娘は「悪いあの人」「かわいそうな私」しか語らない。「これからどうするか」を語って欲しいものだ…。
わかっています、アドラーさん。
これは娘の課題です。
僕は、娘の課題には、決して介入しません。
妻の課題にも、決して介入しません。
会社から帰宅した娘の第一声は、
「あー、疲れたー」
です。
昨夜だけではありません。
ここのところ毎晩です。
ちなみに娘の仕事は肉体労働ではありません。
営業職ですがデスクワーク中心です。
同僚なのか先輩なのか、同じチームのAさんが会社を休みがちなのだそうです。
そのせいで、娘が余計な負担を強いられているのかな。
そんなボヤキを言っていました。
「ズル休みじゃないか」
「夜遊びしすぎじゃないか」
「社会人なら体調管理も仕事なのに」
と、26歳にして、故野村克也監督以上にボヤキます。
僕は、この手の会話には加わりません。
キライだからです。
イヤな顔をしない。否定しない。説教を言い出さない。ということにだけ、神経を使います。
そして、なるべく離れます。お風呂に入るとか。PCに向かうとか。
ちなみに、
妻のゆかりちゃんも、精神的な疲労を吐き出すことがあります。
「Bさんは、ウソをつくんやて」
「大事なものをなくすし」
「マニュアルをみないし」
ゆかりちゃんの発言も、ボヤキと言えばボヤキです。
でも、娘のボヤキとは、まったく違うボヤキなのです。
ゆかりちゃんのボヤキは、明らかに
ガス抜き
です。
ガマンしていると爆発しそうだから、
ちょっとガス抜きさせて~
と、僕には100%、そのように感じられます。
対して、娘のボヤキは、
承認欲求
に感じます。
Aさんの分も頑張った私って、偉くない?
偉いよね?
って感じるのです。
体調管理がなってなく、会社を休んじゃうAさんより、
私の方がイケてるでしょ!
そういうアピールに感じるのです。
ガス抜きに見せかけた承認欲求です。
話す内容は、「悪いあの人」です。ひいては「かわいそうな私」で、そこから「にもかかわらず頑張っているから私はスゴク凄い」と言いたいのです。
相田みつをさんの作品集『一生感動 一生青春』の中で教えていただき、
今でも大切にしている考え方が僕にはあります。
それは、
言い訳や弁解とは、
灰色の自分の隣に、黒を持ってくる行為
という考え方です。
僕は、心底納得しました。
自分が、少し汚れて”灰色”になったなら、隣に真っ黒を持ってくるのです。すると、自分の灰色(汚れ)が目立たなくなり、まるで白く見えるワケです。
こういう行為をする人は、真っ白な人を、自分の近くには寄せつけません。
自分が汚れているのがバレるから。
自分が、ごく薄~い灰色であったとしても、隣が真っ白だった場合に限っては、「あなたは白ではない」とバレてしまいます。
娘は、言い訳や弁解をしているワケではありません。
でも、心理的動機や手法は、これと同じです。
自分の評価を上げるために、自分より劣っている人を隣に並べています。
隣に真っ黒を持ってくる行為です。
僕は、こういうのって、
人間理解が【浅い】と思います。
物の見方・考え方の浅い人間は、年齢を重ねても浅いままです。
自分が変化することなく、生きる年月だけを重ねてもダメなのです。
かけているメガネを変更しないとアカン! と、僕は思います。
いくつになっても自分の自慢話をする人って、一定数いるじゃないですか。
あれって、
という、簡単な計算しかできないのだと思います。
(+Aさんのスゴイ実績) × (+Bさんが語った) = 大きなプラス
正数と正数の掛け算です。
Aさんの実績がまあまあで、+5。
Bさんの信用もまあまあで、+5。
この場合は、+25です。
Aさんの実績がスゴクて、+50。
Bさんの実績や信頼も凄くて、+50。
この場合は、+2500です。
でも、
(+Cさんのスゴイ実績) × (-Cさんが自分で語った)= マイナス です。
しかも、こんな人が多い!
(+Cさんのスゴイ実績) × (-Cさんが自分で語った) × (-偉そうに語った)
× (-前にも聞いた話) × (-超昔の話) × (-盛ってそう)= 大きなマイナス
自慢話なんて。言えば言うほど、評価は下がり、人は離れてしまいます。
こんな簡単なことが分からないジジイが、マジで山ほどいます。
実績という【+】に、自分が語るという【-】を掛けるから、答えがマイナスになるのです。
ちなみに、好感度の高い人は、
を生みだします。
物の見方・考え方の浅い人間は、誰かを悪く言います。
単純に、「自分はそいつより上」と、知らしめたつもりになります。
『人を見る目』を持っている人は、そんな浅い考えもお見通しです。
陰口ばかりする人間は信用しない、と決めている人だっています。
物の見方・考え方の深い人は、その人が語らない影の努力だって、ちゃんと気づいています。
真の大人とは年齢にかかわらず、そういう【深い目】を持っています。
僕は娘に「読書をしなさい」と、これまでに3回くらい言いました。
読書はなかなか習慣にならないようなので、せめてと思い、「映画やドラマを観るのはイイと思うよ」と言いました。
娘はドラマ好きなのです。
でも、最近の娘を見て、やっぱりドラマや映画ばかり観ててはダメだ、と思い直しました。
俳優が表情で心や思いを表現したり、監督や脚本家が最高の技術で心情を説明しても、それをキャッチする能力がないのです。
なんていう解説は、映画やドラマには、基本ありません。
娘は、ドラマを観ても映画を観ても、映像や音声で表現される【事象】しかキャッチしていない可能性が大です。
あ。
今、娘が帰ってきました。
やはり同じ話をしています。
ゆかりちゃんが水を向けています。
ガマンすると僕の健康に良くないので、これも書きます。
娘よ。まだ26歳じゃないか。
転職して2か月目の会社じゃないか。まだ新人じゃないか。
「E先輩って、すごく素敵なんだよ」
「こういう考え方をしててさ~」
とか、
「F上司に、こういうことを教わったの」
「めっちゃ感動した!」
そういうのってないの?
今も、よく休むAさんの、その休みの理由が「ウソ」だとか「おかしい」とか、ゆかりちゃんと推理談義しているが、
それがなんの意味があるの?
ズル休みでもホントウ休みでも、
どっちでもよくね?
ため息がこぼれそうです。
願わくは、この僕のグチが、
このボヤキが、
若者に読まれ、娘を反面教師にして欲しいです。
神よ、娘に試練を与えたまえ。
娘よ、その試練を乗り越えるんだぞ。
妻よ、君が娘の全てを承認するのはありがたい。僕にはできない行為だ。
しかし、娘と一緒に「ズル休み説」の分析&強化に、30分も花を咲かせるのは、いかがなものか。
僕は、娘が大好きです。
僕は、ゆかりちゃんが大好きです。
おしまい
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