【掌編小説】彼女とはまだ口を利いたこともない
ヤスオくんは結婚する予定だった女の子と別れたと言って、ぼくを飲みに誘った。ぼくは酒が好きなので、飲みに行けることが嬉しかった。ぼくたちは日高屋で飲むことが多かったが、この日はヤスオくんが女の子と別れたので、鳥貴族に来た。ぼくは焼き鳥が好きだ。
「あの子と結婚するつもりだったけれど、結局、別れてしまった」とヤスオくんは言った。ぼくたちはメガハイボールを飲みながら、焼き鳥を分け合い、無限キャベツを食べた。
「きょうはおれの奢りだから、飲んでよ」とヤスオくんは言った。
「なんで別