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【K-POP探訪】第2回・YUKIKA シティポップの伝道師

K-POPのアルバムを聴いてそのアーティストについて思ったことを綴っていく「K-POP探訪」、第2回。

まずは第1回にも書いた但し書きを一応。

・私は全くをもって音楽には詳しくありません。好きな曲について思ったことを書きます。
・私はRed Velvet培養のK-POPアイドルファンです。それもあってか、世界観のある曲や世界観の一貫したアルバムが好きです。
・音楽はネオシティポップなどのニュートロポップ、ニュージャックスイングなどのR&Bの雰囲気がある曲が好みだと自負しています。そういう曲を褒める傾向にあります。
・記事中で取り上げたアーティスト以外の曲の話もめちゃします。


第2回はシティポップの伝道師、YUKIKA!

人気急上昇中の日本人K-POPアーティスト。ソロとして出した初アルバム「Soul Lady」がヒットし、注目を集めるアイドルです。
ソロデビューした事務所を離れ、新事務所で活動を開始。

LOTTEガーナのCMソング『メモリアル・ロンリネス』は日本語曲で、音源化を望む声が相次いでいます。


Soul Lady

彼女の初アルバム、「Soul Lady」。シティポップ曲に絞られた上質なトラックが並びます。

曲の並び順も題名もとても素敵。最初の『From HND to GMP』からも分かるように、日本から韓国へやってきた主人公をなぞるようなアルバムになっています。まるで、韓国でアーティストになるために単身日本からやってきたYUKIKA自身を歌っているよう。

表題曲『Soul Lady』は、トラディショナルなネオシティポップ。(ネオなのにトラディショナル、ってなんかおかしいですが)私はまるでソウルの女ね、綺麗でしょ、と歌う彼女の姿は正しく「Soul(Seoul) Lady」です。
MVもキラキラ輝く街のメロウな雰囲気がたっぷりと漂ってきます。

更に、後続曲『Yesterday』。

シティポップにニュージャックスイングの雰囲気を垂らしたような不思議な一曲。シティポップの上品さとニュージャックスイングのノレるR&Bが相まって、なんともオシャレなメロディーを奏でます。ですが歌詞はちょっと別れ話っぽい。そのギャップもとても素敵。
「私たち時々、夕食を食べる前に別れるものね」、「I can't celebrate my love day by day」...。別れ際の恋愛の鬱々とした雰囲気を綺麗な歌詞で表現しています。

『pit-a-pet』はみんな大好き、サビで音数が少なくなる曲。もちろんシティポップです。

そして曲は、上手くいかないカップルの電話を乗せたInterludeの『I Need a Friend』、暗い雰囲気のある『Shade』、空港のアナウンスを乗せたInterlude『All Flights Are Delayed』と続き、『NEON』の再収録曲『NEON 1989』と続きます。

『NEON 1989』は『NEON』と比べ若干華やかでシティポップらしさが強い印象。より80年代感も増しています。
『NEON』は冷たく光る都会のネオンを歌った曲。「一人になるのもいいよ」という歌詞にもあるように、孤独な都会を慈しむような曲になっています。


韓国に旅立って愛を知り、ソウルの女になった主人公が、やがて別れ1人になる。でもそんな自分も、孤独な都会も好き。そんな内容もシティポップに沿ったアルバムになっています。


寺本來可が「Soul Lady」になるまで

彼女のことを知らない、という方もいると思うので、彼女の経歴を少し。

元々は新垣結衣や藤田ニコルなど、有名モデルをを排出しているニコラという有名ティーン誌のモデルだった寺本來可。
その後声優業なども行いますが、「普通の生き方もしてみたい」と一度芸能活動を休業。

そして大学生の時、韓国のアニメアイドルと実際のアイドルが連動する企画、THE IDOLM@STER.KRのオーディションに挑み見事合格。

企画の終了後、ソロデビューを果たしたという訳です。


日本人が韓国で歌うシティポップ、人気には訳がある

シティポップは日本の80年代に特徴的に見られる音楽。韓国を含め今世界中で再評価されているジャンルです。BTSのような欧米テイストのヒップホップが流行るK-POP界で、シティポップを選び、更に日本人の女の子がソロで歌うというのはかなり挑戦的です。

彼女の歌うシティポップが韓国で人気を博したのは、彼女が歌うからこその説得力と、彼女や、K-POP自体のナショナリティに関係ない良さがしっかり両立されているからじゃないと思います。

「韓国に単身やってきた日本人が韓国への愛を歌詞にしたシティポップを韓国語で歌う」、そのこと自体がエモくていいという情緒の反面、彼女の目指す音楽は「国籍に関係ない音楽」です。

韓国だからどうだ、日本だからどうだという狭い世界に囚われない歌声が、彼女の本当の持ち味なんだと思います。

ソロデビューをした事務所を離れ、新しい出発をしたYUKIKA。これからの活躍にも期待です。

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