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#004 理系が引っかかりやすい他責マインドの罠--理系各員に捧ぐ

本シリーズは、①勉強頑張ったら選択肢が増える、②理系かつ高成績の方が選択肢は多い、③選択肢が多いと良い会社に入れて幸せになれるというよくあるお話の②まで必死で頑張ったものの、③は半分嘘である。ということに気付いて四苦八苦した私が、理系が気付かぬうちに罠にハマらないために、考えて損のないトピックを書いていくものである。

前回はメタの話をした。似たトピックでレベルK思考という面白い話を目にしたので参考に共有しておきたい。
Quora-よく心理戦で「相手は私の思考を読んでこうするから、それに対し私はこうする」みたいな読み合いがありますが、ずっと互いに読み合っていたら無限ループで切りが無いはずです。どこまで読むのが正解なのですか?

今回は理系の勉強ばかりを頑張りすぎた人が陥りやすく、また抜け出しにくい最大の罠である他責マインドについて、なぜ理系の人がハマりやすいかに注目しながら紹介する。

まず、理系の勉強ばかりを頑張りすぎるとどんな考え方になりやすいかを考えてみる。理系の専門科目は、非常に綺麗な理論として整理された科目が多い。科学の非常に綺麗な理論というのは、その理論の中で議論が綺麗に閉じていて、もうなんでも分かってるし、これを習得したら自分も全てのことができる気持ちになる。綺麗な理論は、読んでいてワクワクして心地よい名作小説のようなものだ。伏線とその回収にスキが全くないように感じる。
こんな名作ばかりを吸収し、論理力も高まってくると世界の全てが分かった気になる現象が起こる。つまり、理系の勉強ばかりを頑張ると、世の中の大抵のことを分かった自分の考えは正しいと信じやすくなる。

人間もともと自分が正しいと信じて生きているものだ。デール・カーネギー先生の名著『人を動かす』の冒頭で紹介されるエピソードもこのことを主張している。

いきなりピストルを取り出したクローレーは、物も言わずに相手に乱射を浴びせた。警官がその場にくずれおちると、クローレーは、車から飛び降りて、相手のピストルをひったくり、それでさらにもう一発撃ってとどめをさした。この殺人鬼が”誰ひとり人を傷つけようとは思わぬ心”の持ち主だと、自ら称しているのである。
D•カーネギー『人を動かす』文庫版 第一版(創元社)

人間もともとそんな性質なら、大変な勉強を頑張れるほどの信念の持ち主も、もちろん自分が正しいと信じたいだろう。しかも、世の中で正しいと認められている理論を知り、それを使って論じる論理力も身についている。正しくないわけない。

ここで他責マインドに走ると問題が起こる。他責マインドとは、何か自分にとって都合の悪いことが起きたとき、これは○○のせいだ。と自分以外のモノ、ヒト責任にすることである。この他責マインド、正直よほど心の鍛錬を積んだ人以外はこの考え方になりやすい。Twitterなどで最近起こっている問題は、まさにこのマインドが一因になっている。問題を人のせいにするためには、理屈をうまく並べる論理力とその論理を支える正しい知識が必要なので、多くの場合は他人からお前が悪いだろと指摘される。理系がこのマインドになると厄介なのは、ここまで紹介した通り知識と論理力がある故に、うまく自分が正しい世界を維持し続ける点にある。最悪の場合、どこまでいっても人のせいで、全く自分を成長させることができない人間になる。

そもそも他人はコントロールできない。したがって、何か問題が起きたときは、たとえそれが他人のせいで起こった部分が大きな問題でも、他人を責めて生まれるものは、ただの一欠片もない。その他人だって自分は正しかったと考えている。そんな人を責めたところで、せいぜい空謝りしか返ってこない。それにまたイラつくだろう。しかも、自分は正しいスタンスを貫くので、もし自分のミスを自覚しても直す行動をとる心理障壁が高くなる。人生立ち止まりである。他責マインドは、相手を超えて自分が損するばかりのマインドではないだろうか?

この問題の解決はとても簡単で、自責マインドになることだ。自責マインドの重要性などは世の中の人がたくさん語っているので、ここでは割愛する。

今回は、理系が厄介な他責マインドに陥りやすい理由を見てきた。他責マインドという言葉を知らない人は、この厄介な理系をプライドが高い人と認識するだろう。プライド高いよねと言われたら、自分を振り返るチャンスだと思って喜ぶ。

次回はまた論理と言葉の話をベースとして、質問することについて書きたいと思う。成績が伸びないと悩んでいる人は、質問する力がめっぽう弱いことが多い。質問する力を高めると、優秀な人が質問に答えてくれるようになる。質問力向上は、そのまま自分のレベルアップに直結するのだ。では、また次回もよろしくお願いします。

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