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3年前の、『美しい諦め』vs『イイ心臓』

3年前のある日です。

ゆかりちゃんが言いました。

「イオンモール行こう!」
「IKEAも行こう!」
「ユニクロにも寄ろう!」

めっちゃハイテンションです。
ゆかりちゃんは、珍しく、平日なのにお休みでした。

ショッピングモールに行ってブラブラすると、高級マッサージ器の無料体験コーナーに巡り会いました。

ソファータイプのマッサージ器ではなく、なんと、ベッドタイプ!
メーカーはフランスベッドです。そういうマッサージ器です。

ゆかりちゃんは、お試しする気満々です。
寝っ転がる気満々です。


そもそも、ゆかりちゃんはマッサージ器が大好きなのです。
でも、その後に、セールスされることも明確です。

高額なマッサージ器は、ケチなゆかりちゃんは絶対に購入しません。

僕はためらいました。
断ると決まっているのに、セールスの美しい女性店員さんの時間を奪うことになります。

気が引けました。


同じ場所に、簡易健康測定機がありました。
血管年齢が測定できるようです。


指を入れて、少し待つだけみたい。

ゆかりちゃんが食いつきました。
そもそも、マッサージ器も試したがっていますしね。自然な反応です。

ゆかりちゃんが、血管年齢を測定しました。


美しい女性店員さんが、

「結果は【E】判定です~」

と、小声で、申し訳なさそうに告げました。

「え? E判定って?」と、僕。

美しい女性店員さんは、

「E判定は、血管年齢が、60歳~67歳になり……」

と、語尾の「ます」が、中森明菜さんのように全然聞こえませんでした。


この結果に、ゆかりちゃんが納得するハズがありません。

「じょーじが、途中で話しかけるからや!」
「じょーじもやってみ!」


僕も測定しました。
僕の結果は【A】。

「【A】は、血管年齢、30歳から40歳です」

と、美しい女性店員さんが、明るく、美しい笑顔で解説してくれました。
語尾まで聞こえました。


「私の時は、じょーじが話しかけたからや!」

ゆかりちゃんは再計測する気、

スペシャル満々です。


店員さんが祈るような表情をしています。

「今度は、話かけちゃアカンからね!」

「わかった、わかった」


判定結果は【F】。


「え? F? あの、Fって?」

「【F】の血管年齢は、62歳~74歳です」


僕、爆笑。
ゆかりちゃんも、苦笑い爆笑。

「さっきより悪くなってるやん!
 店員さんも、これじゃ~もうかばえないわ~」

美しい女性店員さんも、笑っていました。

笑わないように…
という努力を、あきらめた感(or開き直った感)がモレていました。

美しいあきらでした。


この後ゆかりちゃんは、まるで何かの元を取るかのように、ベッドタイプのマッサージ器を15分間、横になってシッカリ堪能たんのうしました。

イイ心臓をしています。

ゆかりちゃんは、美しい女性店員さんのセールスを、

「う~ん。ちょっと考えてみますね~」

と、サラッとかわして、そのスペースを去りました。


念のため、僕は確かめました。
「マッサージ器、買うの?」と。

「買うワケないやん」と、ゆかりちゃん。

イイ心臓をしています。


僕は、ゆかりちゃんが大好きです。
食べ物など、健康に留意している今のゆかりちゃんなら、血管年齢、何歳でしょうかねぇ~。

【S】で、20代って感じかな?
でも、【S】って、あったかなぁ。

【A】は、確実でしょう。

ちなみに僕は【A】でした。


僕は、ゆかりちゃんが大好きです。(2度目)







おしまい


※この記事は、エッセイ『妻に捧げる3650話』の第1195話です
※この記事は、過去記事の書き直しです


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