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永遠に惨めでいたい

ほんとうのことを言うと
ぼくは旅に出たくない
非日常なんて求めていないし
思い出もいらない
毎日同じでよかった
毎日
毎日同じがよかった

毎日同じような服を着て
毎日同じようなことに悩んで
毎日同じような夢が見たい
毎日同じ喫茶店の
同じ席に
同じような姿勢で座っていたい

ぼくの時間は
いつでも無駄に溶けていく
午後の傾いた日差しのなかを
目には見えない魚のように
時間が泳いでいくのをかんじる
ぼくは誰のことも愛したことはない

賢ぶった人たちは
永遠なんてないと言う
でもぼくはそうはおもわないし
いつも願ってしまう
永遠に いまのままでいたいと

たとえば
お父さんとお母さんには
永遠に生きていて
ほしいし
永遠に
子どもでいたいとおもうし
永遠に愚かでいたい
永遠に
かなしいままでいたいし
永遠に惨めなままでいたい

いつの日か
宇宙の果てから来る
彗星が
地球をかすめて通る日にも
いまのままの姿で
いまのままの年齢で
いまのままの心で
ここにいたい
まるで一秒も
生きたことなんてないかのように

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