【パラオのゴミ事情 #3】 リサイクル 〜プラチック・瓶〜

最終処分場M-dockにはリサイクルセンターが併設されていた。

そこのトップはなんと日本人。藤勝雄さんはこの廃棄物事務所の設計から仕組みまで全て手掛けた人だ。JICA海外協力隊としてこの施設設立を推進し、任期が終わった後もその功績が高く評価されて、現在もコロール州政府のアドバイザーとしてセンター運営を任されている。

ここはパラオ唯一のリサイクル処理施設でパラオ全土から空き缶や、ペットボトル、瓶などリサイクル可能なものが集まってくる。プラスチックは400度にするとガスになり、冷やすと油になる。プラスチックにより重油や軽油や両方混ざったものができるので、うまく配合して軽油にして発電機に使うのだとか。

1キロのプラスチックから１リットルのオイルができて、４キロワットの発電が可能となる。ちなみにこの施設で使用している電気は全てこのプラスチックによって生み出された電力で賄う予定とのこと。

この電力を使って生まれ変わっているものの一つが瓶だ。ガラスの元になるビールやワインは100％輸入だが、飲み終わったガラス瓶は海外に引き取ってもらうコストが高いので国唯一のこのガラス工場で砕いてコンクリートの骨材に混ぜたり、ガラス工芸を作っている。

パラオのコンクリートでよく見かけたこのガラスの粒を私は最初オシャレなデザインにしているのだとばっかり思っていたら、実はガラスのリサイクルだったという訳だ。

ガラス工芸はこのようなステンドグラスもあれば

花瓶やジョッキなど様々。

私も体験させてもらったが、小さな葉っぱを作るのにも一苦労。ちょっとしたことで割れてしまったり、形が変わってしまったり。改めて、職人さんたちの技術のすごさを感じた。ちなみに工芸ガラス材と違って廃ガラス材は固くて冷めやすいので扱いが難しいのだそう。

私がこの日作った葉っぱは帰国後、スーツケースの中から見つけた息子に「これちょうだい！」と言われ、彼の宝箱の中にしまわれてしまった。そう、この葉っぱには藤さんたちの長年の想いや努力、職人さんたちの修行の日々、ガラスが生まれ変わるまでの道のりの全てが入っている。紛れもなく宝なのだ。