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大分で新会社を創業しました。ポテンシャルのある留学生の力を証明し、愛を持って、共に社会へ突っ込みます。-Yujin

MAKERS U-18にはどんな人が集まっているのでしょう?6期生、山口由人さんに詳しく聞いてみましょう。

9期生エントリー受付終了!10期は2025年3月末開催予定。今冬情報解禁。
詳細はこちら▶https://u-18.makers-u.jp/

簡単に自己紹介をお願いします。

 山口由人です。株式会社Emunitasを創業して、日本にある企業がリモートの有給インターンシップを通じて優秀な外国人留学生と協業できるプラットフォームを運営しています。その前は、一般社団法人Sustainable Gameを中3の時に立ち上げて運営していました。

創業のきっかけを教えてください。

 この4月に大分の大学に進学して、入学式の前日ぐらいにベトナム人のルアンくんと出会ったんです。

 彼は元々、アメリカの名門大学に合格するぐらい優秀なプログラミングのスキルを持っていて、かつ英語力もめちゃくちゃ高くて、日本人だらけのバレー部を1人で牽引できるぐらいのマネジメント能力があるような、すごい力の持ち主なんですけど、

 「じゃあ今は何をやっているの?」と聞くと「駅前の英会話教室で働くしかなくて、それと近くのカフェで時給850円とかで働いてる」みたいな話をしてくれたんです。

 その時に、すごく違和感を持って。「なんでこんなにも、スキルを持って、タレントがある子が他の人でもできるような仕事をしてるんだろう」って。

 しかも、彼もそれをやりたいとは思っていないんですよね。

 そんな、自分の持ってるやりたいこととかスキルを活かしきれてないっていう状況にすごい違和感を持って。「彼のために何とかしたい」と強く思って、「株式会社Emunitas」を7月に登記をしました。

 「Emunitas」という社名には、「Empathy-相手の状況を理解しようとする努力と能力-」と「Unity-失敗を気にせず、皆で一緒に挑戦すること-」の二つを組み合わせて、僕の元々の価値観としてある「みんなで生きる世界はみんなで作りたい」って想いを表現しました。

  「Emunitas」って単語自体もラテン語で「その人の制約を解き放つ」っていう意味が込められてるんです。

 その言葉の通り、事業を通じて、留学生だったりとか、いわゆる「外国人」という括りに入ってしまっていて「自分のポテンシャルを証明したくてもできないような人たち」が持っている素晴らしい「スキル」や「タレント」をちゃんと社会に証明して、もっと自由に生きることができるような、そんな社会の仕組み作りをしたいと思っています。

詳しい事業内容を教えてください。

 現代、日本企業に留学生が就職したいと思った時、日本企業側はどう思ってるかっていうと、「留学生って正直何ができるかよくわからない」、なんなら「怖い」みたいに思う企業が多いと思っていて。

 「英語で履歴書が送られてきても読めない」、「英語で面接をしたりしてもちょっとよくわかんない」、「大学のGPAめちゃくちゃいいんだけど、GPAだけで何の力があるかわからない」みたいな状況があって。リファレンスチェックが上手くできていないんです。

リファレンスチェック(Reference check)」とは、キャリア採用を行う企業が、採用しようとしている応募者の会社の上司などに、その職場での経歴や仕事ぶりなどについて問い合わせることです。

引用:https://www.hrpro.co.jp/glossary_detail.php?id=141

 一方で留学生側はそもそも、英語で有給のインターンシップができる機会がほとんどなくて、アルバイトやGPA以外のリファレンスを自分で持っていくことが、そもそもできない。

 リファレンスチェックが困難な日本企業と、リファレンスを出すことが困難な留学生。

 そんな状況で「やっぱりリファレンスチェックの体制が双方にないこと」が問題だよね、ってなって、その「リファレンスチェックができる体制作り」を今事業としてやっています。

 具体的な仕組みとしては、まず弊社で「OJT(On the Job Training)」のプラットフォーム、「小さな商社」っていう名前を仮で付けてるんですが、そのプラットフォームの中で留学生たちに、インドやインドネシア、スリランカ、ルワンダなど海外の企業と日本の中小企業を橋渡しするような仕事をしてもらっています。

