グザヴィエ・ドラン監督・主演「トム・アット・ザ・ファーム」

前々から気になっていたグザヴィエ・ドラン監督の映画を某クラウドで鑑賞。
3月で29歳になるカナダの監督。この映画では主演も務めるという、才能に溢れた監督なのだ。2013年にこの「トム・アット・ザ・ファーム」で第70回ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門で国際映画批評家連盟賞を受賞。翌2014年には「Mommy」でカンヌ映画祭で審査員賞を受賞したという。(鑑賞後ざっとググった内容だけど・・w)

 さて、鑑賞してから数日経った今、心に残っているのは印象的ないくつかの映像、テーマ音楽とエンドロールに流れる音楽だ。そしてある種の恐怖感がじわじわと来ていた鑑賞中だったのに、鑑賞後はどろどろ感が残らない。不思議な感覚。

 ホラーとかサスペンスでは、やたらと刺激的な映像てんこ盛りの昨今の映画。それが売り物みたいなところもあるよね。でも、このドラン監督の映画は必要最低限、必然性に裏付けられた映像だけで構成されている印象を受けた。
 唯一牛の死体をトラクターで引きずっていく場面は今も脳裏に焼き付いている。しかし、それすらもグロとは違うレベルの映像だという印象を受けた。
 都会に住むゲイの青年(グザヴィエ・ドラン)が事故で亡くなった恋人の葬儀に参列するために田舎の農場を訪ねるが、恋人の兄にどんどん追い込まれていくところがこの映画の怖さだ。自分たちと異質なものを認めず排除しようとする社会。その象徴であるかのような田舎の農場。暴力的な匂いをさせた兄の強引さに丸め込まれて、骨抜きにされて・・・いつの間にか農場でこき使われている青年。
 室内のテーブルと椅子、そこだけ縦長に明るい空間。前景は暗い。(こういう美しい画面が素敵な監督を他にも知っていたけれど、今は思い出せない)
 広い倉庫のような空間で怖い兄に言われるままにダンスに応じる青年。怖くおぞましく、そして妖しく美しい~!

 オープニングは地平線まで続くかのような農地を貫きまっすぐに延びる道路を走る車、流れるシャンソン♪(耳馴染んだ調べだが曲名も歌詞も分からず残念)運転しながら煙草を燻らせる美しい青年。映像も音楽も魅力的だ。
 エンドロールはアメリカに対して否定的な歌詞の曲だったような・・。(見直せばよかったぁ)いろいろあったけど、農場無事脱出。自分を取り戻せた青年にホッとした。だから後味がよかったのかもしれない。
 終盤でだれかが派手なUSAロゴ入りスタジャンを着ていて、目が釘付けになったのだが、このエンドロールの曲と呼応していたのかもしれない。(こりゃだめだ、見直さないとw)

ドラン監督は小柄だけれど、かなり素敵な容姿。そしてお洒落。わたしはお洒落が好きなので、ヘアとか衣装にも目がいく。グザヴィエ・ドラン監督作品は初めてだけれど、他の作品もこの週末に狙っている。

 ちょっとまとまらないけど、取り敢えずの記録日記。・・・眠い(-_-)zzz