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青リンゴの話

高校時代、クラスメイトのかん君から聞いた話です。
どこかで聞いた「ネタ」だと思います。
それを僕に語って聞かせてくれたのです。

おそらく有名なネタだろうと思います。

当時の記憶を掘り起こして、かん君の語りを文章化してみます。


◆青リンゴの話

大学生の男3人が『旅』をすることになった。

旅行ではなく、たび
計画など立てない。
宿の予約などをしない。
降りる駅も決めていない。

そんな旅に行こう!と、3人は盛り上がった。

男たちの名前は便宜上、「A」「B」「C」とする。
男3人は、まずは、適当な駅で電車を降りた。

適当にバスに乗って移動した。
適当な停留所で降りて、歩き、冒険気分を味わっていた。

Aが、「あの山を越えよう」と言って、指さした。
Bが、「方角的に、あの山を越えれば、わりと大きな町がある」と言った。
Cが、「よし、行こう!」と言った。


3人は、意気揚々と歩き出した。

夜になった。
3人はまだ山の中だった。山は思った以上に遠く大きかった。

やがて真っ暗になった。
鼻をつままれても本当に分からない。そんな漆黒の闇だった。

これまで今まで歩いてきた距離を思うと、引き返すこともできない。
野生の動物が怖いが、どうやら野宿するしかない。

そんなタイミングで、遠くに ポツン と明かりが見えた。

「あそこに行こう」とAが言った。
「泊めてくれるかなぁ」とBが言って、
「この事情を話せば、泊めてくれるさ」とCが言った。

他にはまったく民家など見当たらない。
確かに、普通なら同情してくれると思われた。


その明かりは、民家だった。

「ごめんください」と、3人で声をかけた。

中年のオジサンが現れた。身体がデカかった。
40代か50代だと思うが、鍛え上げられた身体だと、服の上からでもハッキリと分かった。


事情を話したが、「だめだ」と断られた。

3人は粘った。
必死で説得した。


美しい娘が玄関に出てきた。
その美しさは、アイドルや女優以上だった。

3人は、「決して娘さんには指1本触れない」と約束した。

「オレは猟師だ。
 だから、猟銃を持っている。
 銃声がしても、オレが熊かイノシシでもを撃ったと思い、
 この近くの者は、誰も驚きはしない。
 約束を守れよ」

「はひ!」と、3人は声を揃えて誓った。


ところが。
朝になると、娘が泣いていたのだった。

若者たちは3人とも、別々に、娘の部屋へ夜這いに行っていた。

娘は、それほどに美しすぎた。


娘の父親は激怒した。
猟銃に弾を込め、1発、空に ズドーン! と撃った。

3人は、必死で弁解し、命乞いをした。

「許してください!」
「何でもします!」

「なんでもしますだと?
 ほう。
 ならば、根性を見せてもらおうか」

「はひ! 何でもします!」


「ならば、今からすぐに外に出て、20分以内に果物くだものを採ってこい」

「はひ!」

3人は、バラバラに駆けだした。


やがて、Aが帰ってきた。
Aは、手にはサクランボを持っていた。

娘の父親は、「それをケツの穴に入れろ」と命じた。

「え? ケツ? お尻?」


父親が睨むと、Aは、即座に動いた。
サクランボは、あっさりとAの肛門に収まった。

Aに続いて帰っていたBは、その光景を見ていた。

父親はBに視線を向け、顎をしゃくった。
お前の番だ、という意味らしい。
同じことをしろ、という意味らしい。

Bが持ち帰ったのは、青リンゴだった。

Bは、思った。
(これが入るか?)と。

Bは必死になった。
唾を使い、バターを借りて、なりふりかまわず頑張った。

入りそうだ。
イケそうだ。
青リンゴの直径の、1番大きいところを超えた。

その時だった。

「にゃはははーーーっ!」

Bは笑った。


コ、コロン……。

入りかけていた青リンゴが、Bの肛門から出てしまい、そして転がった。


ズドーン!

銃声が鳴り響いた。


Bは地獄に落ちた。
閻魔大王が、「B! お前は『血の池地獄』だ!」と叫んだ。

Bは、鬼たちに連行される。
そのBに、閻魔大王が声をかけた。


「B。…お前は、なぜ笑ったのだ?
 笑ったりしなければ、殺されることはなかったのに」

「見えたんです・・・」


「ん? 何が見えた?」

Cが、笑顔でスイカを抱えてくるのが…」




『青リンゴの話』終了


◆〆

僕は、この話を、ゆかりちゃんに語って聞かせました。
15年くらい前かな。
交際して1年くらい経った頃でした。

ダダスベリでした。
「話、長っ」って言われました。

でも、3年前に、もう一度語ったら、そのときはウケました。

僕は、ゆかりちゃんが大好きです。







おしまい


※この記事は、エッセイ『妻に捧げる3650話』の第1335話です
※この記事は、過去記事の書き直しです


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