【バディミッションBOND】を長尺で紹介。主人公たちの熱く深く濃い絆に沼ろう

はじめまして。
この記事を書くこと第一でnoteを始めた者です。
御託はいいのでゲームの紹介をさせてくれ。

ネタバレは体験版でプレイできる範囲と、キャラクター紹介の都合上ほんの一部だけ。
重要なところはないので、ネタバレ許さないマンも安心してほしい。


バディミッションBOND

2021年1月に発売された、ニンテンドースイッチ専用ゲーム。
ジャンルはADV(アドベンチャー)。選択肢や謎解きに挑みながら物語を読み進めていくことがメインのゲームだ。

主人公となるのは4人の男。
警察官、怪盗、忍者、詐欺師という異色のメンツが極秘チームを組み、
姿なき犯罪組織を暴き壊滅させるべく活動する。

ここで、このゲームの魅力を軽く紹介しておきたい。
少しでも気になるところがあれば、この先を読んでみてほしい。

まずストーリー。
全体としては王道で、テーマはずばり【相棒】【絆】。
熱い展開で盛り上がれる一方、心を抉られる展開やどんでん返しもあるので、物語が進むほど感情を振り回されるだろう。
細かい伏線も綺麗に回収されるので安心してほしい。

次にキャラクター。
主人公の4人はいずれも個性的かつ魅力的。
また彼らは年齢が20代後半以上のため、それぞれの信念や価値観を確立させており、また過去も抱えている。
そんな彼らが協力し、時にぶつかり合いながら様々な関係性を築いていく。

キャラクターデザインおよびイラストは『アイシールド21』『ワンパンマン』の村田雄介氏が担当。
重要なシーンはコミック調やムービーで表現されたり、一枚絵や立ち絵も種類がかなり豊富なので、魅力を存分に感じながら物語に没入できる。

また声優陣の演技も非常に気合が入っている。
それぞれのキャラクターが立っているだけでなく、まさに一人の人間として存在しているかのように、声によって命が吹き込まれている。
作中ほとんどフルボイスということもあり、この作品における声はかなり重要で、素晴らしかった。

全ての物語を読み切る完全クリアまでの平均プレイ時間は、おそらく50時間程度。(私は読み返したりで60時間ちょうどになった。)
本編のストーリーが一本道でありながら結構なボリュームだと思う。
このボリュームをイラストやボイス、音楽とともに存分に楽しめるのは、やはりゲームという媒体ならではだろう。

現在、ゲームの体験版が配信中。
主人公2人の出会いから最初のミッションまで遊ぶことができる。
全体のほんの一部ではあるが魅力たっぷりで楽しめるので、すでに気になっていたが自分で確認したいという方は今すぐダウンロードしよう。
ちなみに、ニンテンドーカタログチケットの引き換え対象でもある。
バディミッション BOND | My Nintendo Store(マイニンテンドーストア)

この紹介記事ではストーリーとキャラクターを重点的に紹介したいので、ゲームシステムについては二度に分けて後述する。
気になる方は公式サイトを見よう。

また以下の動画を見ればこの作品の概要が一目でわかるので、さくっと知りたい方はこちらをどうぞ。


ストーリー

あらすじ

以下は公式の説明文。

亡き養父の夢を継ぎ、ヒーローを目指す警察官ルークと被害総額・数百億ともいわれる「怪盗ビースト」こと、アーロン。
数奇な出会いが2人の運命を大きく変えていく……。
頼れる相棒として助け合い、時にはぶつかり合いながら、ルークの父の死の謎、そして世界を揺るがす大きな陰謀に立ち向かう熱き友情の物語。

舞台は世界的なショービジネスの中心地「ミカグラ島」。
そこで暗躍する姿なき犯罪組織「DISCARD」に対抗すべく、それぞれの思惑をかかえたワケありの4人が極秘の潜入捜査チームを結成。
その名はチーム「BOND」。
警察官のルーク、大怪盗ビーストことアーロン、陽気な恋多き忍者のモクマ、冷徹な詐欺師のチェズレイは、
光と闇がうごめくこの島で真実を突き止めることができるのか?

