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結局、無人島にひとつ持っていけるならどの『ひらがな』が良いのかという話

「無人島にひとつだけ持っていけるなら…」

擦りに擦られたこの設問、皆なら何と答えるだろうか。
ロープ、ナイフ、釣り竿、マッチ、ろ過装置――
なるほど、賢明な選択だ。模範解答と言えよう。

だがどうだろう、この設問、マジレス乙で大変恐縮だが、前提からしておかしいとは感じないだろうか。
そもそも、『無人島に漂着する』などというトホホハプニングは突発的に起こるものであって、アイテム選択をしている余裕などあるはずがないではないか。これは破綻していると言える。
ここでもし、「もしもの話をしてるんだから…」とのたまう者が居るとすれば、その者に『豪華客船』『ヘリコプター』『ドラえもんのポケット』と答える小学生を鼻で笑う資格は無い。
もしくは、何らかの因果で「これから無人島で生活してもらいます、ひとつだけ何か持って行っていいですよ」という金持ちの道楽ゲームに巻き込まれてしまった、という事態を想定しているのであれば、「いやロープて…謙虚すぎて引くわ」という話である。
これはやはり、"設問自体"を現実に即した適切なものにシェイプアップする必要がある、と僕は思うのだ。

そして、あらゆる事を考慮し精査すると、設問は以下の通りとなる。

「無人島に漂着してしまった時、手元に『ひらがな』しかなかったらどれを使う?」

…話は飛躍していない。断じてない。精査内容は黙秘する。

前置きが長くなってしまったが、これでやっと自然な流れで
「漂着しても安心!無人島で使える便利なひらがなBEST3」
が発表出来るというものである。
それでは第3位から見ていこう。

第3位 『へ』

200607_スクショ_へ

第3位は『へ』だ。
やはり無人島を生き抜くにあたって最重要なのは生命維持活動と言える。つまり食料の確保等が自然と最優先事項になるのだ。
その観点からすると、この『へ』という文字は何と言っても釣り竿に最適と言える。
長辺を持ち手とすれば、てこ的な原理で力のモーメントが上手い事働き、必要最小限の力での釣りを可能とする。継ぎ目の無い美しい鈍角が形成され、頂点部から折れることがあまりない、というのも加点対象と言えよう。
また、使い勝手は『く』に一歩劣るものの、狩猟時の投擲具としての性能も申し分ない。ひらがな投擲界隈においても、『へ』の汎用性の高さが評価され始め、『へ』での投擲技術を磨き始める若者が急増しているという。
文句無しの3位と言えよう。

第2位 『し』

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『し』はその形状から、『万能かな』と称されることも多く、多岐に渡る用途で使用できる。
まずは何と言っても鉤(かぎ)としての役割だ。狩猟時に獲物を引っ掛ける為の武器として使用できるのはもちろん、植物の蔦等で作成した縄の先に取り付ければ鉤縄として使うことが可能となる。また、釣りをする際、釣り針として小型の『し』を取り付ければ、釣りの成功率が格段に向上するだろう。
また、大型の『し』となると、今度は逆に釣り竿として活用することが出来る。美しく描かれたアーチは大きなしなりを発生させ、相当な大物相手でも折れる心配はない。
ひらがな釣り竿界隈でもその頭角を現し始め、今では「効率の『へ』、大型ロマンの『し』」と言われるまでとなった。
大方の予想通り、『し』が大健闘を見せたが、1位には一歩及ばず、2位と言う結果に終わった。

番外編『い』

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第1位の発表を前に、ランクインは逃したものの、見逃すことの出来ない可能性を秘めたひらがなを発表する。それがこの『い』だ。
ランク付けする際、ブレを少なくさせる為に「無人島をどう生き抜くか」に主軸を置いたが故、ランク外となったが、「積極的に脱出するために行動する」場合にはかなり有力な候補となる。
『い』の使用用途として挙げられるのはやはり、イカダのオールとしてだろう。左右非対称なのが減点対象ではあるが、最悪削って形状を整えれば良いし、フォントによってはほぼ同形、ということもある。
イカダの作成は一筋縄ではいかない為、それまでは島内を生き抜かなければいけない訳だが、『い』は刺突・打突用の武器としても使用可能な点も評価できる。
尚、『こ』でもほぼ同様の運用が可能。

それではお待ちかね、1位の発表をさせて頂こう。

第1位 『ひ』

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堂々の第1位は『ひ』だ。
発表を受けて目を疑った人もいると思う。僕も最初はノーマークであったが、考察をすればするほど、この『ひ』という字の可能性に驚かされることとなった。
まず『ひ』の特筆すべき点として、物の運搬能力が挙げられる。『ひ』の中に物を入れ、上の口を縛れば、風呂敷や麻袋のように物の運搬として使うことが出来る。持ち手の長さも十分で、それらを両肩に巻き付ければ、両手を自由に使うことも出来る。これ以上ない代物と言えよう。
また、食料調達にも有用だ。川底に設置すれば、入り口の狭さから、入る事は出来るが出るのは容易でない、という完璧な構造の罠となっているのだ。釣りをせずとも、この『ひ』を設置してしまえば、釣り時間を別の時間に充てることが可能となる。
更に重要なポイントとして、日中川で使用した『ひ』を乾かせば、夜間には寝袋として使える。ある程度雨風が防げ、体温維持も出来る寝袋は、睡眠の質を確実に向上させるだろう。
無人島生活において、食に比べ睡眠は軽視されがちであるが、睡眠の質を上げることは生活の質を上げることに繋がる。
これは日常生活も無人島生活も変わらないのだ。
これは私も調べて初めて知ったことだが、『ひ』の寝袋としての性能は他の追随を許さず、ひらがな寝袋界隈においては一強時代に突入した、という話だ。
これら用途の有用性、唯一無二性、どれを取っても1位と言って異を唱える者はいないであろう。

総括

さて、いかがだっただろうか。
やはりと言うべきか、食料調達+αが可能な『ひらがな』が軒を連ねる結果となった。
あまり"道具として"クローズアップされることの無い『ひらがな』であるが、このランキングが皆の『ひらがな』に対する見方を変える一助となれば、これ以上幸いなことはない。
また、当然このランキングは独断と偏見によるものの為、皆の中でのマイランキングを考察してみてはいかがだろうか。

それでは次回、『面接時に鞄に入れておきたいカタカナBEST3』の発表でお会いしよう。(やらない)
それでは。

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