隣の祐君第35話正気に戻った祐は罪悪感に満たされる
祐は、戸惑った。(ようやく、正気に戻った)
純子が、何故、こんなに親切にしてくれるのか、その理由がわからない。
確かにアパートは隣、大学と学部が同じ。
そうは言っても、まだお互いを知って、ごくわずか。
昨晩からのことは「実に不覚」と思うし、これ以上居座ったら、迷惑とか邪魔でしかないと判断した。
結局、首を横に振った。
「あの・・・ごめんなさい」
「お心遣いありがとうございます」
「でも、全く食欲がないので」(実際、全く食欲など、ない)
頭も下げるべきと思った。(謝罪しても、し尽くせないほどの失態と思った)
「昨日の晩からのこと、本当に申し訳ありません」
「とんでもない失態をして」
「ご迷惑をおかけしました」
深く頭を下げて(純子の顔は見ないで)、祐は立ちあがった。
「部屋に戻ります」
「気にしないでいい」と言われたけれど、祐は罪悪感に満たされていた。
取返しのつかないことをしてしまった、その気持ちでしかない。
再び謝った。
「本当に申し訳ありませんでした」
しかし、祐は自分の部屋に戻れなかった。
「嫌だ、そんなこと言わないで」
純子が祐を後ろから抱き締めている。
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