バディミッション BOND | My Nintendo Store(マイニンテンドーストア)

ここからはもう少し踏み込んだあらすじ。

ルークは国家警察として働く、誠実で正義感の強い男。
同じく警察官で殉職してしまった養父の背中を追い、夢を継いで、犯罪検挙に日々心血を注いでいる。
父と息子の夢、それは、ヒーローになること。
しかし国家警察はエリート志向が強く、ひったくりなんかの小さな事件には見向きもしない。それをすくいあげるルークは周囲から煙たがられていた。

そんなある日、署内全体に謎のメールが届く。
添付されていた動画には、暗がりに囚われ、拘束された女性の姿が。
まさか誘拐か。しかし国家警察は動かない。
苦悩したすえ、ルークは単身、署を飛び出した。
ただのイタズラ動画ならいい。だけどもし、これが本当なら━━。

捜査で得た情報をもとに潜入した場所で、ルークは柱に縛り付けられた男を発見する。
動画の女性ではない。だが助けなければ。
声をかけ近づいた途端、男はルークに向けて勢いよく蹴りを出した。その踵に光る刃物を捉えた瞬間、ルークはとっさに銃を突きつける。
これが、大怪盗ビーストこと、アーロンとの出会いだ。

動画の女性、アラナはアーロンの家族なのだという。彼女は、アーロンをおびき出すための人質だった。
二人は紆余曲折のすえ、彼女を救うために協力することに。

その後二人は無事にアラナを救い出すことに成功するが、彼女は突如として暴れだし、尋常ならざる力で二人に襲い掛かった。
その首には、ネズミのような形の痣が。━━それはかつて、棺に眠るルークの養父の首にもついていたものだった。

誘拐事件、アラナの暴走、そして養父の死。いずれにも、謎の犯罪組織が絡んでいる。
その名は、DISCARD(ディスカード)。
二人はアラナを元に戻すため、養父の死の真相を知るために、DISCARDを追う決意をする。

障害を乗り越え、捜査の末に判明したのは、DISCARDの本拠地があると目される地。
宝石のように輝かしき憧れの歓楽地、ミカグラ島だ。
そこへ向かう道中で、ショーマンのモクマ、大悪党チェズレイと知り合い、
行きがかり上仲間として行動を始める。

そして到着したミカグラ島で4人を迎えたのは、ナデシコと名乗る妖艶な女性。
彼女の導きのもと4人は、DISCARDに迫るため潜入捜査を行う、超極秘チームを結成する。

長くなったがこんな感じだ。
体験版でできる範囲ではモクマとチェズレイが登場しないため、少し踏み込んだ内容になっている。
ただこの作品は彼らも含めた4人が主役。
この物語が本当に動きだすのはここからといえるだろう。

ストーリーの感想

ここまで書いている時点で、というか記事タイトルの時点でお察しの通り、
私はこの作品にドハマりした。えらい沼落ちをした。
ストーリーの感想を短く言うなら、最高すぎて感情ぐちゃぐちゃにされて頭を抱えさせられた。同時に充実感で胸がいっぱいになった。

冒頭で書いた通り、ストーリー全体としてはいわゆる王道だ。
テーマも相棒・絆とまるで少年漫画であるが、主人公たちはれっきとした大人である。
普段は冷静で理性的な大人4人が、時には青臭く、泥臭くあがく。全力で感情をぶつけあう。
そこにとてつもない熱量と感動があるのだ。
演出も最高潮に盛り上げてくれるのでひとしおである。

それでいて、胸を絞られるようなしんどい展開も襲い来る。
なんなら体験版でプレイできる範囲の直後に、かなりきつい場面を見せられることになる。
落差の激しさに心を掴まれた方は、最後までしっかり楽しめることだろう。

