石仏の話(54)元興寺
奈良町を歩いていると、元興寺がある。
元興寺と言えば、日本最古の歴史を誇る仏教寺院飛鳥寺を起源として、平城京に移ってきた歴史を持つ。
戦前までは、それが荒れ放題で、お化けが出るとまで言われていたらしいけれど、戦後の住職の御尽力により整備され、今は世界遺産の石碑が門前にある。
ほぼ官寺の東大寺や藤原氏の氏寺としての興福寺などの大寺も素晴らしいと思うけれど、この元興寺は庶民の信仰の雰囲気に満ちている。
特に信仰に根ざした智光曼荼羅を中心とする浄土信仰、地蔵信仰、聖徳太子、弘法大師に関する仏像や資料も多い。
さて、その庶民信仰の「多数作善」を示すものとして、元興寺極楽坊の境内にある地蔵石仏と千塔塚がある。
たくさんの石碑が並び、その中心に地蔵石仏が立っている様子は、一度必見。
とにかく、理由も何もない、手を合わせたくなる地蔵石仏と千塔塚である。
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