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宇多田ヒカル『Time』

悲しい曲を聴いて悲しい気持ちになったことってありますよね?

私はものすっごい影響を受けます。

だから基本的には楽しい曲か、アイドルの曲しか聞いてません。

もしくはすぐには歌詞の意味が取れない洋楽とか。

でも、時々聞いてしまうんです。悲しい曲。

宇多田ヒカルが好きなんですが、先日の新曲『Time』を聴いたらどんどん考え込んでしまって仕舞には落ち込みました笑

歌詞サイトがとんでもなく素敵なので是非↓

https://www.utadahikaru.jp/time/

私の解釈は以下の通りです。

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主人公は昔から仲良くしている友達がいて、その人とはお互いが落ち込んだ時や辛い状況にあるときに弱みを見せられる唯一の存在として信頼し合っています。

主人公が泣いて苦痛に耐えているときでも笑わせてくれるとあるので、かなり素敵な関係性なんだな~と私はうらやましくなりました。笑 泣いてる時に慰めてくれるんじゃないんです。笑わせてくれるんです。ここ重要です。

そんな友人をいつの間にか好きになっていたんですね。気づかないうちに。しょうがないよね、そんな素敵なら。

でも友達としての関係で近すぎて、今更恋愛として好きだと言えない。これはかなりリスキーな訳です。好きと言ったら友情までぶっ壊れかねない。

そんな中、ふと魔が差したのか一線が越えられそうになります。ただその出来事は二人の間ではなかったことにされ、今まで通りの友人でいることを選んでいます。これはある意味主人公にとってはチャンスだったのに不意にしているということは、友人から恋愛感情での行動ではないと何かしらの形で受け取っているんじゃないかと思います。

恋愛の枠になんかおさまらないと恰好つけて言っていますが、そゆこと・・・と自分に言い聞かせるように納得させているんです。

本当は友人に恋愛感情を持っているのにも関わらず、好きと言えない自分を正当化させています。はあ、悲しい。本当は恋愛の枠にはまりたいと思っているからこそ、そんなことをわざわざ言って自分をだましています。要はただの強がりです。

友人にとって、自分はオンリーワンなのだからこれ以上何を望むのだ。もうすでに幸せじゃないか。

でも本当は好きと言いたいんです。出会ったときまで時を戻せば、友人としてではなく、恋愛対象として関係が始まるかもしれない。友人ルートじゃなくて、恋人ルートに行きたい。時よ戻れ。

主人公はずーっとうじうじ悩んでいるんですが、決心します。

好きと伝えることと、友人の気持ちを聞くことを。

主人公にとっては嘘の関係、嘘の幸せだったと気づくんです。真実の関係、真実の幸せ、真実の愛を手に入れる為に勇気を振り絞って立ち向かいます。友人に、そして自分の弱さに。

結局友人とは恋人になれませんでした。これは歌詞の最後で「過去に戻れたら私のものになる?」といっているので、現実は主人公のものにはならなかったことを意味しています。今までは過去に戻ったら好きと伝えたいと言っていたのに対して、最後のフレーズは過去に戻ったら”あなた”はどうする?と主語が私からあなたへと変化しています。主人公は過去に戻らなくても、今好きと伝え、そしてあなたを私のものにできなかった。

しかし、友人ルートを通ったことによって主人公は人間としてかなりの成長を遂げたと自負しています。一度ルートを選んだら、人生は一度きり、戻ることはできません。それでも、この経験があったからこそ、私たちはあの頃より魅力的になれたんだよ、と主人公は言います。

あんなに過去に戻りたい戻りたいと言っていたのに、戻らなくてもたくさんのものを得ていることに気が付いたんです。例え恋人になれなくても、自分の弱さと友人に真剣に向き合い、告白したことで、友人ルートを選んだ自分も肯定することができました。本当にこの主人公はかっこいいです。

そのあと、友人が主人公に「失って君の存在の大きさに気づいたんだ」とかなんとか零したんでしょうね。主人公はそれを一刀両断、そんなの今更やめてくれと突っぱねます。

そして友人に自分が過去に唱えていた過去に戻る呪文をあげます。主人公はもう過去に戻りたいという気持ちが無いので、もうその呪文はいりません。でも友人は恋人として主人公を選ばなかったがために、今までの関係も失っています。友人は告白の時まで戻りたいと思うことがあるんじゃないのかと主人公は考えたんでしょうね。自分を選ばなかった友人に対して、自分の使い古した「過去に戻りたい」をあげるんです。もうね、まじでかっこいいよ。餞別のようですね。

これで終わらないのが宇多田ヒカル様。最後の最後に、音と声にかき消されながら「過去に戻ったらあなたは私のものになる?」と何回繰り返しています。表向きには過去を受け入れて一歩進みだしたと歌っているのに、まだ心の奥底では未練が残っていることをここで表しているんだと思います。納得はしたとしても未練は残っちゃいますよね・・・。美化されていない、普通の人間の心の動きです。この未練から「過去の呪文」をあげて、もう一度考え直して・・・という一抹の希望を残したのかもしれません。

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と、まあこんな感じで読み取りました。他の人の解釈読んだら全然違ってまじでびっくりしてます。ドラマのために書き下ろした曲のようなので、ドラマを見ていれば違った解釈ができるんだと思うんですが、とりあえず私はこんなところです。

もう最高です。楽曲自体を聴いて最高なのはもちろんですが、こんなに歌詞に対してあーだこーだ考えることがこんなに楽しいことだとは思いませんでした。

私は主人公と同じような経験はまったくないんだけど、このうじうじ加減が自分と重なってしまうんです。笑 強がって自分をこれでいいんだと納得させるんだけど、結局納得できないからうじうじとずーっと同じ場所をループする。

弱かったのが、強くなってよかったね、で終わらないのがまたこの曲のいいところだと思います。人間は弱さと強さのどちらも内包していて、常にその間で揺れ動いています。その心の動きを美しい歌詞で表現していて、もうほんと大好きです。一生ついていきます。

ただ厄介なのが、あまりにも素晴らしく、私の胸に響いてしまうので、実際に悲しいことなどないのに胸が痛んで脳が悲しいと錯覚してしまうところです。笑

片思いをしていた時のような胸のずーんとした痛みがあって、実際の気分も下がってしまうんです。どんだけ影響受けてるんだって感じだけど、本当にそうなんです。聞くたびそんな感じなんで、それだけ困ってます。

と、いうことで、ぜひ一度聞いてみてください!サブスクで聞けます!

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