500px-ハシボソガラスの営巣_拡大_

ハシボソガラス②・・・子育ては協力した

                  ※画像はすべてお借りしたものです。

 ハシボソガラスは河川敷や田園地帯など田舎が好きなカラスだ。ハシブトガラスは、元は森林などに住んでいたのが都会に移り住み、すっかり適応してその個体数を増やしているそうだ。我が家の近くには両方生息している。なるほど両方の環境が混在しているかもしれない。
 わたしが仲良くしている(おかしな言い方だが、それに近いかも)のはハシボソくん。鳴き声は「ガーガー」「ギャー」とか「グワ~」など・・・少々不気味だからか、英語で「死肉を食うカラス」という不名誉な名前を付けられている。しかし実際は菜食穀物食が中心で、クルミを車の前に落として割って食べるのはハシボソくんである。

 嘴が細く器用に地面を歩く。結構かわいい顔をしていると思う。それに対してハシブトカラスは「カーカー」と澄んだ声で鳴くが、その澄んだ声に似合わず嘴が太く、その先が猛禽類のようにクイッと曲がっている。雑食だが、どちらかというと肉食だそうだ。

 さて我が家のハシボソのカップル。大きい方を「ハシボソ大」とする。小さい方は「ハシボソ小」
 春の頃、まだ若葉が生え揃わない柿の木にハシボソ大がとまって、何やらジタバタしていた。見ていると枝を嘴で挟んで折りとろうとしていたのだ。それが結構長くて立派な枝だから、バランスをとるのも難しくてよろめきながら必死で格闘している。悪いけど失笑だ。奮闘空しく枝はなかなか折れない。諦めて別の枝に乗り換えたみたい。

 こうして巣作りをがんばっていたカップル。しばらくするとハシボソ大の姿だけ見かけることが多くなった。カラスは抱卵するのはメスで、オスは巣の近くで見張ったり餌をメスに運んだりするそうだ。そこで大が夫で小が妻だと分かった。

 夏の頃、2軒先のお宅の屋根に4羽の子ガラスが並んでいるのを見かけた。細い木の枝を皆でワヤワヤとくわえ合って、綱引きのように戯れている様はとても可愛らしかった。無事に孵化したのだね。
 雛は動きがぎこちなく、すぐによろけて滑り落ちそうになる。何回か我が家の木の枝からもがきながら落下するところも目撃した。
 子ガラスは必死に羽ばたいても空気をつかむことができずに「ファタファタッ・・!」というような派手な音を立ててやっと進む。親ガラスが音もなく滑空するのとかなり違う。そしてハシボソ夫婦は必ず雛たちの側で見守っていた。子育ての頃はちゃんと協力していたねぇ。あんなに威張って餌を独り占めしていたのにさ。

 さて、だんだんうまく飛べるようになって、もうすぐ巣立ちかと思っていたが、そうでもないらしい。予想では8月下旬頃には親の態度が冷たくなって、兄弟みんなでトボトボと親の縄張りから去って行くはずだった。
 実際は、11月になったのにまだ1羽親ガラスの縄張りにうろちょろしているのだもの。
 いつ頃だったか(記録していたわけじゃないから・・〉4羽並んでいた雛が3羽になっていた。事故などで死んでしまったのか無事に巣立ったのか分からないが・・。そして3羽が2羽に、2羽が1羽に・・と、順次いなくなってしまった。カラスは数日置いて産卵すると聞いたので、成長の順に巣立っていったのかもしれない。でも、こんなに遅くまで親から離れないことがあるなんて驚きだ。これも個体差かな。一般論が全てに当てはまる訳ではないのだね。

 キッチンの窓から松の木が見える。てっぺんにいつもハシボソ夫が偉そうにとまっている。2本下の枝に妻が、下の方の枝に1羽だけ残った子ガラスがとまっていた。子ガラスは羽ばたきながら1本上の枝に飛び移り、また上に・・・。そして母親の隣まで移動するとピトっと甘えるようにくっついた。うわあ、まだあんなに甘えてる。いいのかな、まだ巣立たなくて。と思って見ていると、母はさっと子ガラスをかわして1本上の枝に飛び移ってしまった。やはりそれとなく巣立ちを促しているらしいね。

 冬がやってくる前に、この甘ったれくんが巣立つことができるといいけどね。
 そして、このハシボソ夫婦はこれからも離婚しないで共に生きていくのだろうか。