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コロナ禍のナースたち~クラスター発生時の対応と苦労、そしてその後・・

こんにちは maison de megriのなみです。
もうライターとは呼べないほど記事を書いてませんね。反省・・・

今回はちょっと養生から外れるかもしれないけれど、コロナ禍におけるナースの現状についてお伝えしようと思います。
(私は精神科に勤務する看護師です)

もう3年続くコロナ禍の中、第8波に突入・・していますよね。
感染者は日々増え、クラスターが発生したというニュースが毎日。
私の働く病棟も、11月にクラスターを経験しました。
新聞では「クラスターが発生」と一行で片づけられてしまう中、一体病院の中では何が起こっているのでしょうか。
そしてクラスターが収束しても、私たちの戦いは終わりません。11月末に収束宣言をした今も、病棟内は大変な事に。
クラスターが発生したとき、病院ではどんな対応が行われているのか
そしてクラスターの後に残されるものは何なのか・・
テレビや新聞ではなかなか取り上げられない本当のナースの姿について、お伝えしていきたいと思います。


1.クラスター発生時の対応①:ゾーニング

病棟内でクラスターが発生するとまず「ゾーニング」を行います。
ゾーニングとは
感染している患者
感染していないけれど、感染が疑わしい患者
を分けること
抗原検査やPCR検査でプラスの患者さんとマイナスの患者さんのエリアを分けます。
この部屋移動やエリア分けが結構大変です。
なぜなら私の病棟は精神科で認知症の患者さんも入院しておられます。
部屋を変えることで、環境が変わり不安になったり不穏になったりと精神状態に影響が出てくる方たちが多いからです。
また感染したことを理解できない患者さんもおり、部屋から出て感染が広がるケースも多いです。
この時期、病棟は身体的にも精神的にも悪化した患者さん達で騒然としています。

ゾーニングがきちんと守られていないと、感染は広がっていく


2.クラスター発生時の対応②:治療


治療は主に薬物療法と酸素療法(精神科なので、治療の範囲は限られています)
点滴と酸素投与をします
環境が変わる事で不安になったり不穏になったりしている患者さんの点滴治療は難しいです。
治療の必要性を理解できず、点滴を抜いてしまったり、酸素マスクを外してしまったり、怒り出したり。
ナースは何度も説明をしたり、不安な患者さんに寄り添ったりしながら治療とケアに奔走します。

患者さんの精神状態が悪くなると、治療は難しくなる

3.ナースの苦労①:防護服

皆さんは防護服、着てみたことありますか?
私は最初、一時間も我慢できませんでした。
体中の毛穴が覆われて、皮膚呼吸ができない感覚に襲われました。
(今は慣れて3時間くらいなら頑張れます)
マスクはN95と呼ばれる密閉性の高いもの。
目はゴーグルで覆い、その上にフェイスシールド。
これだけ重ねると視界は曇った状態です。
その上、防護服のおかげで体に熱がこもり、体中汗だく。
熱気でゴーグルが曇ると視界はいつもの半分以下に(曇り止めもしていますが効果なし)
こんな状態で点滴治療やケアをしなければなりません。
呼吸は当然浅くなり、息をつめて処置をすることも多く、前かがみなので猫背が常習化・・・
不養生の極みです(笑)

防護服はナースの体力を奪っていく

4.ナースの苦労②:ゾーニングの弊害

スタッフステーションはグリーン(清潔)エリアなので、防護服を脱ぐことができます。
患者さんのケアが終わり、やっと防護服を脱いで「さて、記録を・・・」と思った瞬間にナースコールが・・
また防護服を着てナースコール対応をします。
対応を終えスタッフステーションに戻り「さて、記録を・・・」と思った瞬間にまたナースコールが・・・」(笑)
また、感染エリアに持ち込んだものは、スタッフステーションには戻せません。病室で患者さんの血圧を測ったメモも、持ち込めない、という不便さがあります。
感染エリアと清潔エリアを分けるゾーニングには、こんな弊害があり、いつもの何倍もの時間を取られてしまいます。

焦りやイライラで、メンタルもダウン

5.ナースの苦労③ 勤務者の激減


クラスターが発生すると、感染するナースも出てきます。
ある日出勤したら日勤のナースは2人だけ、なんてこともありました。
当然勤務の変更もあり、夜勤者が感染したので、急遽夜中から出勤することも少なくないです。
勤務が不規則なうえに、変更が多く、体内時計もバラバラ、予定も立てられません。
そして感染して復帰してきたナースのお詫びのお菓子の山が休憩室に!(笑)
こんな感じで不養生に不養生を積み重ねていって、抵抗力も免疫力もないままクラスターを乗り越えていきます。

「あれっ 今日勤務者2人だけ・・・?」と顔を見合わせる朝

6.クラスターが終わっても

私の病棟では11月末にクラスターの収束宣言をしました。
やっと防護服を脱いで仕事できる、やれやれ・・・
と思いきや、クラスター時よりもっと大変なことが待ち受けていました。
それは・・・

患者さんの重症化

今まで歩けていた患者さんが、長いベッド上生活で下肢筋力が低下して寝たきりになっていたり、食べ物を食べると誤嚥して普通の食事ができなくなったり・・・

高齢者が多いので、一度体力が落ちてしまうと、回復までに時間がかかってしまいます。
食事の介助、おむつ交換、水分の取れない人には点滴治療、リハビリ、精神状態が悪くなってしまった人にはお薬の調整・・・

重症化することが少なくなってきているけれど、高齢者にとってはコロナの後の体力低下が大きな問題になってきています。

治療が終わって一安心 ではない。回復には何倍もの時間がかかる

クラスターが収束したあとも、私たちナースの戦いは、続いていきます。

いかがでしたか?
今日も病棟は、コロナ後の患者さんの立て直しに必死です。
少しでも自分の足で立ってもらえるようリハビリしたり、誤嚥しないよう注意深くお食事の介助をしたり・・・
身体はもちろん、精神症状に変化がないかも観察しながら日々看護しています。

そんな私達(私だけかな)のこの時期の養生法は
「好きなことだけする」

家事もしない(ほんとにしてない・・・)
年末の掃除もしない
休みの日は自分のために時間を使う

今は非常時と腹をくくって、心が安定するように、ゴキゲンでいられることに気を向けていこうと心がけています。

いや、年末の掃除は毎年しないんですけどね(笑)




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