 その業務内容をトラッキングして、彼らにどのような成長があったのか、期間内で何ができるようになったのか、どんなスタンスで働いてきたのかなどをデータ化・スコアリングすると、常に第三者によって評価されている状態で、OJTの中で働くことができる。

 自動的にリファレンスデータが蓄積されていって、チェック済みのデータを日本企業さんが見てマッチングできるって仕組みのサービスになっています。

 事業内容やターゲットは思いっきり変わってるんですが、ソフトの部分、自分の想いの「みんなが生きていける社会をみんなで作りたい」ってところはSustainable Game時代と変わらないですね。

 Sustinable Gameの時に取り組んでいたことや課題感も今に反映されてると思いますし、中高時代からずっと続けてたことや価値観が、少しだけ形や見た目を変えて今も続いているっていう感じですね。

話に挙がったSustainable Game時代のことも教えてください。どんなことが今に繋がっていると感じますか?

 僕は元々、今で言うと課外活動や高校生起業家みたいな括りに入ってる場合が多いんですけど、そもそも自分の原点としては、「みんなで生きる世界をみんなで作りたい」ってところにあるのかなと思っていて。

 小学校の3年生ぐらいの時、自分の誕生日会を開いてたんですけど、そこで男子と女子が分かれて遊びだした時に僕が一人泣き出すってことがあったらしいんですね。

 それみたいに、「みんなでいるのになんでみんなでやらないの」みたいなところに自分の原点があるのかなと最近感じていて。

 そういった意味でSustainable Game時代も、本当にいろんな仲間と一緒に活動をしていました。

 地方の子たち、経済的にあまりお金がない子たち、ある程度裕福な子たち、バックグラウンドも興味関心も全然違ったメンバーが60人ぐらいいて、そういうメンバーと一緒に何かをしたいってことをこだわるために、お金も集めて交通費はちゃんと出せるようにして、タレントさんとか関わりづらい人も巻き込もうとしていたのも、自分のそういう価値観があったからなのかなと。

 そもそもSustainable Gameでやっていた、企業・自治体と中高生が一緒に連携する場所を作りたい、未成年・中高生たちが、社会的信用がないとかお金がないとか、環境が十分に与えられてないという理由で社会問題解決だったりプロジェクト活動ができないって状況変えたい、っていうのも、みんなで作りたいっていう価値観がすごく影響していたのかなと思っています。

 みんなで生きる世界をみんなで作りたいって、マクロすぎるじゃないですか。でもだからこそ、自分以外の人たちを大事にしていたというか、メンバー1人ひとりが、ここに来てどういうやりがいを感じてるのかってことをとにかく分析して、それを何とかしてでも達成してあげたいなと。

 イベントがしたい子だったらイベントを、メディアをやりたい子がいたらメディアをやろう、って感じで。

その人がやりたいことを、というのは今の事業内容とも似ていますね。

 そうですね(笑)。

 もちろん、上手くいかなかったとか継続できないって時もあって、その時はメンバーと一緒に折り合いを決めたり、メンバーが辞めたいって言ってたら、なんで辞めたいのかも一応聞いて、もしその子が別のところの方が良さそうだなと思ったら、新しい団体だったり紹介したりして、その子がしたいことができるようにしたい、そんなことばっかりやってました。

 その延長線として、在留資格のない高校生だったり、入国管理局の収容所にいる外国人の方のドキュメンタリーを撮ったりサポートする活動もやってたりとか。

 正直、何か一貫してやってたとかそういうのは特になくて、色々な人ととにかく関わりたい、色々な人と一緒に何か作りたい、みんなで作りたいっていうのが、自分の原点になります。 

他に今の価値観につながるような出来事はありますか?

