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フラジャイル 2話

 面白いモノは追求していくスタイルでありたい。というわけで今日もフラジャイルのお話(2話)である。病理の日常会話は割とコメディ調なのが面白い。そして岸は面倒くさがりやで指導には向いていないので森井が完全に説明キャラとなるのである。


宮崎、病理科で色々教わる

 さて病理科に弟子入りした宮崎だが最初は顕微鏡もろくに扱えない。そして岸からこの細胞は何の疾患か当てて見ろという課題を出される。森井からは病理診断報告の説明などを受ける。

 そこへ皮膚科の竹中医師から電話がかかってくるのだ。応対するうちに怒り出す岸。担当医がステージ1の基底細胞癌にシスプラチンを入れるつもりだったのだ。「念のために」で患者を衰弱死させるつもりかと森井に愚痴る岸。

 更に次の電話は呼吸器外科の藤原医師からだった。今度はすごい剣幕の会話になる。相手が説明の最中に電話を切った上、岸を名指しでヤブ医者と言ったのだ。岸の診断を疑っていたようで、癌と肺炎の違いを示すために圧力鍋を持って出ていく岸。なんともシュールな場面である。その後院長室で苦言を呈される岸(反省していない)。

 宮崎はそもそも肺炎と癌を見間違えるのか?と疑問を呈するが実際にはよくあることだと森井が言う。藤原は肺炎だと言っていたが岸は腫瘍は確かにあると断言した。更に詳しい検査をしようとしたところで女医の細木が手術中にやってくる。乳癌の迅速を岸に頼みに来たのだ。特に問題はなかったが岸の仕事の速さに驚く宮崎であった。


病理医は9時5時勤務らしい

 そこで夕方の5時になり岸は定時で上がり、森井は残業へと向かう。宮崎は明日までに課題を終わらせるよう言われたので奮闘する。一人でこの課題に向き合う中で病理医の仕事の難しさと責任を感じるのだった。病理医の判断が最初の論拠となって最終診断に影響を与えるため、間違えれば患者の命に関わってしまうのである。

 翌朝、岸はステージ1の基底細胞癌に対して予防的にシスプラチンを入れるエビデンスはどこにもないことを調べ、皮膚科のカンファでシスプラチン野郎を降伏させる。そしてまた院長を困らせるのだった。

 次に顕微鏡で証拠を見つけ藤原(通称サットン)に連絡する。あだ名はサットンの法則目の前の事象にとらわれて他の可能性が見れなくなること)から来ている。納得した担当医に対し、自分に自信のないやつほどデータを否定しないものだとチクリ。やはり相当に口が悪い男である。


病理医の道を選ぶ覚悟

 最後に宮崎は出された課題を鑑別できなかったと岸に謝る。2つまでは絞れたがどちらかを選ぶ決め手がなく、診断をつけることができなかったのだ。
 その答えに対し岸は「正解」と解答する。あれを見てどちらかに鑑別をつけるようではだめだ、丁半を選んだ鑑別なんてただの賭けであり診断ではないと言う。自分の鑑別にとことん責任を持てる自信がないならそれは「わからない」ということなのだと。
 そして病理医は他科の臨床医と対立することはあっても、患者に感謝されることはない。あるのは責任だけで誰も診断を助けてくれない。それでも後悔しないか?と問われ、宮崎は自分で決めたことですと答えるのだ。こうして二人はまた仕事に戻っていくのである。


おわり

 とにかくよその医師とぶつかる描写が多い話であり、病理医の責任の重さがよくわかる内容だった。現場では迷うことも多いことだろう。それでも診断を出し、その診断に責任を持つと言うことは大変な事だと思う。病理医は決して表には出ないが担当医のサポートとして、縁の下の力持ちのようなポジションだと思う。作中では黒子と称されていたように決して主役にはなれないのかもしれない。だがそれでも患者の治療に影響を与える重要な役目なのである。その道は辛く険しい。

#マンガ #フラジャイル #コメディからシリアスまで



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