若手イノベーターとのMEETUP DAY。
(下記は1月に開催したものです)

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また、9期の開催日程は未定となっておりますが、
開催が決定し次第、各種SNSで発信致しますのでご確認ください。
(例年では、11月頃に情報解禁しております)

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