 Sustainable Gameの理念が「愛を持って社会に突っ込む」ってものなんですけど、どうしてその理念にしたかというと、中3ぐらいの時に、カンボジアの社会的企業にインターンするプログラムに参加したんです。

 そこで、パブストリートっていう、シエムリアップにある繁華街というか治安の悪いエリアでビラなどを配って宣伝するって活動があったんです。

 でも上手くできなくて、西洋人の人に唾を吐かれたり、スラム街の子どもみたいな扱いされて、人見知りなのもあって、無理やわと思って。

 そしたら、その企業のFounderの女性の起業家の方が、ビラをパッと取ってレストランの中にズダズダ入ってってどんどん渡していったんです。

 なんでそんなことできるんだろうって、その人の背中がもうめちゃくちゃかっこよくて。

 その人のバックグラウンドも、カンボジアのスラムのエリアで生まれて、家族養うのがめっちゃ大変で、家も洪水で流されるみたいな状況の中でアメリカで出稼ぎに行って、ダンサーで低賃金で働かされて、今帰ってきて。その人は高校に行くことが夢って言ってたんですけど、高校に行けない同世代の子たちを自分の地元からもう出したくないという思いでやっている。

 それに愛みたいなのを感じて、その背中を見た時。そこまでできるんだって思って。

 でもそれだけじゃビジネスとしてはめっちゃ赤字で、そんな社会の矛盾みたいな何かをなくしていくってことが、それこそ自分の価値観であるみんなで生きる、みんなで作るってことのために必要なんじゃないかって。

 その姿がそのまま「愛を持って社会に突っ込め」って言葉に表れたのかなって今でも思っています。団体の理念でもあるけど、個人としての理念でも、奥深くにありますね。

やりがいやモチベーションにしているものは何がありますか?

 やっぱり「他者がいること」がすごく大事な人間だなと思います。

 最近、ドイツに住んでいた小学校時代の同級生と話してて、僕は覚えてなかったんですけどその子からエピソードを聞いて。

 僕が小2ぐらいの時に、その子が「私の将来の夢はディズニーランドのキャストになることです」みたいなことを言ったら、次の日ぐらいに僕が、ディズニーランドのキャストとは何か、みたいな本を図書館で借りて、それをその子に渡していたらしく。

 僕は全く覚えてないんですけどその子が強烈すぎて覚えてたらしくて。今聞いたら僕だったら嫌だなと思いますよそんなやついたら。ただ、そういうところはあったみたいですね、昔から。もう無意識にやってたみたいです。

 あとは今でも覚えてるのは、僕がドイツにいた時に親の会社の人が家に飲みに来て、僕の親は酒がそんなに強くないのですぐ寝ちゃうんですよね。まだお客さんいるのに。そういう時に、僕がバイオリン弾いたりとか麻雀したりとかして接待するみたいな。

 性格というか、そういうのが好きなんですよね。趣味みたいな。褒められたりもしなかったですけど、それでもやってましたね。

 あと、これも最近気づいたことなんですけど、話しかける緊張度よりも、その人への興味関心がちょっと上がっちゃうと、声をかけちゃうみたいなところがあるなって。

 誰も信じてくれないんですけど実は結構人見知りで、初めての人に声をかけるときって、すごい緊張するんですよね。もうめっちゃドキドキして心臓が。

 入試の会場とかでも、隣の席に座った知らない男の子にお菓子をあげたんです。途中で。それだけ話すとお前人見知りじゃないだろみたいと言われるんですけど、その時もいつあげるかずっと悩んでて。

 なんで声かけたかったかっていうと、その子がトイレに行く時の「ちょっとすいません」、「ちょっとあのいいですか」みたいな感じの優しさみたいなのが溢れていて、しかも勉強の仕方もすごくユニークなノートの使い方をしてて、この子に興味があるって思ったんです。

 この間も、渋谷で手の指全部に銀色のリングつけて、ピアス何個つけてんのみたいな高3の子とベンチでたまたますれ違った時に、お前何やってんのとか聞いちゃって。

 そしたらその子がまさかの青学の入試帰りだったっていう。そういうのってやっぱめっちゃ面白いなって思うし、そういう子が友達思いだったりして。そういうのが単純に面白いし、誰とでも話してみるもんやなっていうか、そういうのをずっと続けてきてるなっていう感じです。