もちろん序盤だけでなく、その後も折々にキャラクターたちは苦悩し、絶望する。
王道と分かっているだけに、その時のハラハラ感はかなり心に刺さる。
そしてそこから立ち上がっていく、変わっていく姿を見て、また感動するのである。

またこの作品のテーマには、光と闇、というものもある。
華々しい高級歓楽地・ミカグラ島、その裏に潜む強大な犯罪組織。
それに立ち向かうのは、ヒーローを目指す警察官と、世界を騒がせる怪盗。
元忍者のショーマンと、裏社会に通ずる大悪党。
様々なものが抱える二面性という点も、この作品の重要なテーマだ。

主役4人の中には、悪の道を歩んできた人間がいる。
そのため仲間内で反目したり、悪の力を利用しなければならない場面も生まれる。
清濁併吞、綺麗ごとだけで大義を為すことはできない……その点もしっかり描かれている。

イラストでの演出や声優陣の演技も相まって、個人的にはかなり感情移入しやすい作品だった。
そして一度入り込んでしまったら止まらない。
私は中盤から頻繁に泣きまくっていた。元々涙もろいたちなのだが、それでも意味わからんくらい泣かされた。

そしてこのシナリオ、最初から伏線たっぷりである。
しかもちゃんと回収してくれる。
ちょっとした違和感も、あとあとになって理由づけて紐解かれるので、気づいた瞬間はものすごい解放感が生まれる。
全てを知ったうえでの2周目はそういう意味でもいちいち感動が湧き起こる。

ちなみにこの作品の性格上、人によっては王道すぎて先が見えてしまい面白く感じられない、という声もあるようだ。
王道という単語にむむと思う方には、もしかしたら合わないかもしれない。
でもとりあえず体験版やってみてよ。

ストーリーの読み進め方

ここで一旦ゲームシステムの一部を紹介。

このゲームの物語は、大きく3つに分けられている。
ちなみにすべてフルボイス。最初に紹介するメインエピソード内の一部のみパートボイスとなっている。

メインエピソード

警察官のルークを主人公とした、いわゆる本編。
主にルークの視点で物語を体験していくことになる。

多くの選択肢が発生し、内容としては会話中のルークの返答を選ぶものと、これまで得た情報を頼りに回答を選ぶものがある。
前者はルークの性格を鑑みれば難しいものではない。
後者は記憶力を試される機会が非常に多いため、プレイ期間が空くと厳しいが、ペナルティーが少ない救済措置がちゃんと用意されているので、諦めてバンバン使っていくのも一つの手だ。

このメインエピソードのみ、章クリア時の評価判定が存在する。
特定の選択肢で正しいものを選ぶ、捜査を的確なメンバーで行う、などでゲージがたまっていき、その量によってS~Cで判定される。
後述するバディエピソード、サイドエピソードはこの評価によって解禁されるものが多いため、基本的にSランクを取り続けるよう進めるのがいい。
とはいえそこまで身構えることなくSランクを取ることができる。

章ごとに再プレイができる他、セーブ機能を活用し章途中からやり直す手も使えるが、章終わりのリザルト画面まで進まなければエピソードは解禁されないため注意。

バディエピソード

超大事。マジでめちゃくちゃ大事。
本編から脇にそれた話、などと考えてはいけない。

主役4人で組まれるペア━━バディごと、6組の話が展開される。
メインエピソードを進めるごとに解禁されていき、本編の合間合間で起こったやり取りにフォーカスしている。
そのため読まなければ本編が分からなくなる、というほどではないが、読むと本編の解像度や没入度が一気に上がる。

このバディエピソードによって、バディそれぞれの関係性や彼ら自身が、より詳らかになる。
しかも内容は実に濃厚。数も多く、これでもかというほどに見せてくれる。
それぞれの個性が強いため、6通りの全く異なる関係性が構築されていき、これによって更にキャラクターが深掘りされるのだ。徹底的に。
各々が新たな一面を覗かせたり、心情を露わにしたり。
バディエピソードが進むほど、4人の存在感がどんどん強くなっていくのである。

