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聞いてきました! 玄米茶に玄米は入っているの?



 一般に売られている「玄米茶」には、玄米はほとんど使われず、精米が使われているそうです。問題にならないのでしょうか――。読者からの情報の窓口「つながる毎日新聞」に、こんな投稿が寄せられた。玄米茶なのに、精米を使用? 本当だろうか。さっそく取材してみた。【大迫麻記子/統合デジタル取材センター】



 「玄米100%」と表記されているが…

 「玄米茶」を辞書で調べると、「蒸した玄米を煎って緑茶に混ぜた、こうばしい香りのする茶」(デジタル大辞泉)とある。
 最近はペットボトルで販売されるお茶も種類が増え、緑茶やジャスミン茶などと一緒に玄米茶も並ぶ。


 スーパーなどでよく売られている商品では、伊藤園の「お~いお茶 炒りたて玄米茶」▽サントリーの「緑茶 伊右衛門 玄米茶」▽サンガリアの「あなたの抹茶入り玄米茶」――などがある。


 このうち、お茶の専門メーカー、伊藤園の玄米茶を見てみたい。ラベルの商品名の下には、コメ粒のイラストがあり「国産玄米100%」と書かれている。原材料名欄には「米(日本)、緑茶(日本)、抹茶(日本)/ビタミンC」と記載されている。


 さらに同社の公式サイトで、この商品の詳細を確認すると、こんな記述があった。


「もみ殻やヌカなどをしっかり取り除きつつ、……豊かな味わいに仕上げています」

 え、玄米からヌカを取り除いたコメ? それは「精米」では? それでも玄米茶と呼べるのだろうか?


 伊藤園広報室に尋ねると、「煎り米には、玄米からヌカを一部取り除いたお米を使っています」とのことで、公式サイトの記述通り、精米を使っているとのことだった。

 由来は、硬くなった餅? 釜についた飯粒?


 それにしても、辞書に書かれている定義と、伊藤園の説明には隔たりがある。この商品はあくまで例外なのだろうか。


 お茶のメーカーを束ねる公益社団法人・日本茶業中央会の中島仁三(ひとみ)専務理事(68)は「玄米茶は、ペットボトルの商品だけでなく、茶葉やティーバッグでも販売されていますが、いずれの商品も『煎り米』には、玄米ではなく精米を使うことも多いと聞いています」と話す。

 中島さんによると、玄米茶は遅くとも昭和のはじめごろから飲まれるようになったらしい。「余って硬くなった餅をお茶に入れて飲むようになったのが始まりと聞いています」とのことで、玄米茶と言いながら、実は当初から玄米ではなく精米を使っていた可能性がある。


 煎り米は、お茶メーカーが、専門業者に製造を依頼して仕入れることが多いという。そこで、煎り米を製造する京都グレインシステム社(京都市下京区)の田宮尚一社長(74)に「玄米茶用の『煎り米』の原料のコメは、玄米ですか? それとも精米ですか?」と聞いてみると、次のような回答だった。


 「玄米茶用の煎り米の注文のうち、9割は精米を使うよう依頼されます。ただし、食用の精米みたいに真っ白にはせず、一部ヌカを残すことが多いです」
 田宮さんにも玄米茶の始まりについて聞いてみると、「ごはんを炊いた後の釜についたカリカリの飯粒を、お茶に入れて飲んだらおいしかったので広がったのではとされています」との答えだった。やはり、昔から玄米ではなく精米を使って玄米茶を作っていたのかもしれない。

 お茶のメーカーとしては、茶とコメを、相性よく合わせて味を引き立たせるのが「腕の見せどころ」だという。「最適なコメは、茶葉によって変わります。注文を受け、ヌカを取り除く割合は30%とか80%とかバラバラ。同じ商品でも、時期によって変えるように依頼されることもあります」

 表示ルール上、問題はある?


 どうやら、投稿者の情報どおり、「玄米茶」には精米が使われており、業界では当然の事実として受け止められているようだ。
 それにしても、精米を使いながら「玄米茶」と表記して売ることは、消費者を誤解させることにつながり、表示のルール上、問題にならないのだろうか。


 消費者庁食品表示対策室に聞いてみると、「『玄米茶』は、茶とコメをブレンドした加工食品と理解しています。ですから、茶葉とコメが使われていれば、そのコメが精米であっても『玄米茶』として売って問題ありません」とのこと。さらに、精米を使っていた場合、原材料名欄に「米」はもちろん「玄米」と書いても、表示のルール上は問題がないという。

 ややこしい話だが、食品表示法による食品表示基準によると、加工食品においては、コメの表記で「玄米」と「精米」を区別する規定がない。また、精米も元は玄米であることから、誤りではないという理屈だ。


 日本茶業中央会の中島さんがさらに解説する。「玄米茶には以前から精米が使われていますが、煎ったコメがきつね色のため、その見かけから『玄米茶』と呼ばれるようになったようです。『米茶』と呼んだほうがより正確かもしれませんが、『玄米茶』という言い方がすでに広まっており、そのままずっと使われています」


 ただ、日本茶業中央会では、煎り米に精米を使う場合は、原材料名には「玄米」と表記せず、「米」とすることを推奨しているという。
 ちなみに、「玄米」と「精米」を区分しないのは加工食品のケースだけだ。生鮮食品としてのコメの場合は、食品表示基準で「玄米」と「精米」とは厳密に分けて表示するよう定められている。ヌカを一部でも取っていると「精米」に区分され、「玄米」と表記することはできない。

 「煎り玄米」入りを飲みたい場合は…


 「玄米」は精米よりもミネラルや食物繊維を豊富に含み、栄養価が高いことが知られている。せっかく飲むのであれば、「煎り白米」ではなく、「煎り玄米」が入っている商品を買いたいという人もいるだろう。


 しかし、玄米入りなのか表示の規定がないのであれば、どう見分ければよいのか。中島さんは「見分けようがなく、メーカーに直接問い合わせるしかない」と話す。


 そこで、ネット通販で「玄米茶」を検索してみた。上位から商品を見ていくと、原材料名欄に「米」と書いてあるメーカーが多いが、「玄米」と書いているメーカーが2社あった。


(続きは以下のサイトで。無料記事です)


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