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赤子と家族の「さ・し・す・せ・そ」

昨年生まれた娘が、まもなく1歳を迎えようとしている。

6ヶ月を過ぎた頃からはじまった離乳食。
はじめはお米に対して10倍の水で柔らかく煮たお粥をひと匙ずつゆっくりと食べていたのに、今では大人とほとんど変わらないものを、小さな茶碗一杯分も食べられるようになった。

離乳食を作り始めるようになってから、私たち大人の食事も変わった。子どもに与えても安心なものを、と、これまで気にも留めなかった塩分量や添加物を意識するようになり、今では食品の裏面の表示をチェックせずにはいられない。原産国や生産地も確かめるようになり、買い物にもいくらか時間がかかるようになった。

とはいえ、「いいもの」ばかりを揃えるのはなかなか難しい。
経済的にもそうだが、何より精神的にとても疲れる。あれはよくて、これはだめ……厳しいルールを課してばかりでは、食事そのものが憂鬱なものになってしまうから、ほどほどが一番だ。

では、自分にとって「ほどほど」とはどの程度を指すだろう。何日か考えて出た答えは、調味料にはこだわる、だった。これは我ながら良い判断だったと思う。こだわって選んだ調味料はお値段もやや張るが、料理の仕上がりは、それ以前よりも角がなくまろやかで、さらに深みもある。昔ながらの製法で作られたものには余計なものが入っていないため、安心感もある。味以外では、容器のデザインもちょっと凝っているので、料理していてなんとなく気分が良いというのもミソだ。

ちなみに、出汁を取るのにも挑戦してみたが、これは全く続かなかった。
「弱火でことこと煮ている時間」。鰹と昆布のいい香りが家中に漂い、多幸感あふれる時間なのだが、それを毎日楽しむほどの余裕はなかった。無念だが、鰹節と昆布の粉末だしにその座を譲ることにした。

ともあれ、娘の離乳食をきっかけに我が家の食卓は少しだけ「豊か」になった。それは、味の面だけにとどまらない。醤油にしても、みりんにしても、古くからの製法をきちんと調べると、そこには自然の力を生かし、より良い味を求めた人の叡智が透けて見える。そして、その伝統を繋ぐ心粋を感じ取ることができる。また、食卓に並ぶすべての食材が、どこから、どのようにしてやってきたかを考えることで、単に腹を満たすための時間に別の意味が生まれる。娘の成長とともに、食卓での会話も増えるだろう。その時にはもっといろいろなことを考え、話し、そして美味しい料理を囲みたいと思う。

以下は、備忘録も兼ねて。

醤油

原材料:大豆・小麦・食塩
作り方:以下に引用

1.本醸造方式
しょうゆの伝統的な製造方法です。蒸した大豆(脱脂加工大豆)と炒った小麦をほぼ等量混合し、種麹を加えて「麹(こうじ)」を造ります。これを食塩水と一緒にタンクに仕込んで「諸味(もろみ)」を造り、攪拌を重ねながら約6~8ヶ月ねかせます。麹菌や酵母、乳酸菌などが働いて分解・発酵が進み、さらに熟成されてしょうゆ特有の色・味・香りが生まれます。

しょうゆ情報センターより引用

今使っているのは、『井上 古式じょうゆ』で、冷奴などダイレクトに醤油の味を感じる料理では特に美味しい。選んだ理由は、近くのお店で手に入る範囲で一番昔ながらの作り方、シンプルな原材料だったから。

みりん

原材料:米麹、本格焼酎、もち米
作り方:蒸したもち米に米麹と本格焼酎をまぜ合わせて仕込む

今使っているのは、『三州三河みりん』やっぱり近くのお店で手に入ったから。でも、原材料がシンプルなものはこれくらいだった。

ちなみに、みりん風調味料の内容物は「ブドウ糖や水あめなどの糖類・米・米麹・うまみ調味料・香料など」で、実はこちらは消費税が8%なのだ。本みりんは、酒類と同じで10%…なんとも世知辛い。

料理酒

日本酒と料理酒の違いなどを考え始めると中々ややこしかったので、なるべく無添加に近いものを選んだ。手頃な価格のいわゆる調理酒では、「醸造調味料(米、米こうじ、食塩、ブドウ果汁)、たんぱく加水分解物、食塩、水あめ、酒精、酸味料」のような内容物。味が決まりやすいのはこちらなのかもしれない。

#料理はたのしい


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