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対話の力を信じています。対話の場を届け、人と人との間にちょっとした幸せを生み出す。-Takeru

MAKERS U-18にはどんな人が集まっているのでしょう?6期生、櫻井竹琉さんに詳しく聞いてみましょう。

9期生エントリー受付終了!10期は2025年3月末開催予定。今冬情報解禁。
詳細はこちら▶https://u-18.makers-u.jp/

簡単に自己紹介をお願いします。

 櫻井竹琉です。株式会社アソリアを創業して、企業向けにチームビルディングやアイスブレイクのワークショップやキャリアイベント企画提供をしています。また、大学でコミュニケーションや対話について学んでいます。

その事業を始めるきっかけを教えてください。

 元々対話だったりコミュニケーションだったりを届ける事業をしていきたいなって考えていて、それを一番最初にビジネスにするんだったらどういう形になるんだろう、と考えた時に、チームビルディングやアイスブレイクの企画提供はできることかつ求められている領域だなと思い、事業を始めました。

対話やコミュニケーションを大事にするようになったのはどうしてですか?

 小学3年生ぐらいのブラインドサッカーとの出会いからかなって自分の中ですごい思っていて。視覚障害を持っている人たちが身近にいたことが、コミュニケーションの領域に足を突っ込む価値観が育まれたのかな、と思います。

 ブラインドサッカーを見たり応援したりする中で視覚に障害を持っている方と関わるのが、自分の中ではかなり一般的というか、それが普通で、楽しいなって感覚だったんです。それはもう無意識で。

 それから高校生ぐらいになった時に何かやってみたいなと思った時に最初はブラインドサッカー関係からスタートして、障害者理解っていうような言葉を使って活動し始めました。そのうち、「大事なのは障害者理解じゃなくて、相互理解だよな」と思うようになって。

 ブラインドサッカーは視覚障害者だけで成り立っているスポーツではなくて、晴眼者も混じって初めて成り立つスポーツなんです、そういう特殊性があるからこそ、コミュニケーションがなされないと、まずそもそも成り立たない。そういうスポーツは中々ないと思うんですけど、そういう、ブラインドサッカーの特殊性というか、「コミュニケーションがないと成り立たない」っていうところを、自分の中で強く感じまして。

 なので、一方的に障害を理解するだけではない、お互いに理解し合って、いわゆる共生する、ともに生きること。健常者側だけがどうこうしても達成できる話じゃない、っていうところが、高校生の最初に気付きとしてあって、それらが積み重なっていって自分の中で外せなくなっていったのかなと。

 また、自分自身の弱みというか、欲しかったものをつくりたいというのもあるのかもしれません。小中学校のときにいじめのようなことがあって、わかってもらえなかったし、わかろうともしてもらえなかった。苦しいけど誰にもわかってもらえない感じ、孤独とか。でも、ブラインドサッカーでは、必要としてくれる人もいる。

 この両面を経験した中で、今はコミュニケーション、コミュニケーションといっても色々ありますが、対話の場を作ることを一番最初に掲げています。

 対話の場ってどんな価値があるのかっていったら、色々なことを考えたり、色々なものや人と向き合うことで生まれる余白、心理的な安全性、「安心って思える場」だと思っていて、それを提供したいと思っています。生活の中で一番時間を占めている学校だったりで自分が認めてもらえないのはやっぱり苦しくて、何かずっと満ち足りないみたいな、同じような思いを抱いている人はどこかに絶対いると思うから、そういう安心できるような場を届けたいなっていうのは一番最初の根底にあったと思います。

コミュニケーションと対話は違いますか?

