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おばあちゃんと、フラカンと、オロナミンC。

こんな日だからか、ひさしぶりにフラワーカンパニーズを聴いたからか、今日はおばあちゃんのことを思い出していました。

わたしは、大のおばあちゃん子でした。

おばあちゃんも、8人いる孫の中で、わたしを一番可愛がってくれていました。
それは贔屓とも言えるほど。

わたしはおばあちゃんが大好きで、おばあちゃんもわたしが大好きでした。

田舎から、福岡という、ちょっとだけ都会に出ていった孫娘に、おばあちゃんは、3日と開けずに電話をくれました。

「まいさん、風邪ひいちょらんかえ。あったかくしちょらないけんよ。」

「まいさんは何もせんでも、べっぴんさんなんやけん、髪を染めたり、いっぱいお化粧とかせんので」

「今度はいつ帰ってくるんな。楽しみにしちょんけんね」

毎回、言うことは同じでした。

月に一度は、大きな宅急便が届きました。

中身は、お米やお野菜、おばあちゃん手作りのお漬け物、煮豆、ふきの佃煮、あとはボンタン飴やブルボンなどのお菓子です。

わたしは新生活に忙しく、3日おきにくれるおばあちゃんの電話を、たまに面倒くさいと思うようになりました。

新しくできた友だちと遊んでいる最中に、電話がかかってきて「あとでかけ直すけん」と言ったきり、忘れてしまうこともありました。

ひどい孫娘です。

わたしがあまりかけ直さないためか、3日おきの電話が、1週間おきに、1週間おきが2週間おきになりました。

結局、福岡に出て1年も経つと、毎月宅急便のお礼の電話しかしていませんでした。

それでもわたしが帰るたびに、
「破顔」という表現がまさにぴったりな、歯の抜けた笑顔で出迎えてくれました。

毎回おばあちゃんは、山のようなご馳走をこさえ、かいがいしくわたしの世話を焼き、どれだけ抵抗してもお小遣いを握らせて、わたしを見送ってくれました。


そんな、おばあちゃんが亡くなってから、もう6年が経ちました。

昔、深夜ラジオから流れてきて好きになった、フラワーカンパニーズの『日々のあぶく』を、ひさしぶりに聴きました。


愛していたい 自分の周りぐらい
愛していたい できるかぎり

わたしは、おばあちゃんをちゃんと愛せていたでしょうか。

もっともっと、愛せたんじゃないでしょうか。


脳ミソが勝手に 無駄な記憶と判断したもの
ほんの些細なくだらない事 パッとしない景色
全て忘れてしまったら なかった事と同じだな
そんなのあんまりすぎないか
そんなの寂しすぎないか
忘れるな 忘れるな 忘れるな 忘れるな 忘れない


あたりまえだと思っていたおばあちゃんからの電話。何気ないやり取り。

いつまでも続くと思っていた宅急便。

手作りのお漬物や、煮豆や、佃煮の味。

忘れたくないな〜!

毎朝、キッチンにあるおばあちゃんの写真に、「おはよう」と声をかけて、お茶を入れるのが習慣です。
毎月1日と15日には、オロナミンCもお供えしています。

なぜオロナミンCか。
おばあちゃん家の冷蔵庫には、いつもオロナミンCがたくさんありました。

帰省してトライアルに一緒に買い物に行った時にも、おばあちゃんは必ず、オロナミンCを大量に買い込んでいました。

てっきり、おばあちゃんの好物だと思っていました。

先日、帰省した際、母に、

「おばあちゃん、オロナミンC大好きだったよね」

と言うと、

「何いいよんの。まいちゃんがオロナミンC好きやけん、いっつも切らさんように買っちょったんよ」


あ〜あ!
わたしって馬鹿やなぁ!
おばあちゃんのこと何も知らんやん!
くやしいなぁ〜!

おばあちゃんに会いたいなぁ〜!

あたりまえの毎日が、
あたりまえじゃなくなる日がくるって、
ちゃんとわかっていたら。

もっともっと、
逆に面倒くさいと思われるほど、
いっぱいいっぱい、愛したのにな〜!

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