メインエピソードの章クリアごとに、全バディの話が1つ解禁されるので、
メインエピソードをSランクでクリア→バディエピソードを読む→メインエピソードを先に進める、というサイクルで進めるのがおすすめ。

サイドエピソード

主役4人以外のキャラクターが関わる物語が、ここにまとめられている。
たとえばルークと彼の養父の過去話。
ヒロインの少女・スイの話。などである。

これもまた本編を補完する内容ばかりだが、バディエピソードほど密接ではない。
しかし主役4人の過去を描いたものも多く、読んでおくと本編やキャラクターへの理解が深まる。
更に言うと、ここにもちゃんと伏線が仕込まれている。

こちらもメインエピソードの進行度や評価に合わせて解禁されるため、解禁されたらすぐ読むのがおすすめ。

キャラクター

ここからはお待ちかね、主要キャラクターを一人ずつ紹介していく。

この作品、とにかく主役4人のキャラクターの造詣が深い。
そしてそんな彼らが紡いでいく関係性は、こちらの想像や妄想を軽く飛び越えてくる。
言うなれば、公式が最大手である。

そこにあるのは熱い友情、無償の信頼、唯一無二の固い絆、そして言葉では表しきれない、深い愛情。
男も女も関係ない、彼ら自身や彼らの関係性の深みに、どんどんハマっていこう。

ルーク・ウィリアムズ

先述した通り、メインエピソードの主人公。

誠実で正義感の強い、警察官の鑑のような男。
彼の夢はヒーローになること――弱きを助け悪をくじき、困っている人を絶対に助けること。
その信念はとてつもなく強く、まさに彼の原動力である。

ルークは本編主人公ということもあり、非常に親しみやすいキャラクターだ。
明るく素直、大人の良識や柔軟さを持ち合わせていて、一方でヒーローを目指すがゆえの苦悩をたくさん抱えている。
メインエピソード内のゲームシステムである捜査と潜入は、そんな彼の性格から展開される。
最大目的のためにすべき事へ道筋を立て、一つずつ解決しながら進んでいく彼のスタイルが、ゲームシステムにしっかり合致していて違和感がない。

チームの中ではまとめ役を務めているが、他3人の個性がなまじ強いせいで、いじられ役なところも多分にある。
アーロンからはドギーなんて呼ばれていたり。
そんな中でも彼らと真剣に向き合い、時には強くたしなめ、自身の芯をブレさせずにいるところに好感を抱く。

幾度も挫折を味わいながらも、ひたむきにヒーローを目指し続ける彼の姿が、様々な人の心をつなげ、運命を変えていく。
その隣には、アーロンという頼れる相棒がいる。

というところで私の感想。
お前がヒーローだ、ドギー……!(万感の思い)

……この愛称は、警察の犬という皮肉からつけられたものだが。
ルークの生来の性格なのか、アーロンから頻繁に呼ばれまくるせいなのか、次第に犬が板についていく。
わんこ系、みんな好きでしょう。
それでいて射撃の名手、七転八起のタフガイ。さらにヒロインの少女とド健全な関係を築いていったりする。
どこまでも好青年なんだよなぁ……このメンツだとそこがまた輝きなんだよなぁ……。

アーロン

世界的に有名な宝石専門の強盗、その被害額は数百億とか国家予算レベルとか言われている大悪党、【怪盗ビースト】その人である。
直情型でとにかく豪快、盗みの現場から逃走する時も正面突破で警察を蹴散らしていくスタイル。
中身も見た目も超ワイルド、粗雑で荒々しい、野獣のごとき男である。

実際、口も態度も悪いし、とりあえず拳でなんとかしていくタイプ。
だが頭の回転が速く、目も耳も埒外に良く、運動神経抜群。
めちゃくちゃ頼れる仲間である。
おまけにこれでいて、わりと常識人。他3人の個性が強いせいで、ツッコミ役に回ることもしばしば。

