『ホー・チ・ミン へ』
「ベトナムで人は蟻になった」
高校生の頃、『世界カタコト辞典』が好きでよく読んでいました。
行動的作家として知られていた開高健と小田実の両氏が世界を旅する中で耳についた現地のカタコト言葉から連想された愉快で深刻な随想が綴られています。
世界への憧れが私の中で生まれました。いつか僕も旅に出よう。いや、旅に出るものだと思っていましたが、学校を出て、仕事に就き、家庭を持つ中でそれはいつしかしぼんだ夢になっていました。
今回の麻咲さんとの旅はその両氏が深くかかわったベトナムへの念願の旅です。
アジアと日本、アメリカと日本と言うふたつのベクトルに日本が引き裂かれるどころか、アメリカに引っ張られ、沖縄の基地を使った米軍のバックヤードと化しただけの形となったベトナム戦争。それがなんであったのか。
ベトナム戦争をほぼ知らない世代の麻咲さんがこの旅で何を感じるのか、そして何を学ぼうとするのか。それは麻咲さん自身が決めること。
私はその土台になれればいいと肚におさめての旅がはじまります。
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