 分けて捉えていますね。 コミュニケーションは、「目的を持って何かを伝える」こと、特に「伝えること」に比重が高いものだと思っています。会社でのコミュニケーションが必要っていうのも、「伝えたいことは伝わらなきゃいけない」っていう前提がある。そこからさらに「聞くこと」や「傾聴力」とかも入ってきますが、結局は「何かの目的を達成するために何かが伝わった状態」ことを重視したものだなと。

    一方で対話は、自分の中では、「価値観のすり合わせ」だったり、何かの「問い」を中心にして言葉をやり取りする、そう、「やり取り」に注目しています。ある種、「何かを伝える・伝わる」ことが重要ではないから、創造的な新しいものも生まれる。結果が必ずリターンとして求められるものじゃないと思っています。なので、「お互いにわかり合う」ためには対話という言葉が近いかなと思って、深みを持った言葉として「対話」を使いますね。  

会社を創業したのはどうしてですか?

 自分で活動していく中で、挫折というか、全然形になっていかないし、誰かに届けているという実感もないって感覚があったんです。 自分の「届けたい」とか「伝えたい」という想いが先行して、コンテンツが全く面白くなくて頓挫したっていう経験があり、とても悔しかったです。

 そこから、やっぱり形に残るようにやっていきたいなと思って。 なんだろうな。自分の逃げ場をなくす意味で、「自分の思い・イメージを形にして、何かを届けるための法人」を持ちたいと思ったのが、会社にした理由になりますね。

 2021年の8月に起業しました。高校卒業して、半年ちょい過ぎですね。 元々は起業したいってタイプではなかったです。

起業してどのような実感がありますか?

 やってみてすぐ実感しているのは、「思いを形にすること」と「それがビジネスになること」の壁がものすごい高いって感じていて。

 例えば、僕はチームビルディングは、「チームを改善していく方向」ではなく「基盤を作る方向」のものだと考えているので、若い組織に届ける必要があると思っています。ですが若い組織ほど、「必要だ」とこちらが考えていたり分析していても、当事者が「自分にはそれが必要だ」と思うわけではない。 どうにかして「必要だ」と思ってもらわないといけない、その壁を突破しなければいけないと気づいた時に、この事業は形になるのに時間かかるものだと感じました。今、そこの壁にぶつかっています。

対話を届けたい人、対話を必要としている人ってどんな人だと思いますか?

 若い人だと思っています。なぜかというと「自分ってどんな人間?」のような、自分も他人もわからないことって対話が必要だと思うんですね。「コミュニケーション」は人と行うものだけれど、僕としては「対話」は必ずしも目の前に人がいなくてもいいと思っています。「自分との対話」もそうだし「人との対話」もそうですが、「自分を知る必要がある」人に「対話」を意識してほしいなと思っています。 

 自分の実体験として、やっぱり中高生とかの若い時期に、何か違和感があったんですよね。 中3、高3とかになったら受験とか、大学3・4年生になったら就活っていうのは違和感があって。「進学すること」「就職すること」が目的にして考えてしまう。それは必要に迫られて考えているってこともあるけれど、そういうことをもっと日常的に考えられたら、継続して考えられたらいいよね、と思っています。

 自分が一番大切にしたい価値観に気づくことって重要だなと思っていて、「対話」を若い世代に意識的に届けたいと思っています。

 弊社「アソリア」のロゴって、人と人との間にビックリマークがあって、第三者として人と人との間に入ることによって生まれるものを大切にしたい、という思いを込めたロゴで、そのイメージは自分の中ですごく大切にしています。

 「言葉によって、気持ちが動く」ような、そういう体験のサポートを自分がして、場を作ることによって、当事者の2者の間で気持ちの動きのようなものがあったらいいなというか、それを産みたくてやってるなと思います。

それを生み出すための仮説はありますか?

 「空間」「環境」「時間」などを整えることによって、対話ってどれぐらい変わるのか、人の言葉でどれぐらい変わるのか、っていうことを考えています。 人がファシリテートをしたりするだけでなく、「環境を作るというサポートをすれば、コミュニケーション力の有無に関わらず、気持ちが動くような、心が動くような対話ができるんじゃないか」という仮説ですね。なので対話って言語的な営みだと自分では思ってるんですけど、それを非言語の領域というか、空間を作ることによって出てくる言葉にどれだけに影響を及ぼすことができるんだろうっていうのは、最近考えています。

大学ではどんなことを学んでいるんですか?

