隣の祐君第97話三人で洋食ランチ、祐は一旦回復の兆しを見せるけれど
祐君と私、菊池真由美と、純子さんはアパート近くの洋食店で、お昼を取ることになった。
祐君との玉鬘の話が長引いて(すごく面白かったけれど!)、(祐君は疲れが顔に出ていたし)、そのうえ祐君には平井恵子大先生からの、電話。(祐君は、動揺していた)
純子さんが発案。
「とにかく、一旦、気分転換、少し外に出て、外でランチしない?」(純子さんは、なかなか説得力のあることを言う、私は、即賛成だ)
祐君は気が乗らない顔。
「食べられるかな・・・半分以上残しちゃうかも」
私
「行こうよ、やつれた顔で、平井先生に逢うのもね」(純子さんも、うんうん、と頷く)(純子さんは、善人だ)
祐君は、「それなら」と、ようやく腰をあげた。
洋食店は、アパートから歩いて3分、濃茶煉瓦のシックな老舗。
祐君は、カレーライス、純子さんはカルボナーラ、私はハンバーグ定食。
祐君
「すごいな、このカレー。スパイスが弾けている」
純子さん
「カルボナーラは、こってりした感じ、でも。食べ飽きない」
私
「ハンバーグも、ずっしり感がある。味が濃いかな」
純子さん
「そうやね、関西と、少し違う」
私も、本当にそう思った。
「うんうん、そう思う」
祐君がカレーを選んだのは正解だった。
「半分食べられない」と言っていたのに、カレーの刺激で、ほぼ完食。
これには、純子さんと私の目が合った。
目と目で、気持ちも通じた。
つまり、祐君の気力、体力も回復した、と判断したのである。
洋食店から出て、数歩歩いた時だった。
祐君のスマホが鳴った。
電話に出た祐君の声は、最初、小さくて、全く聞き取れない。
その祐君は、少しして、大きな声。
「嫌だ!」
「どうして、そんなに命令ばかりするの?」
「絶対に嫌!」
「もう、顔も見たくない!」
「声も聞きたくない!」
「嫌いじゃない!」
「そういうことばかり言うから、嫌なの!」
これには、私も純子さんも驚いた。
純子さん
「祐君のあんなに大きな声って・・・」
私
「でも、本当に嫌がっているって感じ」
純子さん
「誰だろうね」
私
「うーん・・・」
純子さんと私は、しばらく、祐君の様子を見る以外、何もできなかった。
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