存在色

逆光でもない 黒でもない
だから 意味をなさない光がこんなにも憎い
光を乱反射させる雪の上 醜い僕だけが輝けずにいた


あんなにも憧れていた青はあっさりと壊れていく まるで教室の窓を割るようだと
誰に告げるべきか分からない四文字を いつまでも手の中で腐らせていた きっと赤色した嘘で取り繕う

黒い夜 一つ浮かぶ街灯が鬱陶しいな あの輝きみたいになれるはずだったのに
闇から無数に零れた冷たさは 輝きじゃない でも確かに救いだった

今日、僕は何色になれた?

恐ろしく無数の色を吐き出すイルミネーションのように それにそっと手を貸す雪のように
強い輝きは僕を無自覚に殺す ああ、この光に永遠と苦しめられるのだろう

今、僕は何色になりたい?

真っ赤な嘘のように 確かに憧れていた青のように 色褪せないものが欲しい
世界の終わりみたいな夜でも煌々と強く在る あのイルミネーションのような色が欲しい


確かな強さを持った輝き 乱反射させる白の優しさ まるで霧中の空を掴むようだと
冷ややかな雪は輝きなんかじゃない 逃避をくれた優しさだ 悴む痛みが心地よいのだ

それなのに 痛みすら越えてその色は僕に訊ねるんだ 「それは正解か」
臆病な街灯が控えめに自己主張する 太陽はすぐそこにあるのに 輝こうとする月みたいに

今日、僕は何色になれた?

痛みでごまかして 綺麗な月を眺めて それで変わらない色は手に入るのか
優しい色は何より残酷で 冷たくて優しい白が僕を呪う 雪は色褪せていくのに

今、僕は純白になりたい

どんな光より色で 確かな輝きを持つ強い白 どんな夜だって煌めいているあの白
光も色も優しく乱反射させる残酷な雪の白 僕は霧中で空を切って きっとホワイトアウトさせるから


逆光ならよかった 黒ならよかった 見えないからと照らせるならよかった
何よりも白で在り続けるから 光すら呑み込んでしまうから 僕を苛立たせるだけの光ならいらない

優しく光る雪上に 何色にもなれない僕が、僕が、僕だけが。


今日、僕は透明になりたかった

恐ろしく無数の色を吐き出すイルミネーション 色や光すら透かして僕を染めてくれないような無色透明に

今、僕は純白になりたい

全ての光や色すら乱反射させてしまうような どうしようもなく優しくて残酷な白色に
どうしようもなく優しく残酷な白を、どうか、どうか、どうか。


太陽のようなイルミネーションの隣 白い月のような街灯が弱々しく点滅していた

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