 今中心に学んでいるのは言語コミュニケーションですね。

 元々、高校卒業して大学入学してって感じじゃなくて、高校卒業して何もない1年間があってその時間に大学に行く意味とか、そもそも大学行かなくてもいいんじゃないかとか、色々考えていました。その時期に起業もしたんですが、やっぱり何か学びたいなっていう意欲があって。

 じゃあ何を学ぶかってなった時に、別に大学じゃなくてもいいんじゃないかって選択肢も持ちながら考えると、自分がこのアソリアって会社を手放したとしても、何だろうな、死ぬまで付き合っていくものって何だろう、自分が自分じゃなくなるくらい不安になるものって何だろうって考えた時に、コミュニケーションや人との関わり、繋がり方だなと思いました。 なのでそれを学ぶのであれば、学問として多面的に、哲学だったり、心理学もそうだし、社会学や教育の領域、福祉の領域など、網羅的に、多面的に学びたいなと思って、それが学べるような大学に入学したいなと思って入学したのが、今の大学なんですね。

 高校卒業してからの1年間で、ほぼ何もせずに、ただ考えるだけの時間をとっていたんです。そこで成功体験があって。考えることに集中した結果、何か自分が安定したというか。活動しながら、つまりアウトプットしながら、インプットもするっていうのは、おそらく自分の中で合わないんだろうなと感じました。

 なので、インプットとアウトプットを区別して、時期を設けてやろうと思っています。今の大学1年生・2年生の間はインプットの量をとるために、大学を主軸にすることへ割り切ろうと思っています。  大学3・4年生になるところでちゃんとビジネスとして回るように、今インプットして、その先にどうアウトプットしていくかで考えています。

今後目指していることはありますか?

 アソリアとしての今後の目標は、リアルな場を持ちたいとずっと言っています。人が集えるというか、人が安心してくれるような場所をちゃんと作りたくて。さっき言った非言語的な、空間づくりだったり、椅子の配置だったり、色々なことをこだわって理想的な対話の場所を形として作って、提供したいなっていうのは思っています。 サードプレイスというより、アナザープレイスというか。「自分にとっての別の場所」みたいなものを作れたらいいなと思って当面の目標ですね。

 長期的なところでは、「社会を変える」ような、そういう大きいことは全く自分の中では描いてなくて。もはやモチベーションもあまりないです。ではどこにモチベーションがあるかって言ったら、「対話の場」を届けることによって「自分の言いたいこと言える」とか、「面白い価値観に出会った」とか、「面白いことに気づけた」とか、「気づけなかったことに気付けた」とか、「楽しかった」でもいいし、「安心できた」とか、「ほっとした」とかでもいいし、そういうちょっとしたことを生み出したいんです。 自分の作ったもので「緊張が緩んだ」「肩の力とか顔の筋肉が緩んだ」みたいなことを実感してくれて、それを見れたら、幸せだなと思うし、それが「対話が持つ力」なんじゃないかなと思っています。

 「対話の場」が届けられるものは、色々な人と向き合うための心の余白、そして前提としての「安心」「安全」だと思える場所。それによって本当に緊張がほぐれたなら、また「自分と向き合いたい」とも思えるだろうし、もっと人と向き合うこととかに積極的になれるんじゃないかと思っていて。それができればそれだけでいいなと思っています。

 自分自身人に頼るのがコンプレックスだったし、できなかったから、それらの要因としての緊張がほぐれるだけで、少しでも生きやすくなる。そこに貢献できているって実感できたらいいなって思っています。なので、社会全体を見ているというより、身近な、自分の周りで、少しずつポンポンポンポンと「花が咲く」みたいな、そういう連鎖を起こせたらいいな、というのを考えています。

<編集後記>

櫻井さんの想いや理想、そこから湧き出る行動や挑戦、いかがでしたか?
引き続き、応援しています!

[取材日]2023/2/13
© 2023 Takeru Sakurai&ETIC. All Rights Reserved.

<最後に>

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こちらのnoteに新キャッチコピーに込めた想いを綴らせていただきました。

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今後とも、応援よろしくお願いいたします。

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