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第196話 僕の感じた『地域差』を記録しておこう


僕は、根無し草のように、あちこちに住んだ。少し端折って説明すると、

岩手県で生まれ育つ。高校卒業まで。18年。

東京都下へ住む。埼玉県へ引っ越す。7年くらい。

茨城県水戸市に住む。3年くらい。

神奈川県に住む。約20年。

現在の東海地方に住んで、6年目となる。

1番長いのが、神奈川県なので、浜っ子と言っても過言ではない。「~~じゃん」という横浜弁を使いこなし、崎陽軒のしゅうまい弁当が大好きな、横浜っ子と言っていいのだ。

こっちにきて6年になるので、「アカン」とか、自然に出てしまう、バイリンガルともいえる。


◆陰口について

岩手県:最低の行為。卑怯者。信用を無くす。軽蔑される。面と向かって言うべき。

関東、北関東:恥じるべき行為。慎むべき。例外:逗子市にて「陰で言うならまだしも、面と向かって言いやがった」と怒る人にはじめて会い、軽いカルチャーショックを受けた。これによって、僕の認知が【岩手県】に偏って解釈していた可能性があると思った。

関東から北関東に引越しして、とくに違和感を覚えることは無かった。ただ水戸に行ったばかりの時は、怒っていないのに怒っていると勘違いすることが多々あった。言い方が荒かったのと、方言のせいと思われる。なにを言っているかわからないと、話し手はボリュームを上げる。少々言葉が汚かったりすると「怒っている」と、感じてしまう。ちょっとして、「あ、怒っているわけではないんだ」と気づいた。

東海地方:ガス抜きとして許容される。口にしない賢者もいるが、陰口を叩く人を軽蔑まではしない。面と向かいっていう方が悪。ケンカの原因になるから。面と向かって言うくらいなら、陰口の方がマシ。

ちなみに、この東海地方でも、来たばかりの時には「怒っている」という勘違いをした。水戸より、こっちの方が怖い。言葉が聞き取れるようになると、「あ、怒っているわけではないのか」と気づくようになる。「水戸のときもあったなぁ」と、思い出したりしたのだ。


◆ありがとう

岩手県:言わない。めったに言わない。「どうも」が多用された。「すみません」とか「申し訳ありません」の意味の、「おもっさげながんす」とかも多用された。【ありがとう】という意味で「こんなことまでしていただいて、おもっさげながんす」と言うのだ。岩手県人は、謝っているのではなく、お礼の意味で言っているし、聞き手もそう受け取る。

「おもっさげながんす」は、【感謝】のときにも、【謝罪】のときにも、どちらにも使われた。

そして、僕と同世代の若者たちは、「どうも」を使った。「どうもありがとうございます」の省略というよりは、「どうもすみません」の省略だったと思う。「ありがとう」が「どうもすみません」になってしまうという、少し残念な特徴があった。

関東、北関東:田舎から上京して、とくになにも感じなかった。だが、岩手県とは異なり、「ありがとう」も普通に聞いたはずだが、「どうも」を使う人も一定数いて、違和感を覚えるには至らなかった。

東海地方:「ありがとう」がポンポンでる。しょっちゅう聞く。家族でも当たり前に使う。僕の実家では、家族に「ありがとう」と言ったなら、なんか重大イベント(嫁ぐ娘の挨拶など)かと思われてしまう。だが、ここ東海地方では、ヤンキーっぽいお兄ちゃんやヤンキーっぽいお姉ちゃんでも「ありがとー」と言う。それも、ほんの少しのことで言う。

こちらに来て、すごく驚いた。当然、職場でもポンポンと「ありがとう」が出る。だからこちらでは、「ありがとう」を言わないと、礼儀知らずになる。当りまえのことなのだが、岩手県人がいきなり来ると、誤解されるかもしれない。


◆「客」という立場

岩手県:お店の方より、なんなら少し下。たとえば飲食店なら、お店の人は、食事を提供してくれる『プロ』で、『職人』ともいえる。そこにはリスペクトが少し発生する。「お金を払って、食べてやる」という感覚はなく、むしろ「お金を払いますから、食べさせていただけますか」という感覚がある。よって、商売人の接客が、めっちゃ雑だ。

