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石仏

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石仏について、書きます。
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#観音像

石仏の話(19)二体並ぶ観音像

徳島の劔山に二体並ぶ観音像がある。 母親の供養として観音様の石仏を置き、その後「お母さんが一人だけでは寂しかろう」という気持になり、娘が、もう一体の観音像を隣に立てたらしい。 もちろん、仏法の厳格な教義からすれば、そんなことは不要になる。 しかし、娘が母を思う気持の現れであり、その気持自体は尊いし、よくわかる。 人が人を思う気持ち、人によくあって欲しいと思う気持ち、それが「利他」の原点。 仏法の原点でもある。

石仏の話(8)慰霊観音像に口紅

航空機事故で遭難した人々の死後の安寧を願い、慰霊の観音様や地蔵様を建立する場合がある。 おそらく建立した人の心としても、そうしたかったのだと思う。 様々な思いを、仏像に託すことは、ありえる、ほぼ自然な思いなのだと思った。 さて、そんな観音像の中には、口紅を塗ったものもあるという。 亡き娘を思って建てたのだろうか。 いつまでも美しい我が娘であって欲しいと思ったのだろうか。 いろいろ考えると、娘さんも喜んでいるような気がしてきた。