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【感想】ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー

「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」、今日買って今日読んでしまいました。
もともと社会階層の話に敏感になってはいましたが、それがなくても一気読みしただろうなというくらい面白い本でした。超おすすめです。

イギリスの階級社会というのがどういうものなのか、移民が増えるとどういう問題が起こるのか、格差が広がると子どもが育つ環境はどう変わるのか、みたいなことを体感できるようなエッセイなんですが、とにかく読みやすくて面白かったです。

アイルランド人と結婚してイギリスの「底辺保育所」で保育士をしていたブレイディみかこさんの著書で、この本では息子さんが地元の元底辺中学校に入学してから2年くらいの間に起こった出来事が書かれています。
この前に同じ作者の「子どもたちの階級闘争ーブロークン・ブリテンの無料託児所から」という本を友人から貸してもらってすごく面白かったので、この本も読んでみました。
どちらの本でも、イギリスのいわゆる下層階級の子どもの生活が描かれています。
わりと荒っぽい言葉遣いの文章ですが、困っている人や子どもを対等に見ている「いいおばちゃん」という感じがします。

イギリス人は喋り方で階層がわかるとか、階級がはっきり分かれている社会で、社会階層ごとに趣味も見るものも違うし、違う階層との交流や移動も少ないとかいうのは聞いたことがあったけど、実際そうなんだろうなとしみじみ感じた。

イギリスでは以前福祉がすごく充実していたけど、その方針が変わってから下流階級は食べるものにも困るようになってきたとか、
移民側が白人労働者階級側を嫌悪することがあるとか、
移民の間でも人種差別があるとかいったことが、
知識としてじゃなくて、保育所でのケアや中学校生活の中でふとした瞬間に実感したこととして描かれている感じがすごかったです。

ネットではいろんな立場や思想の対立が深まる一方に見えますが、実際にそういう対立の中で生きている著者の息子さんの姿勢に希望を感じました。
私も根を下ろして生活するようになったら、そういう試行錯誤を頑張りたい。

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