話ちゃうやん


昨日の昼過ぎ、あまりにも冷蔵庫と胃袋がすっからかんだったのでコンビニへ食料調達へ出向こうとしたとき、いつもならもっと部屋を照らしてるおてんとさんが今日は弱々しいことに気がつき、雨降りが始まるのかと一応スマホで天気を調べた。僕の住む地域はあと3時間後くらいに弱い雨が降りそうだった。ならよかったよかった、今のうちに買い物へ向かおう。ついでに自己破産に必要な書類たちのコピーもしてこよう。僕はコンビニに入ってからダラダラすることがみっともない気がしていたから、そそくさとコピーを済ませ、食料をカゴに詰めてレジで会計をした。レジ前でレシート待ちをしている際、入店音とともにふと出入り口を見たら信じられないくらいの大雨だった。話ちゃうやん。
そんなことがあったが、今日は予約していた本が借りられますと図書館からの連絡が入り、朝からワクワクな一日のスタートとなった。午前中に用事を済ませ、さて、いよいよ、借りに行こうか。そう思う矢先、デジャブのようなお天気が窓から覗いていて、怪しくはあったが、念のため凝りもせず天気予報を確認し、まだ雨雲はかからないとのことだったので颯爽と部屋を飛び出した。図書カウンターで本を受け取り、もう我慢できなくて帰り道で読み始めた。ワクワクする冒頭だった。この人はきっと感覚に深みがあるのだと思う。丁寧ではないのに繊細な感じが伝わって心地がいい。心拍数が上がる。ページが進む。
紙の上に一粒の水滴が落ちた。
そしてすぐに数えきれない量の粒が落ちてきた。
目で追っていた文章を雨の滲みで見失った。
咄嗟に本を閉じた。
前を走る車が最速のワイパーを振っていた。
Tシャツの色が変わった。
視界が悪くなった。
昨日を超える土砂降りだった。
話ちゃうやん。














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