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【詩】虚しいとかんじるくらいのスピードで

虚しいとかんじるくらいのスピードで
本のページをめくる

読んでいるようで
読んでいない
映画だって 普通の二倍のスピードで見るから
あらすじがかろうじてわかるくらいだ

ぼくには大切なひとなんていない
ぼくにとっていちばん大切なのは
アイスクリームと 孤独だ
冬でも毎日アイスクリームを食べる
駅の雑踏のなかでもぼくは
ひとりぼっちだ

虚しいとかんじるくらいのスピードで
生きていた頃は

すべてがそんなかんじだった
いまのぼくは少し
スピードを緩めることを知っていて
缶チューハイを片手に 公園のベンチに座る

やさしいってなんだろう
やさしくないって どういうことだろう
でも そんなことはどうでもいいことなんだ

ぼくはもう ずっとひとりで生きていて
目に映るものすべてに痺れていたから

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