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天使だった時のことを思い出したよ

私は天使で、大きな翼で空を飛びながら、いつも地上の人間達を見ていた。

大きな川があって、その川の脇に広場があり、
そこで人間たちが、遊んだり、走ったり、野球をしたり、ゲートボールをしたり、
ベビーカーを押しながら散歩したり、転んで泣いたりしていた。

いろんな場面を空から見ていて
笑ったり、怒ったり、泣いたり
一生懸命に生きている人間達を見ていた。
特に、大きな感情に突き動かされて走っている人を見ると、気持ちを揺さぶられた。

天使から見る人間達はとても小さくて、一生懸命で
命を震わせて生きていた。
その小ささが、愛おしくて、悲しかった。

そんなに一生懸命生きても、どうせすぐ死んでしまうのに。
そんなに喜んでも、すぐ忘れてしまうのに。
この世界にはには、あなたがコントロールしようのない大きな力があって
人間の喜びも悲しみも、それに比べたらとるに足らないものなのに。

目の前のことに一生懸命になって、必死で生きる人間を見ていると、
その小ささ、無力さを見ていると、
愛おしくて愛おしくて、悲しくて悲しくて仕方なかった。
空から見守って、キラキラした柔らかい恩恵を振りまくだけじゃなくて
もっと手応えのある何かがしたかった。
手を差し伸べたかった。
共に苦労を味わいたかった。

だから人間になった。

でも、人間ってめちゃくちゃハードで
とにかく肉体は邪魔だし
感情の波は激しいし
でもその波を隠さなきゃいけないことも多いし
天使の仲間を見つけても
その人は馬鹿にされていたり、おかしい人だと言われていたりして

私も笑われる?

とか思って怖くなって
それで頑張って訓練して、人間に慣れて
九州新幹線のCM見て泣きすぎて放心したりしながら
生きてきました。

でもこの前
自分の悲しみをずっとずっと見つめていったら
天使だった時のことを思い出したよ。

「もう空に帰りたいです」
って何度もつぶやきながら
自分が地上に降りてきた理由を思い出したよ。

そしたら、色んなことに納得がいきました。
気づいてこの先、どうしていったらいいのかよく分からないんだけど。
だからこの記事も、うまく締められないんだけど。

今はとりあえず
全然興味なかった天使たちに
なんだか親しみを覚えています。

人間になるとかキツいよ!絶対苦労するよ!やめときなよ!
って、仲間の天使たちに言われまくったんだろうなぁ。
それでもやっちゃって、言われた通り苦労するのが私っぽい。笑

私は人間としてもう少しがんばります。
今まで忘れててごめんね。
ハラハラさせてごめんね。
これからも見守ってね♡

って感じです。

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