ノラ・ジョーンズ
ノラ・ジョーンズはあまりに有名で、名前は知らなくても歌声を聴いたことがある人がほとんどじゃないだろうか。
私は彼女の音を聞くと夏の終わり、秋の始まりを連想する。
ちょうど気持ちのいい風が吹いている頃。木々が色づき始める。
夕方は少しだけ物哀しくなる季節。
大卒で入社した会社で私は今の状況に似た体験をした。あまりに若かった。連勤と不規則なシフト、長時間労働、自宅に帰って寝て起きるだけ。友人に会う時間もなく、友人が居なくなると泣いた。全てではないが、理不尽な世界に泣いた。そして耐えられなくなって辞めた。
それは夏の始まり。
夏のおわりにバイトが決まった。気力がなくても働かなければと思ったのだ。だから大好きな本が詰まった、光のたくさん入る場所を選んで図書館で働くことにした。
誰にも接触したくなくて、ノラジョーンズをずっと聴いて居た。大学の時からノラが大好きだった。お昼休憩。外に出て、木々に囲まれ、風の吹く音のする中その気持ち良さに包まれて、イヤホンからはノラの声がする。永遠に続いて欲しい時間だった。孤独の中の安らぎとでもいうのか。ノラに助けられた。
出会いは映画「東京タワー」岡田くんと黒木瞳が主演だった。東京が美しく描かれた江國ワールドはノラの歌声が自然な程に調和して居て虜になった。美しかった。
また、大学の時に、憧れていた人にCDをもらった。今となればCDをもらうという行為はアナログになるのだろうか。とても、嬉しかった。ノラもだけど、好きなことを覚えててもらえたことがじんわり来た。
そんな思い出いっぱいのノラ・ジョーンズ。
目を閉じると切なくなる。でも私には欠かせない。
ノラ・ジョーンズ。
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