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他人と縁を結ぶということ―里親が担う社会的役割

2023/3/15(水):特別養子縁組⑮
 今日も来てくれてありがとうございます。
 水曜日の今日は、特別養子縁組について考えていく日!
 
 実の親と家庭内で生活できない事情を抱える子どもを社会に代わって引き受け、家庭養護する役割を担うのが里親・養子縁組里親です。
 では、実際に里子にとってどのような存在が必要になってくるのかということについて考えていきます。

 家庭養護できない実親の代わりに…ということはもちろん、第一の役割なのですが、そもそもその「親」というのは子どもにとってどういう存在なのでしょうか?
 親の役割として大切なのは、子どもの安心安全の基地になれるということ。「この人がいれば大丈夫だ」「困ったら助けてくれる人がいる」ということは子どもの自己肯定感や自尊感情を育みます。
 正しいことを躾けたり叱ったりすることよりも、子どもの心に寄り添う、受け入れることは親子の信頼関係、愛着関係を深いものにしてくれます。
 例えば子どもの褒められない行動に対してつい叱ってしまいがちですが、養育環境的にそういった行動の「まずさ」を知らないままに育った可能性や、試し行動の可能性もあります。その為、その行為を叱ることはせずに子どもの気持ちを聞いたうえで正しさや解決策、対応について教えてあげることが大切なかかわりです。

 そしてもう一つ、里親だからこそ留意していなければいけない点があります。
 それは実の親の存在を無視しないこと!
 実の親との時間や思い出など過去を「不快」なものにしないで一緒に過去を共有することで、子どもの出生への意味付けを肯定的なものにすることが求められます。
    間違っても実親を養親が批判したりすることがあってはいけません。実親を批判することは、子ども自身の核を否定することであり、子どもの大切なものへの批判でもあるからです。養親自身も「虐待した親」ではなく、「あなたを守るために決断してくれた、守ってくれた親」と捉えていくことも大切なのではないかな?と思います。
 研修の時に話をした「養親希望」の方で、手放す決断をした実親のことを「子どもを捨てただけの親」という言い方をして「どうやってプラスな言い方をするの?」と笑われていた方がいました。こういう考えの人、控えめに言って「絶対に子どもと関わってはいけない人」だと思います。子どもに与えてしまった家庭環境は辛いものになってしまったかも知れないけれど、施設に入り養子縁組をするまですすんだ子どもたちは、基本的に実親が「自分ではなく別の親に託す」という決断をした子ども達です。きっとその実親たちの中にも数多くの葛藤がある中で子どものことを考え、決断してくれたこと。子どもの将来や未来を守る形としての決断に敬意を払う気持ちは持ち続け、自分たちが愛している子どもは実親が10月10日育んでくれた命だということを忘れていいはずがないのです。
 正直、上記した養親希望者のような発想を持っている人は、養親にならせない!という凛とした対応や見分けるシステムの構築を期待します。

 いかに辛い生まれの背景も子どもにとっては逃げようもない現実であり、生きてきた証でもあります。それを養親の反応で「蓋をしなければならない事実」にしてしまうことにならないよう、縁組家族皆で話題に出せる雰囲気作りが大切だと思います。子どもが自分の出自について知りたいと思った時に、養親に相談できる親であることが、子どもにとって嬉しい安心感をもたらせられる存在になるのではないでしょうか。

今日はここまで!
最後まで読んでくださってありがとうございます。

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