ちょっと通ってきた道
オリビア・ニュートン=ジョン、イッセイミヤケと、訃報の続く週だった。ひとりでニュースを見る分には淡々と処理する程度の、「あの曲聴いてたな」「あの服着てたな」を記憶から取り出しまた埋める作業をささっと終えて、次の仕事に取りかかる。
夜、いつもの酒場へ行く。
隣はノースリーブの似合う腕とうなじを持つ器屋さんとお連れさまだ。お互い軽く会釈の後、各々の世界へ。
「イッセイさんも亡くなっちゃったねぇ。」揚げ物を仕上げた店主がザクザクとそれを切る音が響くなか、お連れさまがぽつりと言った