9.妖怪が視えるの?!

妖怪。私にとっての妖怪と言えば、「ゲゲゲの鬼太郎」。私が子供の頃には、一人で観るのはちょっと恐いけど、観たいアニメ。おばあちゃん子だった私は、おばあちゃんが座る椅子の陰に隠れて、よく観ていた番組。

息子が7歳の夏休みに、学校の図書館から全国妖怪図鑑を借りてきた。

このようなご時世になってから、本を家に持ち帰るのはNGとなり、長期休みの時だけOKとのことで、それまでは、学校で借りて学校で読んでいたという。

人気のある妖怪本は借り手が沢山いて、なかなか借りられず、予約した本がちょうど夏休み直前に息子の番になり持ち帰ってきた。

「この本、ずっと観たかったんだよね~。」と嬉しそうに言う息子。

息子が借りてきた本は、日本全国各地方ごとに分けられている妖怪図鑑。

「あ、この妖怪みたことあるよ!」

「え?!またまた~」

「この妖怪はね、前に電車に乗った時にね、向かい側の席に座っていて、隣の人にトントンってやったら、その男の人が、人がいないのにおかしいなって顔してたよ。」

「佐倉宗吾っていう妖怪みたいだよ。ほらほらこの人この人」と言いながらiPad検索し、息子自身がみたのと一番似ているという絵を見せてきた。

「え?!それはいつの電車に乗った時の話?お母さんと一緒だった?」

「一緒だったよ。芝山鉄道に乗ってた時だよ。着物を来て、血が出ててなんかおかしいなと思ったんだけれど。。。」

「え?血が出てるの?!」芝山鉄道に乗ったことは数えるくらいしかないので、すぐにその時の社内の様子がなんとなく目に浮かんだ。

「なんで、その時、お母さんに言ってくれなかったの?」

「だって、お母さんにも視えてると思ったんだもん。」

「そっかそっか~そうだったね。」

それから、今まで視たことのある妖怪を教えてくれた。

「新幹線でお母さんの実家に行ったときはね、窓に雷獣が視えたよ。ちょうど、福島辺りかな。」と、妖怪図鑑を見せる息子。

息子は、紙でできている日本国パズルに一時期はまって、日本の都道府県、位置、形を完全に覚えている。それに加えて、電車が好きなので、お出かけする時は、必ず経路をチェックするので、電車に乗ると、本当にその場所を通っているかの答え合わせを始めるのだ。車内放送も私よりも注意深く聞いてるくらいなので、住み始めて間もない都会での電車移動時に乗り換え駅を間違いそうになると、私よりも先に気づいてくれるので助かっている。

「雷獣ってなんか恐そうだね。どんな妖怪なの?恐くないの?」

「昔は居場所がないから雷を沢山鳴らしていたんだって。でも、それに気づいた人が居場所をあげる為に、雷岩を作ってその中で今は暮らしているんだって。」

「ふーん、そうなんだ。随分詳しいね。」

「雷が鳴ると外に出てくるらしいよ。」                           

「へ~。」                                 

「あとね、夏休みに房総の海に行った時は、手長ばばあをみたよ!」

「手長ばばあ?!ってどんな妖怪なの?」

「手が長くて、岩の地面と岩の地面の間から、長い手が出ていて、なんだろうなと思ってみたら、おばあさんの顔があったんだよ(笑)」

「え~何それ?!お母さんは恐いよそれは。」

「ダイダラボッチもみたよ。飛行機でお父さんの実家に行くとき窓から視えたよ。」

「え?!ダイダラボッチって何?」と見せてもらうと、巨人で、

「富士山と筑波山を天秤に乗せて、筑波山を落としたから筑波山の頂上は割れてるんだって。琵琶湖はダイダラボッチが掘ったから出来たんだって。それで、東に2歩歩いて土を落としたのが富士山みたいだよ。」

「へ~詳しくなったね~。」

「家にはキジムナーもいるし。」

「キジムナーって何?」

「沖縄の妖怪だよ。それで、沖縄から帰省してきた人が連れてきたみたいだよ。」

「恐くないの?!」

「悪い妖怪ではないよ。魚の左目を食べる妖怪だよ。」

「へ~そうなの。。。」

ある日、ベランダから外を見ていると、二口女が歩いているよと言う。

名前からして怖そうな妖怪だが、調べてみると、頭の後ろに二つ目の口がついている。その妖怪が近所を歩いていると言う。

数日後、その二口女が家に入ってきたという息子。

「二口女が家に入って来たちゃったよ。」

「え!なんでうちに入ってくるのよ~。(汗)どうやったら、出てってくれるのかな?」

「う~ん、わからないけれど、なんか祝詞でも唱えればいんじゃない?」

「妖怪が居なくなる祝詞なんてあるのかな?」

以前、叔母から預かっていた祝詞集の中から、虫払いの歌というようなのがあり、よく意味はわからないものの、二口女に出ていってほしい一心で、詠みあげてみた。すると、

「お母さん、居なくなった!」

「え~ほんと?この歌が効いたということだよね?よかった~

家に居られたままだと、夜も眠れなかったよ。」

すると息子は、白い紙に十字架を描いて、切り取りその紙をさっきまで

二口女がいた場所へ置いてきた。

「何それ?どうして十字架を描いて置いてきたの?」

「なんでって、なんとくさ、十字架を置けばもう来ないかなと思って。」

息子のとっさの不思議な行動に疑問を持ちつつも、家から妖怪が居なくなり安堵したのだった。それにしても、妖怪がみえるって?みえて大丈夫なのだろうか?

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