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不登校 〜負けママの奮闘記〜2 『負けママ、自分の不登校体験を語る』

さて、何からお話しするべきなのでしょうか。
まずは、私自身の不登校体験をお話しするべきかもしれません。もう、40年も前の話です。

私が不登校だったのは、小学校2年生から4年生の3年間と、中学校2年生の途中から卒業までの1年半くらいです。その当時はまだ不登校という言葉はなく、登校拒否と呼ばれていました。小学校の時の不登校の理由は、正直自分でもよくわかりません。勉強が特別苦手だったわけでもなく、友達がいなかったとか、いじめられていとかいうことも一切ありませんでした。ただなんとなく、行きたくなかったのです。いや、あれだけ長い期間行かなかったのですから、なんとなくではなく、どうしても行きたくなかったのでしょう。

今思えば、家庭環境に問題があったようにも思えますが、家に問題があるならむしろ学校に居場所を求めた方が良さそうなものですし、その辺の関連性はよくわかりません。

小学校の時の不登校は、5年生になって突然終わります。これも、理由はよくわかりませんが、子どものころ、私はうつ病だったのではないかと思うことがあります。うつが治ったから、行けるようになったのではないかと。なぜそう思うかというと、実は私は現在もうつ病で通院しているからです。若い頃から、うつ症状が繰り返し現れ、長きにわたり煩わされてきました。最初にうつ症状で病院に罹ったのは20代前半の頃だったのですが、それ以前からうつ症状がありましたので、子どもの頃からうつ気質だったと考えても矛盾はないと思います。

中学校2年生からの不登校には、明確なきっかけがあります。もともと仲の悪かった両親が、決定的な喧嘩をしまして、父は、母とたまたま家にいた私を、家から追い出しました。母と私は一旦母の実家に身を寄せましたが、通っていた公立中学校までは電車と徒歩で1時間以上かかります。私にはそこから学校に通う気力がありませんでした。家庭の問題で精神的に疲れ果てていたこともありますが、その頃私が通っていた地区の中学校はまさに昭和の管理教育の全盛期で、男子は丸坊主を強要され、女子はショートカットを推奨され、少しでも反抗すれば不良のレッテルを貼られました。教師による生徒への体罰も当たり前のように行われていました。そんな学校に、その時の精神状態で苦労して通うなんて、考えられませんでした。何もかも、どうでもよくなってしまったのです。無気力になり、引きこもりました。うつが再発していたのかもしれません。
私はそのまま中学校卒業までひきこもり、卒業式にも出ていません。

中学校卒業の半年ほど前、私にとって唯一の支えだった母が交通事故で突然亡くなりました。私は、中学校不登校中に何もかも失いました。

中学校卒業後、引きこもり続ける私を見かねた父が、とある美術の専門学校に入学させました。私が、幼い頃から絵を描くのが好きだったからだと思います。その学校は、高校卒業資格は得られないものの、大学受験資格が得られるという、ちょっと変わった学校でした。私のような不登校のひきこもりも試験なしで受け入れるくらいなので、当然ながら落ちこぼれの吹き溜まりのような学校ではありましたが、私はその学校が気に入り、毎日通ううちに、少しずつ元気を取り戻して行きました。

最終的に、私は大学受験資格を得て、紆余曲折ありながら、都内の某美術大学を卒業することになります。

ここで大事なポイントが3つあります。

1つ目は、学校に行けなくなる理由は個人によりそれぞれだし、同一人物であっても、複数の理由が存在することもある。もしくは、明確な理由が存在しないこともある、ということ。

2つ目は、多くの親御さんが心配する学習の問題です。私に限って言えば、不登校中に自宅学習をしていたかというと、ほぼしていません。そんな気力も無かったし、母も少し変わった人で、学校に行かない私に「せめて自宅で勉強しなさい」と言うこともなかったのです。

小学校2年生から4年生というと、算数では九九を習ったり、掛け算割り算を習うなど、基礎的な大事な勉強をする時期です。それがすっぽり抜けてますので、私は今でも九九が若干苦手です。中学校も半分行けてませんので、高校受験は諦めました。高校以上で習う微分積分二次関数などは、それこそちんぷんかんぷんです。ですが、50歳になる現在まで、日常生活で不便を感じたことは、ほとんどありません。

3つ目は、勉強がいつでも再開できる可能性をできるだけ多く残すことです。(でも、やる気のない子に勉強を強要しても無駄です。)

私にとって美術の専門学校は、言われるがままにとりあえず入学した場所でしたが、一応一般教養的な学科はありましたし、なんと言っても大学受験資格が得られるという部分が大きかったと思います。やる気が出た時に、本人の気持ちと努力次第で勉強はいつからでも再開できます。高校卒業資格が無ければ、大検という手もありますが、ハードルは少し高くなりますので、将来の進路の幅を広げるために、高校卒業資格は取っておくことをお勧めします。

現在は、私の頃とは違い通信制高校が多く存在していて、勉強ができなくても、学校に毎日通えなくても、比較的容易に高校卒業資格を取ることができます。その先は、本人の気持ち次第でどうにでもなりますし、どうにでもできます。大丈夫です。

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