マガジンのカバー画像

石仏

64
石仏について、書きます。
運営しているクリエイター

#地蔵菩薩

石仏の話(50)

奈良興福寺から春日大社一の鳥居に向かっていくと、道の脇に、小さな地蔵菩薩の石仏がある。 時々は、拝む人もあるけれど、ほとんどは通り過ぎていく。 お顔そのものは、優しい。 いつの時代に設置されたのかは知らないけれど、ここの場所に立っているということは、それなりの由来があるのだと思う。 その由来を持って設置され、その後は通り過ぎる数多の人々や、人々の思い、見つめてこられた。 それを感じた時から、目にするたびに、必ず手を合わせるようにしている。

石仏の話(7)あちこちのお地蔵さん

やはり石仏の中では、お地蔵さんが一番多いようだ。 人気投票で言えば、トップなのだと思う。 あちこちに出かけられて、あちこちの人々を見守り、癒やされている。 また、掃除をしたり花を抱いたり、寝転んだり、そのお出ましの姿も様々。 本当に働き者の、仏様と思う。 やはり、お地蔵さんは、それだけ人間たちのことを、大好きであって、また、心配でならないのだろうか。 いつかは、お地蔵さんが安心して、居眠りできるような時代とか世界になればいいのだけど。

石仏の話(6)将軍地蔵

将軍地蔵は鎌倉期に武士たちの戦勝祈願から造られたと言う説もあるけれど、果たしてどうだろうか。 そもそも人は、他者の無残な死体や負傷した姿を欲して地蔵に願をかけるのだろうか。 地蔵が将軍となって、他者からの悪意の攻撃を、人々の争いを、止めてもらいたいという気持から造られたと信じたい。 また勝敗の結果に関わらず、戦争に関わった人々の心を、癒して欲しいとの気持もあったのだと思う。 何しろ、戦争は地獄。 地獄から苦しむ衆生を救うのは、まず地蔵菩薩。 地蔵菩薩に相手を害して欲しい、痛め