人と話す、関わるのがシンプルに面白いってことなんですね。

 そうですね。面白いもあるし、一緒に何かしたいなという気持ちも湧きますね。

 仕事柄色々な地方都市を回らせてもらってて、そういう時も、ローカルに友達を1人作ることを1つの目標にしていました。居酒屋とかでも声かけたりとかしちゃうんですよ。

 なんか殴ってきそうみたいな人はちょっと時間かけて様子見てから声かけますけど、そうじゃない限りは基本的にとりあえず声かけてみます。最初の瞬間の心臓ドキドキ感がやっぱりすごくて、国際会議とかで登壇するよりも、緊張しますね。

 ある意味「おせっかい」みたいな自覚があるので、会社の仲間を増やす時も、会社の中で決めた基準とかも踏まえながら、「自分よりも優秀な人を採る」っていうところを一つ自分の中で決めています。

 でも、会社の採用に限らず、「他者」がいるとすごく自分は熱くなれるし、「その人がどういう人か」を客観的に見つめて、その人が「今ここで悩んでるんじゃないか」、「こういうこと考えてんじゃないか」みたいなところに寄り添える力があるのかなと感じ始めています。

 なので、そういうことを、ずっとやっていくんじゃないかなって思います。

長期的に目指しているものなどはありますか?

 正直、そんなに想像できないんですが、すごく強く思っていることがあって。

 最近新しく入ったミャンマー出身の子がいて、ちょうど一昨日ぐらいにご飯に行って、ゆっくり2人で話してたんです。

 話を聞くと、僕と同じ2018年くらいにその子もミャンマーで起業していたらしくて。だけど、環境的に整っていなかったから、自分のアイデアを形にするためのリソースも得ることができず、制限をかけられちゃったらしくて。

 本当に、めちゃくちゃ優秀で、僕より全然、本当に必死に勉強して色々なことに挑戦してるのに、そのチャンスに制限をかけられちゃって。

 ミャンマーでクーデターが起きてから、より制限されてしまって、昼間もほぼ家から出ることできず、家でオンラインでビジネスを学ぶことしかできなかったと。

 ある日、彼女が家に一人でいる時に、兵隊さんが2人ぐらいノックしてきたことがあったそうです。もう恐怖ですよね。ドアを開けて「私はデモのチラシは持っていません」と答えたら大丈夫だったんだけれど、周りの友達とかは普通に捕まっている。「自分も捕まっちゃうじゃないかな」と思うと夜寝れなくなってしまうくらいくらいストレスを抱えてしまって。「この国から出たい」と思って、ようやく9月に日本の大学に来られたそうなんだけど。

 その子が持っている「ビジネスで稼ぐスキル」や、「マーケティングに関するスキル」、「誰かのために何かしたいって思い」が、本当に溢れているのに、母国では何もできない。

 日本にその機会を求めて来て、日本で実際に起業や就職をしたいと思っているけれど、今できることが「ケーキ屋さんのバイト」だけみたいな。

 「いや、違うでしょ」と。もっと君が持ってるポテンシャルを証明できる方法って、大学の在学中にもあるはず、その方法を今、自分の会社で作ってるんだって、改めてすごい実感したんです。

 実際ミャンマーの人も少しずつ増えているし、パキスタンやウクライナ、パレスチナなど、色々な国の人たちが日本にやってきて助けを求めてる人がいる中で、そういう人たちのためにも、彼らのポテンシャルをちゃんと証明して、社会の中で生きられる世の中を作らないとな、という使命感みたいなものを今すごく持っていて。その強い気持ちをちゃんと行動に残していきたいって思ってますね。

 それが4年後ぐらいに実現できたら、幸せかなと思ってます。

 あとは世界中を旅したいし、世界中、そして国内を旅しながら、いろんな地域のプレーヤーをサポートしながら、自分の使命を全うしたいなと思ってますね。

4年後、どうなってるんでしょうかね。楽しみです。

山口さんの想いや理想、そこから湧き出る行動や挑戦、いかがでしたか?
引き続き、応援しています!

[取材日]2023/10/17
© 2023 Yujin Yamaguchi&ETIC. All Rights Reserved.

<最後に>

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