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他人と縁を結ぶということ―困りごとへの向かい方

2023/3/1(水):特別養子縁組⑬
 前回の水曜日、施設から里親家庭へやって来た子どもの示す困りごとについて考えてきました。
 今日は他に、家庭に来た子どもが陥りやすい心理傾向と家庭での支援の在り方についてもう少し深く見ていきたいと思います。

 私は結局特別養子縁組もしていなければ、自分の子どもがいるわけでもありません。元保育士として、家庭内での困りごとの解決や親子関係の形成についてアドバイスしていた立場として書かせて頂こうと思います。
 今回書くことは養子縁組のみに限らず、血のつながりがある親子関係でも生じ得る問題なので、参考程度に読んでもらえたら嬉しいです。

赤ちゃん返り(退行現象)
 これは言葉の通り「赤ちゃんの状態に返ってしまう」こと。
 弟や妹ができた家庭でも見られる状態で、ご両親が頭を悩ませる問題でもあります。
 トイレでできていたはずなのにお漏らしを繰り返したり、自分でできるはずのことができないとぐずったり…
 他にも、文字通り赤ちゃん言葉を使ったり赤ちゃん扱いを求めたり、特定の養育者から離れることを過度に嫌がったり…
 大人から見たら、怠けているように見えたり、時には「バカにしているのか!」と怒ってしまったり、「私のことが嫌いだからわざと困らせてるんだ」と凹んでしまう保護者さんもいます。
 でも、本来これは待ったく逆で、あなたを「頼れる人」「頼っていい大人」とみなしているからこその行動です。「頼りたいけれど不安」…だからこそ不安を払拭するためにこのような行動で大人の出方を見ているのです。ここで大切なのは、「主人公はあなたじゃないよ!」ということ。もちろん赤ちゃん返りは大変だけど、少し「大変」の方向性を変えて見てもらうと気楽になってくれる保護者さんが多かったように思います。
 「自分が大変!」に焦点を当てると、子どもの行動を
「自分の手を煩わせる困った存在」
と見てしまうことになります。
 それを少し視点を変えて
「この子が赤ちゃん返りをしなければならない原因は何か?」
ということを考えるのです。
 すると自然に子どもの心の葛藤に目を向けることができ、子どもに対して感じていた「憎しみ」に近いような感覚は薄れ、子どもの気持ちに寄り添うことができます。
 また、「できることは自分でさせないと!」
なんて思う必要は皆無です。
 子どもの欲求に答えることで子どもの安心感を保証してあげてください。
 経験も無い私が勝手なことを言うけれど…特別養子縁組をしようとする人、里親に名乗り出ようとする人は、子どもの不安に答えることを生活の中心にするくらいの覚悟がないと養子縁組なんて手を挙げてはいけないと思うのです。それが無理だ…と思う人はきっと、養親になる資格はないと思います。

 養子縁組での赤ちゃん返りの場合、出産の模擬体験をすることで
「実の親ではないけど、今あなたを生んだんだよ」
という経験をすることもあるそうです。
 親だと思いたい人から「生まれていない」という事実と寂しさを解消できる一つの有効な方法だと思います。

 次回は「赤ちゃん返り」と似た困りごとでもある「試し行動」について、考察してみたいと思います。
 宜しければ来週も覗きに来てくださいね。

今日はここまで!
最後まで読んでくださってありがとうございます。
また明日、そして来週もお目にかかれたら幸いです。

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