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何も言わないからって何も考えていないわけじゃない

夏だ。

生命のエネルギーが爆発するような暑い季節に、タイムラインがたくさんの声で溢れている。怒り、憎悪、悲しみ、呆れ、諦め。正直ちょっと疲れた。さまざまなニュースに何も思わないわけではないけれど、そのひとつひとつに反応するのはとてもエネルギーがいる。

本当は真正面から向き合って私はこう思います、それは間違っていると思います、そんな声を上げて世の中をよくしていこうとするべきなのだろう。そうやって小さな一歩を重ねて重ねて、ようやく少しだけ明るくなった世界を次の世代に渡せるのだから。

だけど最近、あまりにも次から次に目を耳を塞ぎたくなるような出来事が起こるから、そういうニュースの詳細を追うのをやめた。誰かの意見を見つけに行くこともしない。現実から目を背けているだけ、思考停止だと避難されても仕方ないな。

他人の分まで怒ってあげられる人ってすごいなあと思う。そうするしかなかったんだよ、と言うかもしれないけれど、私はそこまで熱を上げられない。すごく冷たい人間だと思う。

結局声の大きな人が得をする世の中で、きっと私のような人間は淘汰されてゆく。黙っていないで声を上げろといつも後ろから蹴飛ばされている気分だ。

でも、何も言わないから何も思わないわけじゃない。何も書かないから何も考えていないわけじゃない。何か言ったり書いたりするから全部理解しているわけじゃない。じっと黙っている人は、自分が大声を上げている限り絶対に聞こえないような小さな声を聞き、想像することもできる。

思考は生きている。じっと堪え忍んでいる人も、声を上げている人も、等しく生きている。他人に思考を奪われるな。生きることを奪われるな。

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