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まいぱんだ なんちゃって小説家『コーヒー☆クエスト』第1話

ねぇ、あなたは何時が好き?
私は午後3時!
あまーいおやつにブラックコーヒー。
花だんで可愛く咲いている季節の植物たちをリビングの窓越しに眺めながら、夫のコウちゃんとおしゃべりするのが休日の楽しみ。

シューシューシュー。
やかんのお湯が沸く音がする。
「ピヨー!ピヨー!」
やかんに返事をしているのは飼っているインコのちょぴ。
さて、それでは今日もおやつタイムの準備開始!
まずはマグカップにスプーンで2杯インスタントコーヒーの粉を入れたら、やかんのお湯をジャーとそそぐ。
カシャカシャ混ぜたら、はい、コーヒーのできあがり。
本日のおやつは…そうそう、昨日コウちゃんがフィナンシェを買ってきてたっけ。
せっかくだからお気に入りのお皿にのせて。
うんうん、おやつセット完成。
「コウちゃん、おやつ休憩しようよー」
コウちゃんの部屋のドアをノックして声を掛ける。
「はいはーい。すぐ行くー」
ゲーム大好き人間のコウちゃんは休日は部屋にこもってゲーム三昧。
クエストがなんとかってよく言っている。
私とコウちゃんは休日はお互い好きなことをして過ごしているけれど、3時のおやつだけは一緒に楽しむ。

そんなある休日の午後。
近所のお菓子屋さんでクッキーを買ってコウちゃんと歩いて帰っていると、公園の噴水の近くに何やらお店をしている雰囲気のテントが見えた。
興味本位で恐る恐る近づいてみると『珈琲』と書かれたのぼりが立っていて、ニット帽をかぶったお兄さんがコーヒーを淹れていた。
「いらっしゃい。ちょうどコーヒーが入ったところなんだけど試飲していきません?」
私たちに気づいたお兄さんは小さめの紙コップにコーヒーを注いで差し出してきた。
「わぁ、ありがとうございます、いただきます」
私は温かいコーヒーにそっと口をつけた。
「わぁ!美味しい!!」
思わず声に出る。
「うん、うまいな」
コウちゃんも思わず頬が緩んでいる。
「色々豆もあるんでよかったら見てってください」
コーヒー屋のお兄さんが豆の入った瓶のほうを見ながら言った。

「楽しんで飲んでくださいね。良いコーヒーライフを!」
そう言ってお兄さんは『ブラジル 深煎り 100g』と書かれたコーヒー豆の入った紙袋を渡してくれた。
「はい、ありがとうございます」
私は大切に受け取るとクッキーを入れているエコバッグにそっとしまった。

家に帰ると、さっそく買ったばかりのコーヒーを淹れてみることにした。
食器棚の奥で眠っているコーヒーミルを引っ張り出す。
そしてコーヒー豆の袋の口をハサミでチョキっと切って中の豆を出そうとしたその時だった。
「ふぁああああ。やっと着いたか。ん?ヤッホー」
突然袋の中から声がしたと思ったらコーヒー豆が…いや、正確にはコーヒー豆に顔があってそれがコロコロ転がり出てきた。
「キャアアアア!!!」
思わず後ずさって床に座り込む。
「ひかる!?どした?」
コウちゃんが慌てて駆け寄ってくる。
「あ、アレ。見て。豆が」
しどろもどろになりながらコーヒー豆を指さす。
「豆?」
コウちゃんが豆のほうを見るとまたあの豆がしゃべった。
「よぉ!オレはお前たちにコーヒーの素晴らしさを伝えるためにやってきた」
「あの、どちらさまですか?」
コウちゃんはなぜか丁寧な口調で豆に問いかけている。
「だーかーら、コーヒーの素晴らしさを…」
「あぁ、なんか、あれですか?コーヒーの妖怪的な?」
「妖怪ではない。しかし、とにかくオレはお前たちにコーヒーの素晴らしさを教えてやる」
コーヒー豆はえらそうに言った。
「えーっと、うちに住み着く感じですか?」
コウちゃんがおそるおそる聞くと
「まぁ、そういうことだな」
コーヒー豆はうなずいた。

こうして私たちはなぜかコーヒー豆と暮らすことになった。

☆☆☆つづく

まいぱんだ なんちゃって小説家2作目はコーヒーのお話。
三度の飯よりおやつが好きな『ひかる』とゲーム大好き人間『コウちゃん』
それから謎のコーヒー豆が登場。
これから楽しいコーヒーライフが始まる…のかな??

最後まで読んでいただきありがとうございました♪とっても嬉しいです(*^^*)