見出し画像

ときめきで生きてます。ドキドキに合わせて光るイヤリングで、心が可視化された世界を映し出す。-Ayumi

MAKERS U-18にはどんな人が集まっているのでしょう?4期生、山本愛優美さんに詳しく聞いてみましょう。

9期生エントリー受付終了!10期は2025年3月末開催予定。今冬情報解禁。
詳細はこちら▶https://u-18.makers-u.jp/

簡単に自己紹介をお願いします。

 山本愛優美です。ドキドキに合わせて光るイヤリング型デバイス"e-lamp."を開発しています。耳たぶの血液の動きを読み取ってそれと光のセンサーを合わせることで心臓のドキドキに合わせて明滅するって仕組みです。

どうして作ろうと思ったんですか?

 「ときめきとは何か」ということについて心理学と工学の分野で研究する中で、自分たちの身近な生体情報、ドキドキとか表情とかを可視化することで自分の感情やときめきを伝えやすくなるんじゃないかなと思ったんです。

 元々ときめきについての研究を2020年3月くらいから始めていて、その年の1月まで別のプロダクトを作っていたんですけどピボットするってタイミングの時で、何かこう、もっと自分だけが社会に出せる価値はないんだろうかっていうのを考えていった時に、ときめきを探求してそれによって何か価値を生めるような、アカデミアとビジネスを接続するような何かしたいと思って研究を開始しました。

 研究内容としてはときめきって言葉の使われ方とか。ときめきって日本固有の言葉で、言葉を遡れば、枕草子とか源氏物語とかに出てきた古語から発展してるんですけど、それが現代の日本でどんな使われ方をしているんだろうってことがリサーチの一つですね。

 そこからドキドキを見せるって形に発展していったんですけど、人が自分の生体情報を何かしらの形で他者に表出することを「ソーシャルバイオフィードバック」って呼ばれているんですけど、その行為そのものが他者の親密感だったり、お互いのポジティブな感情だったり、繋がり感を深めるって研究で言われていて、そこって日本で言われているときめき、特に他者とのコミュニケーションによって生まれるときめきと近いんじゃないかなと思って、何かしら関連性を見出せないかなと思って始めました。


そうなんですね。最初からイヤリングにしたいと思ってたんですか?

 最初は表情に合わせて色が変わる間接照明を作ってみたんですね。ときめきを促進するために他者と生体情報を共有することがいいんじゃないかと思って、コロナ禍でパソコンに向き合う時間も増えたので、パソコンのそばで自分の感情を共有できるものとして作りました。

 そこからわかったのは、日常で自分の生体情報をインプットするための機材を携帯したり備え付けるのは難しいよなと。なので、もっと手軽かつ身近な手段で生体情報を計測できるデバイスに改良しようと思い、イヤリングに。ウェアラブルでかつ顔の周りで自分の情報が提示できるイヤリング型のデバイスを作ろうと思って改良を進めていきました。

 正確にはときめきというよりドキドキを可視化するデバイスなんですけど、e-lamp.でドキドキを可視化できた時は、自分のドキドキってこんなに綺麗な形をしているんだってすごく嬉しくて。プロダクトを作りたいと思ってから出来上がるまで1年半ぐらいかかったんですけど、いろんな方の協力があってこれができた時には、もう感動で涙が出そうでした。

 今年の4月にオープニングイベントを開催して、その後、佐俣アンリさんが代表のANRIさんから資金調達をさせていただきました。

そもそもときめきを大事にされるようになったのはどういう背景があるんですか?

 背景としては父も母もエンジニア、親戚でもクリエイティブな仕事をしている人が多くて、そういう、自分の作りたいって思ったものを自由に表現している周りの人たちに小さい頃からすごく憧れていました。ただその一方で、小中高と学校の中で、こういうことをやってみたいとか、ああいうことをやりたいと表現した時に、周囲の人から中々ポジティブなコメントをもらえなくて、「なんでそんなことするの」「そんなことできないよ」とかそういったことを言われて。もっと自分の思ったことを自由に表現して、それを他者に受け入れてもらえるような、そんな関係を作りたいなとずっと思っていて。考えて考えて考えていった結果、ときめきっていう言葉に集約されるんだなと2018年に気がつきました。

 高校2年生の時に起業したタイミングで、メディアの取材を受ける中で自分のモチベーションだったり、「何に向かって動いているんですか」「なんであなたはこれをしているんですか」ということをよく聞かれてたんですけど、ただ楽しいからやるみたいなノリで、無意識的に「ときめいたから作りました」と答えていました。これまでやってきた学生団体を作ったり、いろんなものを立ち上げたり全部がそれにつながってるなと。

 高3の8月に人生についてめっちゃ内省するってタイミングがあって、高校生終わるな、自分の人生って何をしたいんだろうなって改めて考えていく中で、自分のモチベーションはときめきってシンプルな言葉に集約されているなってのを感じましたね。

 でも、そんな風に言い続けていたときめきって言葉も、何となく自分を突き動かすポジティブな感情であるということは間違いないけれど、ときめきが何たるかって、意外と私はわかってないなって思って、それを探求してみたいなって思うようになりました。昔と今では全然違うことをやってますけど、それらの根本的な原動力を突き詰めていくと、本当にどんな言葉でもよかったんですけど、私はときめきだったっていう感じです。

覚えてる中で一番古い、ときめきで動いたものはなんですか?