関東、北関東:お店とお客は『対等』という不文律がある。ややお客さんが上、という感じだが、お金をいただく代わりに、商品やサービスを提供しているので、『対等』が原則だろう、と広く認知されている。

東海地方:『お客様は神様』、もしくは『明確に上』。理由は「お金を払ってくれるんだから」だ。この感覚には驚いた。客側としては良い。サービスの良いお店が多い。もちろん例外はあるが。

そして、店側はたまったもんじゃない。関東ならクレーマー扱いされる客が、頻繁に現れる。「責任者を出せ」と電話し、「どういう教育してるんだ」と怒鳴る人が、しょっちゅう現れる。会社は、「低姿勢を貫け」という。クレーマーでもお客様扱いをするのが、こちらでは普通だ。

関東の企業と関西の企業が、合併した会社に勤める友人が言っていた。

「これ、凄くわかる。上司が関西系のときは、クレーマーに対し、『謝罪して』『納得するまで説明して』『繰り返し何度でも謝罪して』と、そんな感じでメッチャ大変で。ところが関東系の上司に変わったら、同じケースでも『そんな客、切っていいよ~』となったの~。もう、ぜんぜん違う」

ゆえに、おそらくは、僕だけの思い込みではないと思う。


◆まとめ

これには、「だから、こう」というような、僕の解釈はない。

とにかく、僕の肌感というか、僕の体験での『実感』なのだ。僕は、事実、このように感じたのだ。僕が感じているだけで、本当に「こうだ!」とまでは言えないが・・・。

でも、僕は、本当にこのように感じたのだ。


* * *


この東海地方では「うっとうしい」という言葉を、よく使う。

僕は、この言葉を使うようになって、「これ、めっちゃ便利だなぁ」と思った。人の言動に対して使うのだ。

「うっとうしいヤッチャなぁ」とか、「長い話を聞かされてさぁ、メッチャうっとうしかったわぁ~」などだ。

関東でいうと「めんどくさいヤツだっなぁ」とか、「長い話を聞かされて、すごく面倒くさかったぁ~」とかになると思う。

最近の若者でいうなら、「ウザッ!」ってやつだ。

「めんどくさい」も「ウザッ!」も、厳しすぎる、と僕は思う。言われると傷つく。でも、「うっとうしい」なら、なんか「ごめん、ごめん」と、かるく返せるのだ。

髪の毛がジャマだったりしたら、関東でも「うっとうしい」と言ったりすると思う。髪がジャマくらいな感じなのだ。まさか自分の髪に対して、怒ったり攻撃したりする人はいないだろう。

でも、「めんどくさい」や「ウザッ」は、極端に言えば、そのあと刺される展開もあり得るセリフなのだ。

たった今、地元の人に聞いたが、やはり「うっとうしい」の後に、殺傷事件とは、ならないと言う。殺傷事件になるのなら、その前に「あのタワケが~!」とか「許せん!」とか、そんなグレードアップした単語が出るだろう、というのが同僚の見解だ。


* * *


まとめとしては、要するに、「地域によって、ホント、ちがうなぁ」という、なんとも当りまえのことが言いたかった、となる。


◆〆

僕は、ゆかりちゃんの言う「やら~」が好きだ。

「そうやら~」「おいしいやら~」「かわいいやら~」とかだ。「そうやら~」は、油断すると、「ほやら~」に変わったりする。

「やて~」も好きだ。

「そうなんやて~」「かなしかったんやて~」「うれしかったんやて~」とかだ。

やわらかいのだ。


「いけずなお人やわぁ~」「どないしたん?」「おいでやすぅ~」とかが、大人気らしい京都弁。でも、ゆかりちゃんの「やら~」は、負けないくらいに可愛いのだ!

ちなみに「いけずなお人やわぁ~」は、標準語では「意地悪な人ねぇん」となるようだ。ゆかりちゃんなら、なんって言うのだろう?

少なくとも、「い・ぢ・わ・る・♡」とは、絶対に言わないなぁ。


僕は、そんなゆかりちゃんが大好きなのだ。




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