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怒鳴ったあとの笑顔とか、怒鳴ったあとの冷静なセリフとか、逆に、怖いんですけど…

妻は、カニの足を投げた。
カニの足の先端は、夫の頬をかすめ、ダーツの的に突き刺さった。

夫の頬からは血が流れている…。

「にゃはははは~!
 うちもダーツの的、買ってこないとね~!」


と、ゆかりちゃんは言った。

(同じことがしたいって、そういう意味か?)

フジテレビのドラマ『知ってるワイフ』を、僕は、妻のゆかりちゃんと一緒に観ていた。その第1話で、カニの足が飛んだのだった。

DV夫は聞いたことがあるが、DV妻のドラマという内容か? 珍しいな、と僕は思った。

そして、ゆかりちゃんは、まだ大笑いしていた。ホラー映画を観て大笑いしているかのような、そんな違和感を、僕は感じた。


ドラマの主演は、広瀬アリスさんと大倉忠義さんだ。

妻役の広瀬アリスさんは、汚い言葉を使うし怒鳴る。まあ、そんなことなら我が家でも同じことが起こっているから、僕は、驚いたりはしない。

「ティッシュ!」


ゆかりちゃんが叫んだ。

ティッシュに話かるとは、変わった行為だなあと、僕は思った。
何かを調べたくなり、「ヘイ!  シリ!」とiPhoneに話しかけたツモリで、「ティッシュ!」と言ったのかもしれない。

「とって!!」


と、ゆかりちゃんが怒鳴った。僕を睨みながらだった。

「ティッシュ」「とって」という、僕に対しての命令だったらしい。
「私に差し出せ」という命令は省略されている。
「そこは言わなくても、察しろ」ということなのだろう。

「違ったね。
 ティッシュを1枚とってください」


と、ゆかりちゃんは笑顔を添えて、普通の声で言い直した。
その笑顔は逆に、怖かった。

命令を遂行できず妻の怒りを買い、カニの足が飛んで来る未来は怖ろしい。

僕は、致し方なく2枚セットのティッシュを、1枚に、丁寧に剥がしかけた。
ゆかりちゃんは、

「そのままでイイです…」


と、冷たい声で付け加えた。


ドラマの影響を受けたのか、ゆかりちゃんの怖さが増していた。
広瀬アリスさんを見て「私は、まだ優しい(or甘い)」と思ったのかな。

このドラマは見続けた方が良さそうだ。
夫役の大倉忠義さんが、何かしらの対処方法を、僕のような弱い夫達おっとたちに示してくれるハズだから…。

ん?
タイムリープとか、そう言うのは要らない。
現実的なアドバイスをくれ。

月が1個しかない、この世界へのアドバイスを、頼む。




この記事は、2021年1月の記事を元に、書き直したものである。
おしまい


※この記事は、エッセイ『妻に捧げる3650話』の第1527話です

PS. 僕のKindle本 ↓『いいかい、タケルくん』【考え方編】です。


読むと、恋人ができてしまう自分に変わります。
恋愛とは、若者だけのものではありません。

人生100年時代。
40代、50代、60代、70代でも、恋愛って必要です。(僕の主観です)
そばにいるパートナーは、誰にだって必要ですよ。(僕の感想です)

「考え方」ですから、若者だけでなく中年にも参考になります。
もちろん若い男性には、モロ、参考になります。

女性にも参考になります。
【男の思考】が詳しく書かれていますから。
「男性って、そんな考え方をするんだぁ」と、きっと参考になります。

ご一読いただけたら幸いです。


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