 それこそ全然活動って段階のものでもなかったような気がしていて、それこそ、保育園から小学校に図工の時間でこういうものを作ってみたいだったり、こんなことを学校でやったら楽しそうだなって企画をイベントを作っていたりとか。あと本当に日常で、どんな服を着て過ごそうとか、何かそういった意思決定1つ1つが自分のポジティブな感覚に基づいているなっていうのが振り返った時にあって。

 ただそういうポジティブな原動力の一方で、企画した時に先生になかなか良い反応をもらえなかったり、周りから揶揄されてしまったり、そういった周囲からのネガティブな反応を見て、自分の感じたポジティブなときめきってものを出すのが中々難しいなっていうのを当時からずっと感じていました。

 なので最初は、教育だったり地域活性化っていう文脈から、自分のポジティブなもの、ときめきに繋がることができないかなって思って色々やってましたね。

起業したのはおいくつですか?

 16歳の時ですね。その時は北海道の帯広市が地元だったので、インタビューしてデータを地元の新聞社さんに提供したり、地元のNPOさんと教育プログラムを作ったり、自分たちでイベントを開催したりしていました。

 元々保育士かお医者さんになろうって思ってて、でも中学2年生の時に、親戚で起業しているおじさんがいて、元々スイスに住んでる方なんですけど日本に帰ってきた時に初めて直接話して、それで、今までちょっと遠い存在だった起業ってものが、すごく身近なものに感じてすごくワクワクして、私も起業してみたいなって漠然と思うようになりました。

 そこから中学3年生の時に「銀の匙」って漫画を読んだんです。北海道の農業高校を舞台にした漫画なんですけど、12巻で高校生の主人公が学校の先輩と起業していくってシーンがあって、それを読んで、自分も今、地元の帯広にいる中でも起業できるんじゃないかって勇気をもらって、今すぐしようってなりました。

実際に起業して、周りの方の反応はいかがでしたか?

 すごくポジティブだったなってのは覚えてます。学校の先生からもすごい応援してもらえましたし、あとは起業家育成を地元が推進しようってタイミングだったので、参加して、そこで地元の新聞社さんだったり経営者の方からすごい褒めていただいて、自分のやろうとしていることって、こんなに社会的に評価されることなんだって驚いて、そこからどんどん挑戦していこうって思うようになりました。

 MAKERS U-18が始まるタイミングでは恋愛ゲーム作るぞっていうのは決まっていて、そのブラッシュアップを合宿中にめっちゃしたっていう記憶があります。

 コンセプトは大学を舞台にした恋愛ゲームだったんですけど、それまで教育に関することをやっていて、教育の課題意識と、ときめきと重なるようなことがしたいなとずっと考えている中で、受験を終えたタイミングで大学で学ぶって、大学で何を学ぶかの解像度が高くない中で、すごくハードルが高いなというのを感じていて。周囲の受験をしていた友達を見ていても、結局自分って何がしたいんだろう、何を学びたいんだろう、何を研究したいんだろうってところがあんまり見えずに、受験勉強しててモチベーションが下がっている姿を感じたりしたので、大学のイメージをもっとより濃く見れるような体験、しかも楽しくできるものがオンラインで提供できたらいいんじゃないかなみたいに考えていました。

 その時にたまたま私がやってた恋愛ゲームで大学の教授のキャラが出てきて、そのキャラが言ってたことをすごく覚えてたので、そこからキャラクターと会話をする中で得た知識や体験って記憶に残りやすいし、感情にも残りやすいなっていうところからゲーム作ろうってなりました。

それが大学1年の時に取り組んでいたプロダクトですね。

 そうですね。山田進太郎さんの奨学金をもらったのがめちゃめちゃ大きくて、半年間一旦全力でやってみようって思ってました。半年は割と成果出たなって感覚は得たものの、そこから先がかなり難しかったなって覚えてます。

 今もコンセプトはめちゃめちゃ好きなんですけど、大学4年間を舞台にしたゲームっていうところで、コストがとても多い一方でユーザーが中々定着しないってところにかなり課題を感じて、刺さる層はいるものの、自分たちの知識や経験、技術力とかも含めて、作りたいものを実現させるとなると何年かかるのかわからない。それに私が大学4年間を割き続けるのにすごく悩んでいたなと、辞める直前は思っていました。

 そのタイミングで一緒にやっていたメンバーから「別にやりたいことができたから関わり方を考えたい」って言われて、ずっと一緒にやろうと言っていたメンバーが抜けてこの先1人でやっていけるかと自問する中で、難しさを改めて感じて、辞めるに至ったってところがあります。

 でもそこから2ヶ月ぐらい考えて、やっぱり私はときめきに関することがしたいって思って、ときめきを研究するっていうのを始めてみようかなと思い、大学2年から研究始めたっていう感じです。

 そこも結構戦略的だったなって今は感じます。当時それこそ、大学発スタートアップを推進していこうという第一波みたいなのがちょうど来始めた頃で、ゲームは資金的なところでも大きなハードルがあったので、大学の看板を背負っていくとやりやすくなる部分もあるのかなという仮説もあって、研究をもとに起業のアイデアを考えられたらいいなって考えてました。

ときめいて生きられていますか?

