一遍上人語録　往生はまたく義によらず

往生はまたく義によらず、名号によるなり。
法師が勧むる名号を信じたるは往生せじと心にはおもうとも、念仏だに申さば往生すべし。

（意訳）
極楽往生を遂げるためには、仏典の教義を詳しく理解したからと言って、成るものではありません。
阿弥陀如来の名号によって、極楽往生となるのです。
私（一遍法師）が勧めるこの名号を信じたとしても往生などありえないと、あなたが心の中で思われたとしても、念仏さえ称えれば往生はするのです。

信じていても、実は疑っていて信じていなくても、阿弥陀如来の名号さえ称えれば、極楽往生が確定される。
人間の理解できるできないの判断、好き嫌いの感情ではなくて、あくまでも「南無阿弥陀仏」そのものが、極楽往生を確定してしまう力があるということ。

「信じるものは救われる」を越えた「信じていなくても、念仏をすれば「否が応でも」救われてしまう。
頭と身体の力が抜けてしまうほどの、強い救いを感じる。