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【詩】手触り

ぼくはつまらない仕事をしている
仕事を終えて
部屋に帰ってくると
部屋にはやさしい気持ちがある

誰もいない部屋に向かって
小さな声で話しかける

ぼくには話し相手がいないから
ひとりでも話すことがある
ぼくの話すことはどうでもいいことだ
ぼくの話すことは単調な鳴き声だ

孤独にも手触りがあって
触れることができるということが
ぼくを慰める
撫でることができるということが
ぼくを生かす

かなしいときに
かなしいと言えないくらいには
弱っているときに
すこしだけ明るい未来を想像する
ほら すこしだけ明るいよ

ぼくは自分の人生に
意味をプレゼントできなかった
意味はないけれど 手触りがあって
それがぼくを無限に寂しくさせる

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