 ときめいて生きられてます。最近上手になりました。さすがにハードなことがあると、もうここには言えないですけど涙涙みたいなこともありますからね。でも、それこそ心に問うたり、e-lamp.をつけて鏡の前で対話したりします。落ち込んでる時は青だね、みたいな。自分と向き合えるというか、そういう使い方もあるんだなと思ったりしてます。

今後の目標や目指していることはありますか?

 今後でいうと、イヤリングのいいところと悪いところはあるなと思っていて、イヤリングって顔の周りにあるし、人の目を引くキャッチーなものであるなと思っている一方、年齢、性別、文化的な文脈などで使ってもらえるユーザーが限られてしまうのは障壁として感じています。様々な人が様々な文化の中で使えるように、イヤリング以外にも例えばストラップだったりネックレスだったり、もしくは部屋の照明だったり、身近で目に触れるあらゆるものとドキドキを結びつけていければいいな思ってます。

 私がこのe-lamp.をやっている一番の理由としては、お互いのコミュニケーションにおいて相手の考えてることがわからないとか、自分の思っていることが伝えられないという課題があるんじゃないかなと考えています。相手に自分の気持ちを伝えたいけど伝えられない、そんな時に自分の気持ちを伝えるアイテムとしてこのイヤリングがあれば、相手のドキドキの光を見て、何でドキドキしてるのっていうことを聞いたりして相手のことをより推測できるようになったり、自分の気持ちを伝えやすくなったり、そんなコミュニケーションのデザインができるようになっていくのかなと思ってます。その行為や関わり自体が、お互いに思い合える共生社会を作っていけるんじゃないかなと思っています。

 時計型のデバイスで相手のドキドキを感じるっていうことも技術的にはできるようになっているんですけど、光るイヤリングという視覚的な情報があることでより遠くの人だったり複数の人と一体感が生まれるんじゃないかなって思ってます。

 今後は、e-lamp.をライブだったりイベントで使っていただけるようにしたいなって思っています。今で言うペンライトみたいな、そういう新しいアイテムとして、ドキドキを見せる体験を提供していきたいなって思ってます。婚活イベントでいうとe-lamp.をつけてるとマッチング率が上がったってデータも出ているので、そういったところにも入っていけるといいなと思ったり、e-lamp.を使った研修だったりワークショップも行っていきたいですね。もしご希望があればぜひ、ご連絡ください。

ときめきという言葉に行き着いた頃の自分から見て、今の自分はどうですか?

 毎年振り返ってるんですけど、なんかすごいなって思います。なんか、こんなやりたいことをやらせてもらいながら、もちろんまだ道半ばですけどこういう生き方を続けられているっていうのは、いや想像より何か、すごいなって思ってます。それこそ銀の匙の最終巻が去年出て、泣きました。自分自身と重なって、私も北海道に何か名を残せたのだろうか、みたいな気持ちになって。最初は憧れから始まって、起業してみたいになってますけど、自分が何か残せたりしているんだろうかみたいな気持ちになったりしています。

山本さんの想いや理想、そこから湧き出る行動や挑戦、いかがでしたか?
引き続き、応援しています!

[取材日]2023/12/4
© 2023 Ayumi Yamamoto&ETIC. All Rights Reserved.

<最後に>

▶︎MAKERS UNIVERSITY U-18について知りたい方へ
公式WEBサイトをぜひご確認ください。

▶︎MAKERS UNIVERSITY U-18のコンセプト
こちらのnoteに新キャッチコピーに込めた想いを綴らせていただきました。

▶︎他のMAKERS U-18生についても知りたい方へ
自分のスタイルで挑戦を続ける、カオスなまでに多様なMAKERS U-18生を紹介しています。これまで取材したメンバーをこちらにまとめておりますので、ぜひご覧ください。

▶︎MAKERS U-18を体験してみたい方へ
U-18革命児の皆さんの背中を押すための企画を随時開催いたします。こちらのnoteに開催予定のイベントスケジュールをまとめています。

▶︎大学生以上の方へ
大学生版MAKERS UNIVERSITYもございます。ぜひこちらもご覧ください。

▶︎教育に想いがある方へ
MAKERS出身の若手起業家・イノベーターが、その生き様を高校生に伝える高校への出張授業プロジェクトも始まっています。

今後とも、応援よろしくお願いいたします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?