そんなアーロンは出自から始まり壮絶な人生を歩んでいる。
彼の一本芯の通った価値観は、強く熱く、時に残酷で、悲しい。
そんな彼に幾度も手を伸ばし、光で照らす者こそヒーロー、ドギー、すなわちルークである。

私の感想。
もう……なんといったらいいか……こちらもまさに万感の思い……。
とてもエモーショナル、そうこれがエモいという感情なのか。
最初のうちはそんなキャラじゃないと思うでしょう、でも進めていくと分かる。
もう、胸を搔きむしりたくなるような、言葉にしきれないものが溢れてたまらないのだ。
実際プレイ中も、途中からアーロンのことになると言葉に詰まった。ぐぎぎ……てなってた。

ちなみに公式でワイルドイケメン。そのくせ急に優しい声を出すんだ、この男。
落ちるよそりゃ。みんな好きだろ。

意外にもノリがよく軽口も叩けるため、ルークを始めとした3人との軽快なやり取りはとても楽しい。
アーロンがいると場が華やぐという謎……。
そんな彼がルークの相棒として変わっていく姿をぜひ見てほしい。
そう、ルークの相棒は、アーロンだ。


モクマ・エンドウ

酒と女性が大好きなご陽気おじさん。
いつも飄々、へらへら、フレンドリーだが掴みどころがないとも言える。
色んな経歴を持ち、現在はショーマンとして活動中。
彼が演じる【変身超忍ニンジャジャン】は作中で頻出、ボーカル入り主題歌が収録されているほどなので、プレイの際はしっかり押さえておこう。

周囲の女性からは煙たがられ、男性からは呆れつつも信頼される。
他3人より一回りほど年上ということもあり、チームの下支え的な役割をすることもある。
そんな大人の余裕をもったおじさんだが、実は元忍者でめちゃくちゃ軽快な動きを見せる。
しかも、えらい強い。
最初のうちは片鱗も片鱗しか見せてくれないのだが、話を進めるほどに、彼の強さがどんどん露わになっていく。

だが、その身体の内側にはとんでもなく暗い感情を抱えている。
そしてチェズレイという男に出会ったばかりに、それが暴かれようとしている。

私の感想。
4人の中では一番小柄で低身長、だがおそらく一番強いし、一番病んでる。
このおじさんがぶっ刺さる人間も多いことでしょう。
普段は呑気な自由人で、立ち絵も唯一デフォルメが強いバリエーションを多く持っている。男相手でも謎の女声でちょけたりする、懐の深さもある。
実に頼りになるおじさんだというのに、中盤からぐらっぐらなんだよね……そこがいいんだよね……。

後述するチェズレイとは、それはもうすったもんだがたくさんあります。
この関係性が苦手な人もいるかもしれないが、しかしこの二人だからこその風味がある。私は大好きだ。

チェズレイ・ニコルズ

【仮面の詐欺師】という二つ名で裏社会でまことしやかに囁かれる、美しく凶悪な知能犯。
変装と人心掌握に長けており、他人を欺き、操り、破滅させる。
ぶっちゃけ4人の中で一番の悪党であるし、本人もそれを認めている。

強い美学と信念を持っており、彼の行動は常にそれに基づいている。
おまけに完璧主義者で潔癖、慇懃無礼の極み。めんどくさいしヤバい奴。

とは言うもののキャラクターとしては大変優秀で、ルークに次いでシナリオを回している人物である。
ビジュアル、頭脳、諜報力、剣さばき、いずれも超上等……さてはこの男、弱点がないな?

