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回想や懐古の類

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書き留めておかないとある日ふと思い出すこともないのではという、記憶とも呼べないけれどさっとよぎる過去の情景やちょっとした感情のメモ。
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#酒場の話

ちょっと通ってきた道

オリビア・ニュートン=ジョン、イッセイミヤケと、訃報の続く週だった。ひとりでニュースを見る分には淡々と処理する程度の、「あの曲聴いてたな」「あの服着てたな」を記憶から取り出しまた埋める作業をささっと終えて、次の仕事に取りかかる。 夜、いつもの酒場へ行く。 隣はノースリーブの似合う腕とうなじを持つ器屋さんとお連れさまだ。お互い軽く会釈の後、各々の世界へ。 「イッセイさんも亡くなっちゃったねぇ。」揚げ物を仕上げた店主がザクザクとそれを切る音が響くなか、お連れさまがぽつりと言った

実録ひとり飲み 五感ver.

たまにひとりで集中して五感を最大限に稼働かつ開放させることが好きだ。たいてい、というかいつもそれを飲み屋でやる。だからひとりで飲むのが好き。 お値段や立地で頻繁に行けないところもあるけれど、勇気を出して開けた引き戸から始まる小さな支流たちがモルダウのメロディのように大河へと統べられていくさまが滑らかにどんぴしゃだと、偏愛というか恋に落ちるレベルで好きになって通うようになる。そんなところで落ちてないで、人を見ろよ伴侶を探せという話は置いときます。 昨日、早い時間から好きな飲み