第16話 クリスマスリース
ゆかりちゃんが一昨年? 去年? に作ったクリスマスリース。
自然素材。茶色のツタの輪に、サンキライの赤い実を散らし、緑の葉をあしらい、そして、松ぼっくりを配置する。
サンタと鈴を添える。
そうやってゆかりちゃんが手作りした、我が家のクリスマスリース。
少しだけ、サンタの位置が中心からずれているけど、むしろそのズレがなんか良い。そんな我が家のクリスマスリース。
***
オートロックを、朝刊配達のためのホンのわずかな時間だけ解除しているのだが、それが心配という意見があった。
管理会社の森さんと話し、アンケート調査をすることになった。
そのアンケートを作ったので、1階の集合ポストに投函することになり、いつものように、ゆかりちゃんと一緒に部屋を出た。
半分までもう少しという投函状況なのに、アンケートが切れた⁉
どうやら、プリンターに紙が足らず、それに気づかなかったから充分な枚数と思い込み、ここへきてしまったみたいだ。
ゆかりちゃんに「もどるぞ‼」と言った。
ゆかりちゃんも、うなずいた。
階段を駆け上がる。
50代だから遅い。それでも当人たちにはキツイ。
僕が先に着き、鍵を持つゆかりちゃんを待つ。
2秒後ゆかりちゃんが到着。鍵をガチャガチャ・・・。
・・・あれ? ・・・おかしい。
(逃げろ! ここはまだ3階だ! あのウルサイ、神経質タイプの函館さんのお宅だ‼)
さすがに夫婦だ。言葉にせずとも、顔を見合わせただけで、すべてを察知し、同時にダッシュした。
真上の我が家に着いて、ドアを開け玄関に入った。
それと同時に、僕とゆかりちゃんは爆笑した。
まるで、ピンポンダッシュだ。
インターホンは鳴らしてないから、ガチャガチャダッシュだ。
クリスマスリースがそっくりだから、つい間違えるのだ。
完成度は、ウチが少し劣ってはいるけど・・・。
たぶん函館さん家のリースは、手作りではない。お店で購入したものだ。
完成度が高い。
わが家のは、ゆかりちゃんの手作りで、落ちたサンタをグルーガンでくっつけ直した(直したのもゆかりちゃん)。そういう、味のあるリースなのだ。
函館さん。間違ってガチャガチャやって、すみません。
そんなときに、大爆笑する。
僕は、そんなゆかりちゃんが大好きなのだ。
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