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評価されることよりも、自分が夢中になれることをする。物語に没頭し、自分の世界を広げる新たな読書教育の形を志す。-Rinyu

MAKERS U-18にはどんな人が集まっているのでしょう?7期生、谷津凜勇さんに詳しく聞いてみましょう。

9期生エントリー受付終了!10期は2025年3月末開催予定。今冬情報解禁。
詳細はこちら▶https://u-18.makers-u.jp/

簡単に自己紹介をお願いします。

 谷津凜勇です。読書教育、子どもと本に関わる活動をやってきました。この春に高校を卒業して大学生になります。

活動や研究を始めたきっかけを教えてください。

 元々本が好きでした。"子ども文庫"っていう民間図書館があって、ちっちゃい頃、僕もずっと通ってたんです。そこで多分4000冊ぐらいは絵本とか児童書を読んで、どんどん好きになっていきました。

 それで、コロナで学校がなくなって何かしたいって思った時に児童文学に改めて手を伸ばして「やっぱこの世界おもろいやん、ここで何かしてみよう」って思いました。

 そこで、本を紹介するフリーペーパーを発行しました。続けていくうちに広がっていって、NPO団体として、学校の人と一緒にフリーペーパーを出していけるようにしたり、助成金をもらって子どもと本に関する研究を始めたりしました。

 個人の趣味の活動だと思ってたけど、Twitterでマイプロジェクトとかから出ませんかって連絡が来て、学校の外でいろんな活動してる人がいるって知って、もっと大きく発展できるんじゃないかって気づいたのは大きかったです。

活動を通して生み出したいものや目指しているものはなんですか?

 本を通して今の自分の延長線上にある自分というか、自分の自己を成長させていくことができるんじゃないかなって思っています。

 本って映画とかと違って、自分から物語を想像して入り込んでいくというか、自分から楽しもうとしなきゃいけない、能動性みたいなものが、他のメディアや表現とは違う部分なんじゃないかと思ってるんです。

 逆に言うと、本を読んでも響かなかったりすることも多々あると思います。

 でも、全部が全部響かないといけないわけじゃなくて、新しいメッセージや価値観みたいなものに出会ったときに、自分と響き合うかどうか、共鳴できるかどうかが、自分の内側で、自動的にというか、潜在的に行われている。その過程で、自分の中の世界観に新たな世界観を取り込むことができると思うんですよね。

 そのために当時の僕ができる手段がフリーペーパーだったんですが、今はそれ以外のやり方、方向性もありだなとは思っています。それで今、軸の一つとしてあるのが"研究"です。

どんな研究をされているんですか?

 子ども文庫で何が行われてるのかを分析して、それをカリキュラム・プログラムのようなものにして組織的に広げていくようなことができればいいなとは思っています。

 子ども文庫の中で何が行われてるのかの調査ってあんまりなくて、基本的には子どもの社会進出の場みたいな見方が多かったんです。

 でも僕はそうじゃなくって、ボランティアだけど「教育機関・教育空間として機能している」という見方をして、その中でどういう教育活動が起こってるのかを体系化しようという研究をしています。

 ここからはその仮説を実際に社会へ実装することを目指しつつ、別の場所の子ども文庫と比較して、仮説の精度を高めていくのも必要だなと思ってます。それを深めるために大学に行って勉強したいなと思ってますし、日本も含め、アメリカとかでも色々な取り組みをされてる方がたくさんいるので、色々なものを見ながら、すごいざっくりになりますけど、より良い教育の形を探していければなと思ってます。

読書の魅力って何ですか?

 色々ありますけど、特に、本に没頭するっていう現象が好きです。アメリカだとリーディングゾーンっていうんですけど、例えば、ご飯の時間とか関係なく本を読み耽っちゃうみたいな感じ。

 そこに自分1人の力でたどり着く人もいるけど、教育としてそれを引き出すって意味で、子ども文庫の取り組みは大きいなと思っています。僕もそこで本への没頭っていうのをすごい楽しんだし、他の子ども達もそうなんですよね。

 本への没頭を引き出していくのが前提として大事で、その先に物語を楽しむとか自己実現に繋がっていくんじゃないかなと思ってます。

 読書の効果として、例えば、語彙力や読解力、認知的能力が上がるというのはもちろんあるんですけど、僕はそれが読書の本質ではないと思ってて。

 本質としてはやっぱり、物語を楽しめるかどうかだろうなと思っています。小さい頃から物語を親しんでいる、物語の楽しみ方をわかっていることは、その後自分の人生を切り開いていく時にすごく大きな糧になるなって思います。

