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涙鉛筆【毎週ショートショートnote】

鉛筆の芯が折れたので、鉛筆削りを取り出して先を尖らせようとしたら、手の中で鉛筆が泣き出した。

鉛筆が泣くなんて初めて見たから、彼女は驚きを隠せなかった。

「なんて残酷なことをするんです?」と鉛筆は非難するような目で彼女を見て、鉛色の涙を流した。「あなたがしようとしていることは、死刑執行ですよ」

その鉛筆がいうには、短くなった鉛筆にとって、鉛筆削りはギロチンにかけられるようなものなのだそうだ。そして、彼女は無慈悲な死刑執行人なのであった。

「わたしがいつどんな罪を犯したというのです」と鉛筆が涙ながらに訴える。

どうせなら『消しゴムがなければ練り消しで消せばいいじゃない』みたいなマリー・アントワネット風の言い回しでもしたら許してあげてもいいかなと彼女は思ったけれど、何の冗談も言わないみたいだったので、そのまま鉛筆削りで削ることにした。ガリガリガリガリガリ......

削り終えた鉛筆は先がピンと尖ってとてもかっこよくなった。

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