そんな大悪党が次に目をつけたのは、なぜかモクマ。
彼との出会い、そして関わりが、チェズレイの本性を露わにさせていく。

感想。
私の最推しです。
4人の中で一番ギャップのある男でしょうね。
最初の時点でプレイヤーによって好き嫌いが分かれるだろうし、最後までいったらまた好き嫌いが分かれるだろう。それくらいのギャップが生まれる人物である。
だがそれに沼ったらもうおしまいだ……最高だ……。

彼については本編はもちろんのこと、バディエピソードが物凄い。
彼の感情が、あんなにも、発露するのかと。演出も台詞も心を浸食してくる。
モクマとの関係に至っては、終盤もう涙が止まらないレベルである。

チェズレイというキャラクターを安易におすすめはできないのだが、ハマる人間はとことんハマってしまう。
恐ろしく危険で、魅力的な男である。


スイ・アッカルド

さて、ここからは主役4人以外の主要キャラクターのうち、二人を紹介する。
まずはスイ。メインエピソードにおけるヒロインの少女である。

ミカグラ島出身の世界的シンガー。繊細かつ華やかな歌声に誰もが魅了されている。
年若いながらにショーマンとしての信念を強く持っており、自分にも他人にも厳しく、研鑽を重ねている。
島の最大有力者であるアッカルド氏の一人娘でもある。

それでいてツンデレ気質、優しく温かな心をもった、とてもいい子。
関わるほどにかわいらしい一面を見せてくれる、清涼剤のようなキャラクターだ。
ちなみにオープニング曲、エンディング曲、挿入歌(ニンジャジャンではない)はスイの歌であり、歌手の方がシンガーボイスを担当している。

そんなスイは、ミカグラのトップスターということもあり、島に渦巻く思惑に巻き込まれていってしまう。
ルークは彼女を守り抜くことができるのか。


ナデシコ・レイゼイ

グンバツなチャンネー、もとい色気溢れる大人の女性。
ミカグラ島の有力な資産家だが、DISCARDに迫るためルークたち4人を集め、チームBONDを結成する。
剛胆な性格で、てんでばらばらな4人を上手くまとめあげる。
モクマとは旧知の仲で、気心の知れた会話を展開する。

特別な立場にある彼女がいるからこそ、4人はDISCARDという目標へ着実に近づくことができる。


ゲーム性の正直な感想

さて、ここまでの内容からして本記事をレビューとして読んでいる方がいるか謎だが、人によってはいい加減気になるだろう。
実際ゲームとしてどうなんや、と。

ということで残りのゲームシステムに関する話。
メインエピソード内で頻出の選択肢について、またプレイヤーが積極的に操作を行うことになる捜査パートと潜入パートについてだ。
ここまで褒めちぎっておいてなんだが、これらに関しては思うところがある。
ひいき目があるにしても、ゲーム好きとして正直に書かせてもらう。

選択肢

メインエピソード全体で頻出する、選択肢。
ADVらしく様々な場面で出現するが、いずれも話を聞いていれば分かって当然、もしくは記憶力頼りのものばかり。
序盤に至っては、なんなら馬鹿でも即答できるくだらない選択肢が多発する。
非常に簡単でとっつきやすい、と言えば聞こえはいいものの、ADVを好んでプレイする人間からすれば萎えるレベルかもしれない。

このゲームはシナリオの内容上、CERO:Cで設定されている。
つまり対象年齢は15歳以上である。
そのわりに選択肢の難易度は明確にそれ以下だ。
シナリオや、メインエピソードの主人公ルークの役割とかみ合っていないように感じられる場面もちらほらある。

ただし、それを逆手にとってルークにおとぼけな一面をキャラ付けしたり、後々ギャグとして使ったりしている。
また正解でない選択肢を選んだ場合も、このあと紹介する捜査パート・潜入パート以外では全てフルボイスで会話を展開してくれるので、様々なやり取りを楽しめるという点もある。

捜査

4人から2人を選択してバディを組み、網目状のマップに配置されたマスを、決められた歩数以内で進んでいく。
マスごとに聞き込み対象がおり、記されたヒントをもとに適切なキャラクターを連れていき、正しい選択肢を選ぶことで聞き込みが成功する。
バディを組み替えながら、効率よく聞き込みを進めることが肝要なパートだ。