 没頭できる本が見つかったからといってその1冊で人生が変わるとかはあまりないとは思うんですけど、でも、本の楽しみ方がわかれば別の本に手を伸ばすことに繋がると思いますし、そういう、一つに出会うことで世界が広がっていくっていうのは絶対あるなと思ってて。そこから価値観を取捨選択していって、自分の軸みたいなものが培われていくのかなって思います。

 今まで多かった読書教育に関する研究だと、どうしても文章に対する理解であったり文章に通した読解力みたいなものがメインになっていて、本に対してではなく文章に対しての研究なんですよね。

 本・読書自体を楽しむってところを研究する人がほとんどいなくて、上手く一般化できればいいなと思ってるんですけど、僕自身もあくまでも読書教育を志してる身でしかないので、実践して学びながら、自分がその領域で自分なりの成果が出せればいいなって思ってます。

 「読書教育」という名前を聞くと、どうしても「本は読んだ方がいいから子どもに本を読ませるための教育」となりがちなんですけど、子ども文庫とかも含めて新しい定義を何か作らなきゃいけないなと思ってます。僕の中では、まだいいのは見つかってないですね。

たとえば5年後の目標などはありますか?

 正直わからないです。ただ、これはMAKERS U-18で気づいたんですけど、今やっていて楽しいこと、夢中になれることを本気でやりたいなって思っています。

 活動を始めた後、高2の時くらいは、賞をもらったりとかメディアに出たりとか、活動がいい感じになってきました。でも逆に、賞をもらいたいみたいなのが出てきてしまったんです。

 助成金とかってどうしても社会貢献みたいな文脈が入ってくるじゃないですか。なので、今の活動と社会貢献を何とか結びつけて取り組まないといけない、そうしないと、このいい感じの時期が終わってしまう、多少無理やりでも社会貢献・社会課題の解決みたいなところを主眼に置いたプロジェクトを始めよう、みたいな焦りがあって。

 でもいくら考えてもそこにしっくりこなかったんですよね。そのモヤモヤしたままMAKERS U-18に行って、合宿のワークにチームで夢中に取り組んだことで、やっぱりそういう、本心から夢中になれるものが好きなんだなってところに気づいたんですよね。

 あと、ゲストでいらっしゃったコミュニティナースの矢田明子さんに壁打ちしていただいた時に、「何かしっくりきてないよね」みたいな話になって。その流れで"まちライブラリー"を提唱してらっしゃる磯井さんという方を繋いでいただいて、夜に2時間とか3時間とかがっつり話をして。

 それで何か吹っ切れたというか、もっと好きなこと、楽しいこと、わくわくできることっていうのを軸にしてもいいよな、って。磯井さん自身もそういう考え方でやってこられた方だったので。

 評価ってあくまでも、他者の軸じゃないですか。その中で評価されていることはもちろんいいことだし、それで自己肯定感、自己効力感が出てきていたのも事実。今でもそれはもちろんあるんだけれども、そこに頼らなくても、自分の能力であったり価値みたいなものを自分の中で発揮できるって気づいたというか。

 なので、無理に社会貢献とかは一旦考えず、本当に自分がやりたいことをやった方がいいなと。賞とか評価していただけるならそれでいいし、されなかったとしても自分はやりたいことやってるわけだから楽しいよね、だから本気で好きなことを頑張ろうって考えにシフトできたかなと思います。

 そこで一旦、社会貢献とか切り離して、一番気になってたことを調べようってなったのが今の研究ですね。

 そこから研究にガッツリ時間を割いていって、その中で、研究の分析をして考えてってところの面白さ、それをどう応用していこうっていうワクワクみたいなものに一気に傾いていったっていう感じですね。

 ワクワクとか本気でってところをキーワードにしつつ、自分の能力だったり価値を発揮できたらというのが、一番の生き方ではあります。少なくとも今は子どもと本ってところに、研究や社会実装ってところで自分の能力を発揮できる部分があるんじゃないかなって思っているので、これからもやっていこうと思っています。

谷津さんの想いや理想、そこから湧き出る行動や挑戦、いかがでしたか?
引き続き、応援しています!

[取材日]2023/03/02
© 2023 Rinyu Tanitsu&ETIC. All Rights Reserved.

<最後に>

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