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すばらしき世界か否か?

西田美和監督の映画「すばらしき世界」をネット配信で鑑賞。

ネタバレもあるので、鑑賞予定の方は、映画の情報は、頭に入れないで、ぜひ、観てほしい。

もう、二度、三度と鑑賞してしまう、私。

というのも、私は女、殺人犯でも刑務所に入ったこともないが、役所広司演じる、三上と、実に似ている部分が、多いからだ。

有名な助演俳優たち、名前はちょっと知らない俳優たちの演技が、実に素晴らしい。

テレビのディレクター、テレビのプロデューサー、身元引受人のご夫婦、ケースワーカー、スーパー店長、医師役、婦警役、教習所の教官、兄弟分のヤクザ夫婦、元嫁、施設で働く人々等々、みんなが、うまい。

ただ真摯に演じているのだが、その人々の立場での言動や行為で、三上の様々な心情が、どんどん、現れてくるのだ。

弱い者イジメを見過ごせない、真面目で融通が利かず、真っすぐな三上には、今の世の中で生きていくのは、難しく苦しい。

でも、みんなもそう。

三上を見守る弁護士の奥さんが、見ないフリ、聞こえないようにしてるだけ。そうしないと、生きていけないからよと…いうセリフに、少し、救われた感じがした。

みんなもそうなんだ。

私だけではない、不平等、理不尽、言ってる事とやってる事が、真逆の人間等を許せないのだ。

そんな人等と対峙すると、人間関係をうまく作れなかったり、我慢して抱え込み過ぎで心が、壊れてしまったり。

冒頭からの伏線は、三上の「高血圧」

血圧の降下剤なしでは、生きていけない。

何度か「罪の意識は?」と聞かれるが、世の中の罪の概念と、三上の罪の概念が、違う。

でも、この映画は、三上の何がよくて、何が悪くてを、ジャッジする映画ではなく、厳しい更正の道のりを坦々と描き、ラストでこの世の中は、生きるのに値する世界なのか?と問われてるような映画に感じた。

毎日、息して生きるだけでも、大変の世の中。

今では、さらに、地震や噴火等天変地異への不安、異常気象、コロナのパンデミック、ロシアの戦争と、心が穏やかでない日々の連続。

そんな中でも、人が一番怖いとも思うが、励まし、癒して、寄り添ってくれるのも、人なんだと…切に、人であってほしいと願いたい。

そして、私自身も、そういう「人」でありたいと思う。



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