ここでは適切なキャラクターを連れていない場合でもちょっとした会話が発生したり、バディによって少し台詞が変化したりするため、様々な組み合わせを試す楽しみ方もある。
テキスト量が多い関係上ここではパートボイスとなっているが、その分テンポよく進めることができる。

基本的に、キャラクターのチョイスは示されたヒントが露骨なのですこぶる簡単。
選択肢については上述と大差ない。いわゆる推理的な部分はほぼ無く、頭を使うところといえば、いかに効率よくマスを攻略していけるか、という点くらいだろう。
章のクリアランクを考慮したとき、てきとうに動いているとゲージがゴリゴリ削られることになりかねない。

それぞれのマスで短いながらも魅力ある台詞を見られるため、私はそれを楽しみに捜査パートを遊んでいた。

潜入

このゲームの問題点、実に課題が多いパートである。
2人を選択してバディを組み、上記の捜査で得た情報をもとに、潜入ミッションに挑む。
このパートは唯一、マップやキャラクターが3Dで製作されている。そこを走り回り仕掛けや障害を乗り越えていくことになるのだが……。

まず、キャラクターの動きがすべてもっさりしている。
走るのが遅い、ひとつひとつのモーションがだるい、あらゆる点で地味にストレスが溜まる。
ぶっちゃけ時代遅れだ。操作の快適性に難がありすぎる。
プレイヤーが一番操作を行うパートなんですがね。
台詞がパートボイスであるおかげでテンポ感が多少ましになっているのが、唯一の救いか。

そして潜入中や、その後のイベントで対峙した敵と戦う場面もあるのだが、そこではQTEが発生する。
潜入中はともかく、戦闘場面でのこれがなかなか問題。

序盤はワンボタンを数回押すだけ。
中盤以降はボタン数も増え密度が上がってくるが、そうなると今度は判定のズレが足かせになる。
ボタンを押してから判定までに明らかなラグがあるのだ。
アクション系に慣れている人間なら余裕をもって対応できるのであまり問題ないだろうが、
あまり親しんでいないとか苦手な方にとっては、なんとか枠内で押したはずなのに遅いと判定され失敗になるかもしれない。

そして私が一番問題としたいのは、このQTE中、戦闘中のキャラクターのモーションである。
前述のとおりすべてもっさりしているので、戦闘でも言わずもがな。
それぞれの武器を持ち個性のある動きを見せてくれるが、動きのキレがなくダサいとすら思ってしまう。
彼らは皆、非常に強く、戦い慣れている。それもキャラクターの魅力のはずなのだが、この戦闘では強さが全く伝わってこない。

シナリオとキャラクターの魅力をこのゲームの売りとするのであれば、戦闘とQTEについては足を引っ張っている、というのが正直な感想だ。
ADVなんだから無理して要素盛り込まんでいいのに。
いやADVにそれ以外の要素のクオリティーを求めるのが筋違いなのかもしれないが、それにしても。

散々こき下ろしたが、潜入については捜査パートと同じくバディによって会話が変わる。
潜入は数こそ多くないものの、ひとつずつがそれなりの長さになるため、多種多様なテキストを仕込んであるのはサービス精神旺盛だ。

魅力は他にもたくさん

さあ気を取り直して、バディミッションBONDの魅力をもう少しお伝えする。
ゲーム外の展開などについて紹介しよう。

音楽

ゲーム中の音楽は、お洒落なジャズ調を始めとして様々なジャンルの楽曲が収録されている。
生演奏を収録したものも多くあり、楽曲単体でも満足感の高い出来だ。
オープニング曲、エンディング曲、作中の挿入歌もあり、歌手によるボーカル入り。

音楽CDは、オリジナルサウンドトラックと、テーマソングセレクションの2本が発売されている。
後者はボーカル曲のアレンジ版やフルコーラス版のほか、ドラマCD初出の新録ボーカル曲が3曲も収録されている。

