今日の隣人Vol.5

最近は、隣人がいない。とんと、人が集まることが無くなっていく。そんなときだ。

反射というのを、習ったことがある。一般には脊髄反射と言うと想像される反射のこと。たしか、中学生の生物で学んだなあと思い出す。反射は、なにかしらの刺激に対して脳を介さず、せきずいが出す命令で身体を動かすこと。反射は熱いものに触って思わず手を引っ込めてしまうような、危機回避的な能力だと説明される。

人間の生活は、非常に抽象化すると刺激に対して反応を返すことを繰り返していると言える。なにもしていないようでも、最低でも呼吸はするし、呼吸も体内からの刺激に対する反応とみてよい。

このような多くの刺激に対して、人間は脳を介して反応することが多い。この脳が他の生物と人間という生物を分けたのだという話はよく聞く。

最近は続々と集まりが中止されるおかげで、隣人がいない。しかし、世の中の動きとして、人が少し見える。反射、で動いていないでしょうか。私も気をつけないと、反射で動いてしまう。危機迫り、人間の象徴たる脳を介さず動いてしまうと、必然社会は混乱する。社会は人間が脳を使って作り上げ、脳が認識するから存在する概念だから。政府がなんとかしないから、偉い人たちがなんとかしないから壊れるのではない。個人個人が脳を使わなくなると、脳が作り出したものである社会はそもそも成り立たない。

そのことがあまり認識されていない気がして、最近少し、怖いのだ。

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