メディアミックス

バディミッションBONDは、ドラマCD5本と、ライブビデオ(朗読劇)3本が発売されている。
いずれもゲーム本編のあとの話になるため、ゲームクリア後に視聴してほしい。
なんならあらすじとか画像も見ないでおいてほしい。ネタバレ絶対許さないマンは特にやめておけ。

公式Xにて時系列も紹介されているので、それに沿って視聴するのがおすすめ。
該当ポストのリンクを貼りたいところだが、ドラマCDのタイトルがすでにネタバレの節があるのでやめておく。

ドラマCDについては、下記の2本を別記事で紹介予定。
内容的にどうしても多少のネタバレは避けられないのだが、極力抑えたうえで感想を叫ばせてもらう。
・越境のハスマリー
・ヴィンウェイより愛をこめて

他3本のドラマCDについては紹介予定なし。
端から端までオールネタバレなため、感想をまとめるのも難しい。
ただしいずれも本編に劣らぬ秀逸なシナリオのため必聴だ。

ドラマCDはいずれも通販サイトで定価近いが、記事執筆時点では
ツタヤディスカスでレンタルできるので、
ゲームクリア後に時系列順で、気軽に視聴してくれたまえ。
私もそうした。

ライブビデオについては、あまりレビュー記事がなさそうだったので、
尺や構成などを知ってから購入したい方向けに、3本それぞれ別記事で紹介予定。
・メテオライト・ショー
・大抗争! ミカグラカップ
・歌うマジェスティックホテル

公式Xも見よう

この作品にハマった人には、ぜひゲームクリア後に、公式Xを頭からさかのぼって見てほしい。
特定の記念日やキャラクターの誕生日に、キャラクターの会話画像や動画が公開されている。
いずれもゲーム未収録の書き下ろしで、短いながらに充分楽しめる内容になっている。

特に誕生日記念の動画は、なんかすごい。
ボイスことないものの、ゲーム画面と全く同じ絵作りがされていて、ものによっては計6分ほどの長尺でお出しされている。
書き下ろしで。
しかも単に誕生日を祝うものではなく、キャラクターの色を十二分に出した内容となっている。
どれもゲームクリア後準拠の内容であるため、それを踏まえた設定づくりがされている。
書き下ろしで。

他にも、ドラマCDの宣伝となるオリジナル画像や、
ドラマCDの内容を踏まえた、キャラクターの一言のポストなどがある。
これがいちいち、ファンに刺さる仕様になっている。
スタッフの作品愛をつくづく感じられるので、ぜひ目を通してほしい。

さあ、ゲームをやろう

ここまで長尺で紹介してきた。
noteの記事でこんなことやるんじゃねぇよと思う方もいるだろう。

ぶっちゃけ媒体はどれでもよかった。
とにかくこの、バディミッションBONDという作品を紹介したかった。
熱く紹介する記事を、ネットの海に流したかった。
宛名のない手紙を空きビンに入れて放す心持ちである。

もう少し語らせてもらいたい。
正直、ここまでドハマりする作品は久しぶりだった。
ここまで激しく、深く心を揺さぶられる、ぐしゃぐしゃに泣かされる作品というのが、あまりに久しぶりだった。

同時に、この作品のテキストやキャラクター作りにはひどく感激した。
ひとつの作品を作る、ということはここまでやるべきなのだと、思い知らされた。
私の中で創作に対する考えが変わるきっかけになった。

このクソ長紹介文を書いているのも、そこからくる衝動が理由のひとつになる。
本当はネットにこんなもの書いたってしょうがない。だから書かない。そういう風に心にそっとしまってきた。
でも、今これは書きたい、書かねば。
こんな思いにさせやがったゲームを他の人にも紹介して、同じ思いをさせてやらねば。

ここまで読んだ方なら、さすがに少しは琴線に触れる部分があったのだろうと信じたい。
さあ、今です。
バディミッションBONDの体験版をやりましょう。
そして買いましょう。
今からでもまだ、充分楽しめるから。